奈良の「食」の特産品と言えば、「奈良漬」に「三輪素麺」の二品。

奈良市内から、和歌山県新宮に至る国道169号線に乗って南下すると、天理を過ぎる辺りから、日本最古の街道「山辺の道」と平行して走るようになる。
途中、旧道に入って進むと、やがて記紀に登場する日本最古の神社「大神(おうみわ)神社(三輪明神)」の大鳥居に達する。その奥にはご神体である三輪山が優美な稜線を描いている。
この周辺が三輪素麺の故里で、私は国道169号線上のこの部分を密かに「素麺街道」と呼んでいる。
三輪素麺
素麺食事処

五品素麺 1,575円。温冷の五品の素麺が小鉢に盛られる。

何れのメニューの素麺も、我が家では味わえない、細く、コシがあって
のど越しが素晴らしかった。四季を通じて、冷たい「そーめん」、暖かい「にゅうめん」の両方を食べられる。
千寿亭
・嘉永3年(1850年)創業の「池利」直営の素麺食事処。

・平日・休日を問わず、昼食時間帯は満員で待たされることが多い。
・館内には椅子席と座敷席、素麺の売店がある。
左側の道が国道169号線
小粋な千寿亭の外観。
住 所 桜井市芝293
電 話 0744−45−0626
営業時間 午前11時〜午後5時がラストオーダー
休業日 金曜日
(金曜日が祝日又は毎月1日の場合、前日が定休日)夏期は無休で営業
アクセス JR三輪駅から徒歩10分
西名阪天理ICから国道169号線で約20分
・奈良・天理方面から:国道169号線で南下、天理を過ぎて国道が新旧に分かれるので左手を大神神社(三輪明神)に向かって進み間もなく(大鳥居の手前左側

・橿原・桜井方面から:国道169号線・旧道に入って大神神社大鳥居を過ぎてすぐの右手。
メニューの一部 冷やし素麺 735円、冷やし素麺(天ぷら付き)945円
田舎にゅうめん
 735円、山の辺会席 2,625円
駐車場 有り(20台程度)
URL http://www.ikeri.co.jp/
三輪茶屋
・享保2年(1717年)創業の老舗「三輪そうめん山本」本社内にある食事処

本社は国道169号線沿い、周囲に木々を植えた広い敷地の中にあり、まるで美術館の雰囲気、誰も素麺の老舗とは思わないだろう。
・内部も広いフロアーを贅沢に使い、美術館のようにほの暗く、深閑としている。販売されている何種類もの素麺も、なにやら超高級品に見えてくる。

別の日に食べたもの。柿の葉寿司がついていた、。

高級感漂う館内
冷やしそうめんセット 800円 
  (冷やしそうめん、柿の葉寿司2ヶ 通年メニュー) 
訪れたのが午後3時過ぎ、館内奥にある「三輪茶屋」は閉じられていた。念のため確認したところ、「そちらのロビーでならお出し出来ます」とのこと。
朝がブランチで空腹だった我々は喜んでお願いした。
注文した「冷やしそうめんセット」のそうめんは何と細いことか、それにシコシコ感、喉越しのよさ、家内ともども声をあげながら食した。

ちょうど帰京が迫っていたので、両親の土産に供されたものと同じ「ヒネ物(下記)」を購入した。

尚、ここでは地元と長崎県で製造しており、私たちが食べたのは長崎産だった。
ホームページ上のメニューは、上記と次の3品のみ紹介されている。
冷やしそうめん 600円 (5月〜9月)
にゅうめんセット 800円 (温かいそうめん、柿の葉寿司2ヶ 通年メニュー)
にゅうめん 600円(10月〜4月)

娘夫婦が夏休みで帰京したので、ダンナのご両親『大和郡山)とともに昼食を取ることにし、私がインターネットで調べた「千寿亭」を提案したところ、先方はこの店をよく知っておられ、「評判良いですよ、でも、混んでいて少し待たされますよ」と言われた。
案の定、15分ほど待たされたが、案内されたのが畳の部屋を個室にしてくれた。6人で注文したのは1,500円前後の品、その内の一品が上記の「五色素麺」だった。
素麺Q&A
資料は上記「池利」「山本」のホームページから。
● そうめん・ひやむぎ・うどん・きしめんの違いは?

面の太さによって呼称が変わる。(JAS=日本農林規格)
そうめん  : 直径 1.3mm以下
ひやむぎ : 直径 1.3mm 〜 1.7mm
うどん   : 直径 1.7mm以上
きしめん  : 幅4.5mm以上、厚さ2.0mm未満
●そうめんは細いほど高級品なの?

そうめんは細い物ほど高級品とされている.。これは次の理由による。

@見た目がきれいであること
A「極細品」は技術上、腕の良い素麺師でなければ作れない
B量が多く出来ない。

但し細いほど美味い、という訳ではなく。個人の好みによる。

手延べそうめんは1本1本の細さが微妙に異なるため、細さの基準は10g当たりの本数で表される。
標準的な麺で10g当たり、90本〜100本程度
細めでは130本、極細では約300本にもなるそうで、ここまで来ると、手先の器用な日本人にしかできない芸術品だ.。
住 所 桜井市箸中880
電 話 0744−43−6661
営業時間 午前11時〜午後4時30分
休業日 年末年始を除き毎日営業
アクセス ・西名阪自動車道 天理ICより20分 箸中交差点過ぎてすぐ右手 (国道169号線沿い)
・近鉄・JR桜井駅より天理方面行きバス利用、箸中バス停下車、北へ徒歩2分
・JR巻向駅下車徒歩10分。 
 
メニュー 上記
駐車場 60台
URL http://www.miwayama.co.jp/
●そうめんの古物(ひねもの)とは?

今年2回目の梅雨を越す(製造から2年目を迎える)そうめんを示す。
同様に「大古物(おおひねもの)」は3回目の梅雨を越すそうめんのことだ。
そうめんは古いほど美味しいと言われるのは、厄を越した(梅雨を越した)そうめんは、新物のそうめんに比べてコシが強く、茹でのびしにくいからだ。。
但し、古ければ古いほどいいかというと、必ずしもそうではなく、一番の食べ頃は製造から2〜3年といわれている。

これに対し、新物は、ほのかな小麦粉の香りや甘味、コクがあり、どちらが美味しいかは個人の好みだ。
●そうめんの上手なゆで方

・ゆでる時間は、そうめんの細さによって変わる。
極細は約30秒
中細は約1分
標準的なものは約1分30秒
・大き目の鍋で、たっぷりの沸騰した湯でゆでる。5束で3リットル以上が目安。
・パラパラと入れ、箸で静かに混ぜる。
・茹で上げ後、冷水で冷やし、よくもみ洗いする。
・調理後は早めに食べる。
●手延べ製の見分け方は

・「手延風」「手打風」「準手延」等の表示は、ほとんどが機械製で、切断面が同じ太さになっている。
 
・手延べ麺は、切って細くするのではなく、よりをかけながら細く引き延ばしてつくる。そのため1本1本の太さ、形、切り口などが、それぞれ微妙に異なる。