東大寺 (奈良市)

 参籠所

● 二月堂茶所

● お松明

世界文化遺産・東大寺。「奈良の大仏さん」はあまりにも有名だ。
大仏を覆う大仏殿は、木造では世界最大の建築物。



● 転害門

● 裏参道

二月堂の裏手階段を下った先に、室町時代に建立された浴室遺構である大湯屋(重文)がある。

● 正倉院

修二会で練行衆が籠る参籠所(鎌倉時代 重文)は二月堂のすぐ裏手にある。

二月堂茶所(無料休憩所)、湯茶が無料で頂ける。

休憩所に展示されているお松明。

● 二月堂

● 三昧堂(四月堂)

● 手向山八幡宮

● 盧舎那仏像(大仏)

● 大仏殿

●南大門

● 中門

東大寺の創建は、聖武天皇が743年(天平15年)に盧舎那(るしゃな)大仏造立の詔を出したことに端を発する。

大仏鋳造は747年に始まり、その後、大仏殿が752年(天平勝宝4)に完成して盛大な開眼供養会が開催された

南都6宗の一つ華厳宗の総本山で、東大寺という名称は、平城京の東に位置する大きな官の寺、という意味から名付けられた。

東大寺を観光・参詣するには、ガイドブックでは約1時間としている。
しかし、大仏殿をはじめ国宝・重文に指定されている建物だけでも24棟が点在している12万坪の広大な寺域を歩かねばならない。
さらに、大仏(盧舎那仏)や数多い天平の仏像を参拝するとなると2時間はみておく必要がある。


二月堂から大仏殿裏手に続く裏参道は、塔頭寺院が並ぶ静かな石畳の道。四季折々の散策に絶好のコースである。



上下6枚、二月堂風景

二月堂は法華堂北側の石段を上った高台にあるので眺めが良く、目の前には大仏殿の甍、その向こうに奈良市北部、さらには生駒山・信貴山までが望める。

ここでは若草山の山焼きと並んで南都を代表する行事であるお水取りと呼ばれる東大寺修二会(しゅにえ)が行われる。
この修二会が旧暦二月に行われることから二月堂と呼ばれるようになった。
現在は新暦の3月1日から14日まで本行が行われているが、この間、上堂する煉行衆の道明りが「お松明」で、3月12日の松明が特に大きく、二月堂の欄干で火の粉が撒かれる風景がテレビや新聞で全国に報道されている。奈良ではお水取りが終わると春がやって来る。

二月堂は燈明などの失火によりたびたび焼失しており、現在の建物は1669年に再建された寄棟造り・本瓦葺きで、本尊の十一面観音像は秘仏で拝観することができない。

さらに、堂内には本尊脇侍の乾漆梵天・帝釈天立像や金剛力士立像、乾漆四天王立像、塑像日光仏・月光仏立像(すべて国宝)等が安置されていて、圧巻である。
また秘仏である塑像執金剛神立像(国宝)は年に一回(12月16日)ご開帳される。

法華堂(三月堂)は、東大寺の前身であった金鐘寺の一堂で、738年(天平10年)頃に建立されたものであり、今に残る東大寺の堂宇の中で最も古い建物だ。
毎年3月(旧暦)に法華会が行われてきたために法華堂あるいは三月堂と呼ばれるようになった。


法華堂は天平時代の仏像の宝庫である。中央に立つ乾漆不空羂索観音菩薩立像(国宝)は、高さが362cmもある大きな乾漆像である。

法華堂(三月堂)の南にある手向山(たむけやま)神社は、奈良時代、大仏鋳造の際に九州の宇佐八幡宮を大仏の守護神として勧請したもの。
その後、東大寺鎮守として祀られてきたが、明治初期の神仏分離令により独立した。
神体として安置されてきた快慶作の木造僧形八幡神坐像は国宝で秘仏、宝庫は重文に指定されている。

