岬越しに太平洋を望む内湯は4階にある。源泉はすべての施設に配湯されている掘削自噴の「蓬莱湯」で、泉質は無色澄明の単純硫黄泉。pHが10を超えるアルカリ性なので、ぬるすべ感が凄い。床が滑り安いので要注意。

加温しない源泉風呂は椿温泉の売り物だが、源泉温度が31.8℃と人肌以下なので、冬期はこのままで入浴するのは辛い。加温温泉用蛇口を開けて湯温を少し上げてから身を沈めた。

白浜町は人口23,000人余り、和歌山県の南西部に位置し、大きくは紀伊水道に面した半島地域、富田川下流域及び日置川流域に分かれる。
年間平均気温が17.2℃もあり、本州では日本一早い海開き(5月3日)が行われるなど、温暖で過しやすい気候に恵まれている。

白浜町と言えば円月島・千畳敷・三段壁などの風光明媚な海岸線に、日本三古泉の白浜温泉やパンダが多数いるアドベンチャーワールド等のテーマ―パークが加わって、海浜温泉リゾートの華やかなイメージを思い浮かべる。しかし実際は森林が全体の80%以上を占めていて、世界遺産に登録された熊野古道の大辺路が通っており、こちらも観光資源になっている。

白浜温泉の陰に隠れて知名度が低いが、町域にはかっては関西では珍しい湯治場として知られていた椿温泉がある。

椿温泉は、白浜から42号線で風光明媚な海岸線を横目で見ながら南へ10kmほど走った小高い岬の上にひっそりと佇んでいる。

椿温泉 しらさぎ (和歌山県)

同じ町域にあって関西最大の規模を誇り、日本三古泉の一つである白浜温泉の陰に隠れてしまっている小さな椿温泉だが、近年、旅館の廃業が相次いでますます寂しくなってきている。
関西では珍しく、今でも湯治が出来る「しらさぎ」に立ち寄ったが、単純硫黄泉のぬるすべは健在で嬉しかった。


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所在地 : 西牟婁郡(にしむろぐん)白浜町椿

施設名 : しらさぎ (入浴日:2014.1.24)

椿温泉は、椿楼そして富貴が廃業してしまい、現在は小規模な旅館が3軒と温泉民宿2軒だけの小さな温泉地になってしまった。
幹線道路の国道42号沿いなのに、温泉地とは気がつかないで通り過ぎてしまう人が大部分だろう。

ただ、2010年4月、国道42号線沿い、従来足湯があった所に掛け流しの日帰り施設「道の駅 つばき温泉 椿はなの湯」がオープンしたので、それが椿温泉の目印となった。

歴史的には、天保10年(1839年)の「紀伊続風土記」に、「村の南八丁に椿谷あり、湯小温にして水清く、唯柔なり。浴する時は肢体に油をそそぐごとくにして、すこぶる心地よし・・・」
とあるそうで、少なくとも江戸後期には開湯されていたようだ。

周囲の自然と同じく、今湧き出てる温泉に関しても当時の泉質そのままの湯だ。即ち、
「湯小温・・・ぬるい」「唯柔・・・とてもやわらかな肌触り」「浴するときは肢体に油をそそぐごとく・・・ローションを塗ったようなすべすべ」
これに「微かな硫黄臭」が加われば現在の椿温泉の特質をすべてカバーすることになる。

白浜温泉の美しい海岸線。写真は円月島。

関西住人の年輩の方で、かって湯治を椿温泉でされた方が多い。
その名残を今に残すのが「しらさぎ」だ。

部屋数20室で、内訳は洋室2(BT)、和室18(BT4 T14)。
特色は、館名の前に「湯治のできる宿」と謳っている通り、3泊〜5泊の範囲で湯治が出来ることで、完全自炊で1泊5000円以下だ。
一般の2食付きは10,000円〜13,000円程度で、クエや伊勢海老を使った夕食月だと15,000円を超えるが、この宿では例外的な設定だ。

ここはNHKの「ふだん着の温泉」をはじめ、多くのテレビで報道・紹介されている。
これは女将手作りの衣装300点をはじめかつら、小道具、お面などを使った「着せオケ宴会(コスプレカラオケ宴会)」が人気になっているからだ。

日帰り入浴は、11時〜20時(〜14:00の場合があるので要確認)で、料金は大人600円。

源泉風呂は薬草風呂になっていて、日替わりでアロエ・ヨモギ・またたび・柚子・枇杷の葉、木酢液・レモンなどが入れられる。

当日は大きなアロエがどかんと入れられていた。このまま浸かるとちくちくしそうなので取りだして、加温した温泉を少し加えて入浴した。もう一方の浴槽にはレモンが20個ほど投げ込まれていた。

国道42号沿いに立つ「湯治の出来る宿 しらさぎ」。しらさぎの館名は、昔、しらさぎが傷ついた足を湧出する温泉につけて治していたのを僧が発見したのが椿温泉の始り、の故事に因む。

温泉名 : 椿温泉
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 和歌山県西牟婁郡白浜町椿1056−22
電 話 0739−46−0321
交通機関 阪和自動車道南紀田辺ICから約20km(白浜から10km)
JR紀勢本線椿駅下車  そこから当館送迎有り
施 設(日帰り) ロビー休憩、売店、駐車場
宿 泊 20室(洋室2 和室18 何れもBT又はT付き)
通常料金は2食付きで10,000円〜13,000円程度。

詳細・最新情報はしらさぎのHP参照。
泉 質 単純硫黄泉(源泉温度31.8℃、pH10.1 146リットル/分 無色澄明無味・微硫黄臭)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 11時〜20時(14時迄の場合もあるので要確認)
定休日 不定休
入浴料金 大人600円
入浴施設 内湯男女各1(加温浴槽と加温無し源泉浴槽)
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、、ドライヤーロッカー
観光スポット 白浜温泉観光スポット、南部(観梅)、串本、那智勝浦、熊野本宮
お土産・食事 当館で食事付き入浴可能
近くの温泉 白浜温泉日置川温泉えびね温泉 すさみ温泉、みなべ温泉、田辺温泉
白浜町HP
観光協会HP

椿観光協会HP
http://www.town.shirahama.wakayama.jp/
http://www.nanki-shirahama.com/
http://www.tubakionsen.com/

椿温泉は太平洋を西に望むのでこの日没を見ながら入浴出来る。

太陽光が射して明るい男性浴室(露天風呂無し)。左が加温浴槽(かけ流し)、右奥の小さな2分割の浴槽が加温無しの源泉風呂。

雑然として湯治の宿らしい雰囲気の館内。

しらさぎからのオーシャンビュー。