施設名 : 川原湯共同浴場 (入浴日:2007.5.7)
所在地 : 山形市蔵王温泉
温泉名 : 蔵王温泉 
 蔵王温泉 川原湯共同浴場 (山形県)    
蔵王温泉にあって、地元の人たちが長年にわたって利用してきた共同浴場の一つ。
全国でも珍しく、生まれたばかりの新鮮な硫黄泉が湯船の底から湧き出す極上の共同浴場だ。
戦国大名・最上義光(もがみよしあき)が現在の山形県のほぼ全域を支配下に置き、城下町の建設によって、山形市街の原型を築いた。
これを顕彰して市内には彼の銅像や歴史館が建てられている。

江戸時代に入ると、染料の原料である紅花の取引で栄え、今でも一部の地域で生産が行われていて、県花にも指定されている。

樹氷とスキーと温泉で全国に知られる蔵王は、山形市街の南にあり、主峰の熊野岳(1,841m)をはじめ、刈田(かった)岳・地蔵岳など1,700m前後の山々で蔵王連峰を形成している。

現在は休火山だが、1972年を最後に、分かっているだけで過去に47回も噴火している。
刈田岳の東側にあるカルデラ湖「お釜」は、コバルト色の水を湛え神秘的な姿を見せている。
蔵王温泉宿泊の翌日、蔵王エコーラインから蔵王ハイラインに乗って「お釜」へ。
山頂は強風が吹き荒れ、震えながらシャッターを押した。
住 所 山形県山形市蔵王温泉川原43−3
電 話 023−694−9328(蔵王温泉観光協会)
交通機関 山形自動車道蔵王ICから約18km
JR山形新幹線山形駅から山交バス蔵王行きで40分蔵王温泉下車
施 設(日帰り) 特に無し 
宿 泊 不可
泉 質 含鉄・硫黄・アルミニウムー硫酸塩・塩化物泉(含硫化水素・強酸性明礬緑礬泉)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
日帰り入浴時間 6時〜22時30分
この時間帯は、当日入口に貼ってあった紙に記載されていたが、季節によって変更されるかもしれない。

観光協会のHPでは、「営業時間24時間可、但し7月下旬〜8月下旬と冬季間は午前6時から午後10時」となっていた。
定休日 無休
入浴料金 大人 200円  小人 100円
入浴施設 内湯男女各1
浴室備品 露天風呂にはシャンプー類・ロッカー無し
観光スポット お釜(蔵王エコーライン・蔵王ハイライン)蔵王スカイケーブル・蔵王ロープウエィ・樹氷・鴫の谷地沼(水芭蕉)・三階の滝(日本の滝百選)&不動滝観瀑台・山寺(立石寺)
お土産・食事 温泉街で可
近くの温泉 遠刈田温泉・峩々温泉・青根温泉・かみのやま温泉・天童温泉・東根温泉
山形市観光協会HP
蔵王観光協会HP

http://www.kankou.yamagata.yamagata.jp/db/
http://www.zao-spa.or.jp/

雑記帳 有名な蔵王の樹氷と同じものは、東北地方の奥羽山脈の一部の山域(八甲田山、八幡平、熊野岳、吾妻山)の亜高山地帯にしかできないそうだ。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
蔵王温泉の数ある旅館の中から老舗旅館「深山荘高見屋」に予約を入れた理由の一つが、周辺にもともと地元の人専用だった共同浴場が集中していることだった。

中でも上湯共同浴場が目の前にあったので、チェックイン後すぐに手ぬぐいと小銭を持って向かった。
熱くてピリピリする湯に浸かっている最中に、地元の人から「川原湯は風呂の底から湯が湧き出てるよ」と聞いた。
このウエブサイトに「足元湧出風呂」のコーナーを持っているので、これを聞いて直ちにそちらに向かった。

川原湯は、高湯通りの裏手、少し奥まった所にあり、上湯同様に小さくて簡素な木造の湯小屋だった。
入口には小箱がかかっていて、そこに200円を入れる。
中は狭いスペースに簡素な脱衣棚が設けられている。

