東西約4km、南北2km、総面積660ヘクタール誇る奈良公園は、都市公園としては日本最大である。
公園内には、世界遺産の東大寺をはじめ興福寺・春日大社などが点在し、数多くの国宝・重文の建造物・仏像が建ち並び安置されている。

近鉄奈良駅からアーケードを持つ東向通り商店街を南下し突き当たった三条通りを左折すると、すぐに柳の木が風にそよぐ猿沢池に出る。

猿沢池は周囲は400mほど、10分足らずの散策で一周できる小さな池だ。
ここはもともと興福寺の放生池(魚などを放して功徳を得る儀式のための池)として、天平21年(749年)に建設された人工の池である。

興福寺・五重塔(国宝)が水面に映る風景は、奈良公園を巡る最初の観光スポットで奈良八景の一つになっている。

猿沢池から望む興福寺・南円堂(重文)。
池の周りは遊歩道が整備されている。
猿沢池の北西に小さな社の采女神社がある。

毎年、中秋の名月の時期に采女祭が行われ、龍と鳳凰の形をした舟が浮かべられ、花扇とともに池を周る。

昔々、時の帝は采女という美しい女性を寵愛されたが、やがて心変わりをされて、彼女を遠ざけられた。

それを悲しんだ采女は、猿沢池に身を投じ自らの命を絶った。
そんな彼女の霊を慰めるために小さな社が建てられが、社は采女が身を投げた猿沢池をみるに偲びず、一夜にして背を向けてしまった。
なるほど、近づいて社を見ると、猿沢池に背を向けていた。
猿沢池の南西、奈良町の入口付近を流れる率川(いざがわ)の舟形に石仏が置かれている。
          采女神社
猿沢池に身を投じた采女を祀る神社は、猿沢池に背を向けている。
アクセス 近鉄奈良駅から徒歩10分弱
周辺の見所 興福寺・奈良国立博物館・奈良県立美術館・奈良町・東大寺・春日大社・依水園等
猿沢池 (奈良市)
奈良公園散策のスタートは、奈良八景の猿沢池から始まる。
                   猿沢池
東大寺の大仏と並び古都奈良のシンボルの日本鹿(天然記念物)も現れる。