部屋と廊下の仕切りは襖。外に出るときはこの南京錠でロックする。初めての経験だった。
宿泊した和室。水牛の角がどか〜んと置かれていた。
千人風呂への廊下
情緒ある湯上り処、日帰り客が利用していた。
檜造りの階段
玄関から見る館内
簡素なフロント
風呂場を含めて、大正から昭和初期に建てられた本館内は凝った造りでなく、古民家には今も残っている風情だ。それだけに懐かしさを感じる。
木造でしか味わえないやすらぎ感・しっとり感がそこここに漂うのだ。
客室はわずか13室しかない。
内訳は、トイレ付き和室が7部屋、トイレ無し和室が3室、それにいったん外に出て30mほど先にある別館のバストイレ付き洋室が3部屋だ。

宿泊料金は、平日15,000円〜休前日25,000円程度だが、特別日・期間は加算され、また随時料金が変更されるので、予約の際はホームページ又は電話で確認ください。
当日、宿泊した部屋は、昭和31年に建てられた建物の2階の「たちばな」で10畳に6畳の次の間。木造の窓や広縁に風情があった。(1室2人 日曜日宿泊で@18,000円)
但し、トイレ付きを頼んだのに部屋には無く、すぐ近くにあったものの、和式だったのには往生した。
下田市の国道沿いにある開国博物館。幕末の日本と下田の様子を千点にものぼる資料によって詳しく知ることができる。
イセエビの鬼殻焼
魚介の前菜
土瓶蒸し
アンキモを包んだ一品
魚のすり身の饅頭
最高に美味しかったキンメダイの味噌焼き
頭も食べられるカサゴの唐揚げ
出ました!大きなアワビ
館 内
施設名 : 金谷旅館(立ち寄り 2002年11月、宿泊 2006.12.10)
所在地 : 下田市 
温泉名 : 河内(こうち)温泉  
住  所 静岡県下田市河内114−2
電  話 0558−22−0325
交通機関 東名用賀IC、厚木IC(小田原厚木道路)、小田原(国道135号線)、蓮台寺経由で約160km
東名沼津IC(県道83・国道136・国道414号線)、蓮台寺 約70km
伊豆急行 蓮台寺駅から徒歩5分
施  設(日帰り) 休憩所、駐車場(50台)
宿  泊 13室  平日 15,000円〜
詳しくは金谷旅館ホームページ参照
外来入浴時間 9:00〜22:00 (予約不要) 
定休日 無休
泉 質 弱アルカリ性単純温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴料金 大人 1,000円 (2時間)
入浴施設 内湯:混浴1 女1 露天風呂:男1女1、貸切風呂2(無料)
浴室備品 石鹸(シャンプー無し) ロッカー
観光スポット 吉田松陰寓寄処、開国博物館、下田海中水族館、下賀茂熱帯植物園、爪木崎、石廊崎
お土産・食事 両方とも下田温泉及び国道414号線沿いに多数(ワサビ漬け・干物等)
近くの温泉 蓮台寺、下田、下賀茂温泉、観音温泉、大滝、河津七滝、今井浜、湯ヶ野、河津浜、峰、稲取
下田市HP
金谷旅館HP
http://www.city.shimoda.shizuoka.jp/
http://homepage2.nifty.com/kanaya/
雑記帳 (第1回入浴時作成)
下田に向かうには国道135号線に乗り、熱海・伊東経由で東海岸沿いに行くルートは、海の景観を楽しる。しかし、私は天城越えの山間ルートを取った。高校時代、クラブ活動で雑誌文芸部に所属し、文学散歩として川端康成作、伊豆の踊子の舞台となった天城の旧道を歩いた青春時代が懐かしかったからである。
温泉巡りをすると、若かりし頃、あるいは最近読んだ小説の舞台の地を訪れ、通過することがよくある。
「井上靖・氷壁」の新穂高温泉、売れっ子推理小説家・内田康夫の天河伝説殺人事件の天の川(天川村)温泉などなど。
温泉巡りの余得である。


データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
下田市は伊豆半島の南東部に位置し、面積の約8割を占める山々と約50kmにおよぶ海岸線が美しい景観を作り上げている。
人口は約26,600人(平成18年4月1日現在)、気候温暖で自然に恵まれ、夏は白浜・柿崎・入田・吉佐美等の海水浴場が混みあう。
また、平野部には蓮台寺・下田・河内温泉などの温泉が湯煙を上げている。