大仏殿東方の丘には鎌倉時代に再建された鐘楼があり国宝。

中につるされた鐘楼(国宝)は数少ない東大寺創建時のものと言われている。
鐘楼の北西には木造俊乗上人坐像(国宝)を安置した俊乗堂がある。


俊乗堂の東には、奈良時代の大仏造立に貢献した行基の坐像を安置した行基堂がある。

また、階段をのぼると左手に木造良弁僧正座像(国宝)を安置する開山堂がある。

東大寺の本尊、奈良の大仏さんこと盧舎那仏像は、実物を見たとき、誰もが想像していた以上に大きいので驚愕する。

高さ16m、顔の長さだけでも5m28cm、目の長さ1m18cm、上に向けられた左手に10数人が乗れる。

天平時代に造られた大仏だが、たびたび補修されて現在に至っている。

特に2回の戦火で大きく破損し、天平時代のものは腹部から下の部分や台座などにわずかに残っているのみで、頭部や肩の部分は江戸時代に改鋳されたものだ。

南大門の両脇北側に置かれた2体の石造獅子像(重文)は、鎌倉時代に宋の石工が作ったもの。
南大門を入ると右手に東大寺の本坊がある。上皇や天皇の高野山参詣の際の御所になったり、1195年の大仏殿(再建)の落慶供養会の際に源頼朝が滞在した。国宝の本坊経庫(国宝)は非公開になっている。


● 法華堂(三月堂)

東大寺境内の北西、国道369号線(京街道)沿い・手貝町バス亭前に、切妻造八脚門の国宝・転害門(てがいもん)が立つ。
2回の戦火も生き延び、天平時代創建時の豪壮な姿を今に留めている。

東大寺西北にあり校倉造りで知られた正倉院(国宝)は宮内庁が管轄で、通常は公開されていない。膨大な収蔵物のごく一部が毎年10月下旬から11月上旬にかけて奈良国立博物館で展示される。
大仏池を挟んで正倉院の南側に、戒壇院(戒壇堂)がある。ここで唐から来日した鑑真が、聖武天皇らに受戒した。
堂内には、持国天・増長天・広目天・多聞天の塑像四天王立像(国宝)が安置されている。

大仏殿の東側はゆるやかな上り斜面になっていて、手向山八幡宮、法華堂(三月堂)、三昧堂(さんまいどう=四月堂)、二月堂などが建ち並ぶ。

普通、寺院内部や仏像は撮影禁止だが、大仏殿内は撮影が自由だ。

東大寺の正面玄関・南大門(国宝)は鎌倉時代の再建(中央)。
高さが26mもあり、下の人間と比較するとその巨大さが実感できる。南大門の両脇には、運慶・快慶作で高さが8.5mもある日本最大の木造金剛力士像(国宝)が安置されている。右の手前の門は江戸時代に再建された中門(重文)と廻廊(重文)が大仏殿を囲っている。

住 所   奈良市雑司町406−1
電 話 0742−22−5511 
アクセス  近鉄奈良駅から奈良交通バスで5分、大仏・春日大社前下車徒歩10分
奈良駅から徒歩で約25分
駐車場 周辺に有料駐車場有り(休日は満杯が多い)
拝観時間  7時30分〜17時30分
(10月は〜17時、11月〜2月は8時〜16時30分 3月は8時〜17時) 
拝観料
(大人) 
大仏殿500円、三月堂500円
戒壇院500円 
東大寺HP  http://www.todaiji.or.jp/ 
バス停大仏殿前から続く参道左側には土産物屋が並び、名物の鹿(天然記念物指定)がシカ煎餅に群れる。


世界最大の木造建築・大仏殿(国宝)

法華堂の西向かいには江戸時代建立の重文・三昧堂(四月堂)がある。

大仏殿(国宝)は、東大寺の本尊・盧舎那仏像(大仏)を安置する金堂に当たる
大仏殿は752年(天平勝宝4年)の盛大な開眼供養会の後に完成したが、1180年(治承4年)、平重衝の南都焼打ちで焼失した。

しかし、1195年(建久6年)、鎌倉幕府将軍・源頼朝などの助力もあって再建されたが、1567年(永禄10)に松永久秀と三好三人衆の戦いで再び炎上焼失、その後しばらく大仏は露座となった。

その後、東大寺の僧らの努力により江戸時代の1709年(宝永6年)に再建された。
これが現在の大仏殿である。


規模は東西57m・南北50m・高さ47mの世界一大きな木造建築だが、奈良時代・鎌倉時代の大仏殿と比較して東西の長さが30mほど短くなっている。

一重裳階(もこし)付きの寄棟造り・本瓦葺き、正面には銅板葺きの唐破風がつく世界最大の木造建築。大仏殿の正面にある金銅製の灯籠は国宝の八角灯籠(天平時代)