ここに来るまでに、夕方だし地元の人が多く入浴しているだろうなと思っていたが、なんと先客はおらず無人だった(急いで風呂を撮影)。

硫黄の臭いが漂う浴室に入って2つのことに驚いた。
1つは、木造の浴槽が底も四方も「すのこ」状になっていて、新鮮な湯がその間から湧き出てくるのだ。
四方を見まわしても湯口はなく、おそるおそる下・横のすのこの間に手を突っ込むと、向こう側にも湯が満ちている。源泉が湧き出る場所の上に小屋・湯舟を乗せたのだろうか。
なんだか、底なしの湯壷に引き込まれそうな気分がして少々怖く感じた。
もう1つ気がついたことは、強酸性硫黄泉だと温泉の色は白濁しているのが相場だが、ここは透明だった(心持ち青白い)。
新鮮な湯が大量に湧き出し、白濁する前に外に流れ出ているためだろうか、感動的な風景だった。
蔵王の共同浴場では、後から湯舟に入る者は、波を立たせないように静かに浸かるのがマナーだと言う。

これは我慢して高温の湯に静かに浸かって、ようやくそれに慣れてきた先客に熱い湯が当たらないようにするためだそうだ。
そんなことを聞いていたので、激熱を想像して恐る恐る爪先から入れていった。しかしアチチと一声、外に飛び出す熱さでなく、歯は喰いしばったものの肩まですっぽり浸かることができた。

尚、源泉温度が48℃なので、極少量だが加水されていた。
浸かりながらしばらくして、もう一つ気がついた。
玉川温泉並、草津よりpHが低い強酸性(川原湯はpH1,45)の湯だが、肌に柔らかさを感じたのだ。

老人性の乾燥肌に悩む私なので、本来ならピリピリ感に襲われるはずだったがそれが感じられなかった。
同じ強酸性の草津より湯はやわらかい、と何かに書いてあったが、それを実感した。
泉質は「含鉄・硫黄・アルミニウムー硫酸塩・塩化物泉(硫黄泉)という大変長い名前で、多くの成分を含有する温泉だが、これらの成分の微妙な配合がこの感触を作り上げているのだろうか。
口に含むとレモンに似た酸味がした。
すのこの間から温泉が湧き出ている。まるで源泉の上に浮かんだような湯小屋だ。
200円をこの箱へ。くれぐれも無賃入浴はしないように。
4,5人が入れる程度の風呂。
シャンプー類は置いてない。
素朴な外観の川原湯
強酸性の湯に相応しい名の酢川温泉神社。階段が200もあるので下から参拝。
それでも、外部資本の参入は限定的で、今尚、地元資本主体の昔ながらの温泉街風情を保っている。
温泉街の中心は坂道が多く、狭い道が迷路のように四方八方に延び、そこに小規模の旅館や土産物屋がひしめき合っている。
蔵王温泉は全国でも屈指の湯量を誇り、1分間当りの湧出量は5,700リットルに達する。
また、蔵王温泉の特筆すべきもう一点は、昔ながらの外湯(共同浴場)と日帰り温泉施設が充実していることである。

共同浴場としては、地元の人が長年に亘って管理・使用してきた「上湯・下湯・川原湯」の他に、近年オープンし、今や蔵王温泉の新しいシンボルとなった「大露天風呂」の4つがある。

他に民間が経営する「源七露天の湯」や「新左衛門の湯」等の日帰り施設も充実していて、pH2を下回る強酸性・硫黄泉を手軽に楽しめる。
坂道の途中にある上湯
蔵王連峰を挟んで、宮城県側の東側山麓には遠刈田(とうがった)温泉・青根温泉・峩々(がが)温泉、山形県側の西麓、標高900mの高原には蔵王温泉が湯煙を上げている。

ここは江戸時代から昭和初期にかけて、町内の戸数を50軒前後に限定していて、次男、三男は温泉街から出て行ったそうだ。
その為、温泉街は縁戚関係が濃く、岡崎・伊藤・堀の三家でほとんど占められて来たようで、現に私が宿泊した「深山荘 高見屋」は岡崎家が経営している。

こうして源泉を持つ湯仲間は、旅館の増設や近代化を阻んできたが、1951年、蔵王が「全国観光地100選」の第1位に選ばれ、その名が全国に知れ渡った。
これを機に、従来の温泉名「高湯温泉」から「蔵王温泉」に改められ、スキー場の新設などが一気に進んだ。
坂道の途中にある上湯
川原湯と上湯の2つの共同浴場に浸かることによって、今や蔵王温泉のシンボルで人気を呼んでいる「蔵王温泉大露天風呂」の入浴を捨てた。
しかし川原湯に浸かって大満足、何の悔いも無く蔵王を後にした。