猿沢の池から元興寺を通ってさらに南に進み、御霊(ごりょう)神社から東にほんの少し歩いた先、元興寺旧境内の南東隅に十輪院(真言宗醍醐派)が静かな佇まいを見せている。
寺伝では、元正天皇の勅願寺で元興寺の一院である。

道路に面した小さな切妻造りの簡素な四脚門は南門で国重文である。
これをくぐって入った狭い境内の正面に、本堂(国宝)が佇んでいる。
これは鎌倉時代前期の建築で、寄棟造りの屋根がゆるやかに流れる様はとても優雅だ。


本堂の奥にある鎌倉時代の石仏龕(せきぶつがん・・・重文)は非常に珍しいもので、花崗岩で作られた石室である。この奥には、厚肉彫の本尊地蔵菩薩立像を中心に左右に十王像を5体ずつ線刻してある。

境内左手の不動堂には、木造不動明王二童子立像(重文)が祀られている。

また境内右手の池の周囲には、不動明王石像など数多くの石造物が配置されている。

本堂の甍

境内には不動明王などの石仏が多数置かれてある。

南門(重文)

本堂の一間通りの広縁

 住 所 奈良市十輪院町27 
 電 話 0742−26−6635 
 アクセス 近鉄奈良駅から徒歩15分
近鉄奈良駅から天理行きバス乗車福智院町下車3分 
 十輪院HP http://www.jurin-in.com/ 

本堂(国宝 鎌倉時代前期)

十輪院 (奈良市)