龍田大社 (三郷町)
日本には八百万(やよろず)の神がいます。

森羅万象がすべて神であり、山が、海が、石が、木もまた神でした。
日本固有の信仰である神道はこうした世界から生まれました。

土地の神は敬われ、産土神(ウブスナガミ)や氏神(ウジガミ)と呼ばれ、現代に至るまで続きました。村や里を守る鎮守の神(森)がそれです。

時代が移るとともに、地の神に加えて、より霊威の強いと信じられる神々が祀られるようになってきました。

その代表が稲荷であり、八幡であり、菅原道真と結び付けられた天満宮です。
一方でこうした神々の世界に、古代、天上界の別格の神々の世界ー高天原ーが重ねられ、天皇による国家統一のために数々の神話の世界が神道に組み込まれていき、神社の格付けも行われてきました。

明治時代になると神や社を統廃合し、祭神を記紀(古事記・日本書紀)に合わせる様に圧力をかけ、天皇家の祖神であるアマテラスを祀る伊勢神宮の下に統一・管理されるようになりました。

天皇や皇室祖先神を祭神とする神社を神宮(伊勢神宮・熱田神宮・明治神宮)と呼ぶことが多く、天皇家につながる皇族を祭神とする神社をと呼ぶことが通例になっています。
大社は前近代には杵築大社(現出雲大社)・熊野大社(いずれも島根県)しか名乗っていませんでしたが、戦前は出雲大社のみが大社を名乗っていました。戦後は旧官幣大社・国幣大社・官幣中社の神社の一部が大社を名乗っています。
鳥居越しに見る龍田大社
旧官幣大社に相応しい規模と荘厳さを有する龍田大社の参道と拝殿。この奥に本殿があります。
龍田大社は、日本書紀の天武天皇4年(675)年の条に、風神を龍田に祀らせたとあり、朝廷の祭祀を受けた神社で、明治時代には官幣大社に列せられました。

延喜式では、国家の重大事に使節が遣わされる二十ニ社に位置づけられていました。

龍田大社の祭神は風の神で、7月4日の風鎮祭りには、地元のみならず全国から多くの参詣者があるようです。(下の灯篭参照)

当社に伝えられた「宝相華彩絵奚婁鼓胴(ほうそうげさいえ けいろうこどう)・・平安時代・重要文化財」は、胸にかける楽器で太鼓の一種です。(現在は奈良国立博物館に寄託)


荘厳な春日造の本殿ですが、ふだんは中には入れないようです。周囲は家々に取り囲まれていますが、ここの一角だけは鬱蒼とした森に囲まれ、静謐を保っています。
拝殿から本殿を望む。
官幣大社を示す石柱。これゆえに「大社」を名乗れるわけです。
江戸廻・積問屋仲間寄進の灯篭。帆船の無事を風の神に祈ったのでしょう。
住 所 奈良県生駒郡三郷町立野南1−29−1
アクセス JR関西本線三郷駅から徒歩5分
祭 神 天御柱命(あめのみはしらのみこと)
国御柱命(くにのみはしらのみこと)
社格等 式内社(名神大)・二十二社・官幣大社・別表神社
創 建 (伝)崇神天皇の御代
例 祭 4月4日 滝祭り 7月4日風鎮祭
駐車場 大きな駐車場有