近鉄奈良線富雄駅の横を流れる富雄川に沿って3キロほど南下、緑豊かな矢田丘陵の北端に霊山寺(りょうせんじ)がある。
広大な境内を利用して、大規模な霊園・洋風のバラ園・ゴルフ練習場・食事処・薬草風呂・タクシー会社等を経営する一風変わった寺である。(ここのHPはシテイホテル並みに洗練されている)
特にバラ園は有名で、1200坪の敷地に2000株のバラが植えられ、、多くの観光客がこれを目当てに訪れる。。
しかし、ここは天平時代、聖武天皇の勅命で行基が伽藍を建立した名刹で、国宝の本堂をはじめ多くの寺宝を有する。
印度婆羅門僧の提僊那が、この地の地相が印度・霊鷲山(りょうじゅせん)に似ていることから霊山寺と名付けた。
霊山寺 (奈良市)
奈良市の西、矢田丘陵の北端にあって、バラ園で有名な寺である。
奥の院まで1kmの案内板が示すように、矢田丘陵の起伏に富んだ地形に広大な境内を有する。
鎌倉時代に北条時頼の帰依厚く、多くの寺領を下付され、本堂の改築、伽藍の大修理が行われ、豊臣秀吉・徳川家康も寺領を寄進、徳川幕府の御朱印寺として大いに栄えた。明治維新の廃仏毀釈によって、伽藍の半減、二百体の仏像が焼かれた。
しかし、今も往時の繁栄を偲ぶことができ、深い北山杉の木立の中を進むと、風格ある鎌倉時代の本堂(国宝)と鐘楼(室町時代・国重文)、谷を隔てた南側の高台には端正な三重塔(室町時代・国重文)が佇む。
本堂には、黒漆厨子(鎌倉時代 国重文)に納められた秘仏である木造薬師如来及び両脇侍像(平安時代 国重文)がある。
本堂には、他にも木造阿弥陀如来坐像(鎌倉時代 国重文)、木造十二神将立像(鎌倉時代 国重文)等が安置されている。
これらの秘仏は、毎年5月第3日曜日の薔薇会式と10月23日〜11月第2日曜日の秘仏公開宝物展で拝観する事が出来る。
本尊が秘仏であるため、これを補うために、銅製薬師三尊懸仏(南北朝時代 国重文)が作られている。
また堂塔の内壁を飾るために作られた土製の三尊甎仏(国重文)は白鳳時代の作と言われている。
この他に弁天堂、近年建立された黄金殿・白金殿、本堂から1km奥には奥之院がある。
ここには弘法大師空海を本尊とする開山大師堂の他、10面の地獄が描かれた地獄洞をはじめ、八十八ヵ所霊場や八体仏霊場等が建ち並び、全山が霊場になっている。
この他、1300余年前、右大臣小野富人が薬草風呂を設けて人々の病を治したという伝えに因んで、薬師湯殿が設けられ、有料で入浴することが出来る。
さらに200種類2000本の洋風バラ園は全国的に知名度が高く、5月中旬以降の開花期には、これを目当てに多くの観光客が訪れる。
(5月〜6月と10月〜11月は入山料を含めて600円)
檜皮葺(ひわだぶ)きの端正な三重塔は室町時代の建築で国重文。
黒塗板張り腰袴姿の鐘楼(国重文)は室町時代の建立。
起伏に富んだ地形で坂道が多い。
深い木立の中に堂宇が点在する。
鎌倉時代建立の本堂(国宝)
住 所 | 奈良市中町3879 |
電 話 | 0742−45−0081 |
アクセス | ・電車・バス:近鉄奈良線富雄駅から奈良交通バス「霊山寺前」下車 ・阪奈道路「三碓出入口」から県道を南へ5分 ・第2阪奈有料道路「中町ランプ」から県道を北へ5分 (大きな駐車場有) |
入山料 | 大人500円 バラ開花期の5・6・10・11月は600円 |
霊山寺HP | http://www.ryosenji.jp/map.html |
入浴料600円の薬師湯殿