下田は歴史上、所謂「下田条約」が結ばれたことで知られている。
江戸末期、欧米列国が江戸幕府に開国・開港を迫り、1854年(安政元年)、米国・ペリー提督は再び艦隊を率いて神奈川の沖に錨を下ろした。
幕府はついに日米和親条約を結び、ここ下田港と函館港に外国船の出入りを許した。
これに基づき、ペリー提督は7隻の軍艦とともに下田港に入港し、和親条約の細かな取り決めを幕府と結んだ。
これが下田条約である。
温泉巡りを始めて間もない2002年11月、峰温泉に宿泊の際、少し遠回りして蓮台寺温泉にほど近い河内温泉・金谷旅館に立ち寄った。
入浴後、いつかここに泊まって、日本最大級の総檜造り「千人風呂」にゆっくり浸かりたいと思った。
それから4年後、ようやくその念願が叶った。
改定版
首都圏在住の人には「踊り子号」の名前はお馴染みで、すぐに東伊豆・中伊豆の温泉を連想する。
この列車は、、東海道本線・JR伊東線そして伊豆急行に乗り入れて下田に向かう路線と熱海駅から伊豆箱根鉄道駿豆線に乗り入れて修善寺に向かう2つの路線がある。

斬新なスタイルのスーパービュー踊り子号は東京駅などから始発していて、通勤途中のサラリーマンがこの車両を見ると、「俺も伊豆の温泉へ行きたいな〜」と羨望の眼差しで見る。(私も何回も経験)。

熱海から国道135号線に沿って南下した列車は、伊豆山・熱海・網代・伊東・川奈・伊豆高原・北川・熱川・片瀬・稲取・蓮台寺と次々に温泉地を通り過ぎ、終点の下田駅に到着する。

河内温泉は、蓮台寺駅から目の前を流れる稲生沢川を渡って徒歩5分ほど、なだらかな金谷山の麓に一軒宿の金谷旅館が湯煙を上げている。
一昔前の周囲はのどかな山里だったろうが、今もその雰囲気を残している。

河内温泉は、蓮台寺温泉のすぐ近くにあるので、少し前のガイドブックでは、蓮台寺温泉に含まれていたこともあったが、最近では下田河内温泉と記述されているケースも見かけた。。
いずれにしても河内温泉は、蓮台寺温泉にも下田温泉にも含まれず、一湯一宿の独立した温泉として称されるべき温泉地だ。
スーパービュー踊り子号(写真はJR東日本から拝借)
伊豆半島に多い「なまこ壁」の蓮台寺駅
金谷山を背景に湯煙を上げる河内温泉・金谷旅館。
ルートアドバイス

車で河内温泉に向かう場合、ハイシーズンや休日は、有料の小田原厚木道路厚・真鶴道路及び熱海・伊東にかけての国道135線で渋滞することが多い。
その場合は、小田原から箱根ターンパイク・伊豆スカイライン経由で国道135号線に出て、海沿いを南下するルートをお薦めする。
名古屋方面からの場合は、東名・沼津ICから国道136・414号線で天城峠越えをして南下する。
このルートも修善寺・天城湯ヶ島・河津温泉郷など、多くの温泉地を通過するので立ち寄り湯が存分に楽しめる。
温泉巡りを始めて半年経過した2002年11月、親族で河津温泉郷峰温泉に宿泊した際、別行動で少し遠回りして金谷旅館に立ち寄った。
目的は、温泉ガイドブックで紹介されていた巨大な総檜造りの千人風呂に入りたかったからだ。

普通、実際入浴してみると写真の風呂よりずっと小さい、と感じるが、ここは写真で見るよりさらに大きな風呂だった。
入浴後、いつかここに泊まってゆっくりと入浴を楽しむぞと心に決めた。
それから4年、その念願が叶った。
金谷旅館は、江戸幕府が間もなく崩壊する慶応2年(1866年)に創業、140有余年の歴史を誇り、当主は5代目に当たる。

2千坪の広大な敷地に入ると、昭和4年に建てられた本館がひっそりと佇んでいて、ここだけ時の流れが止まり、まるで大正・昭和初期にタイムスリップしたような感覚に陥る。

なまこ壁を張り巡らした本館は、日本建築の粋を集めた豪華・華美な建物ではない。
地元の大工・左官が建築したような素朴な木造建築、それだけに我々の世代には郷愁を感じさせる。

庭も手入れされた銘木が立つわけではなく、少し広い敷地を持った旧家の庭のようだ。
昭和4年建築の本館
洗濯物が干されて生活感が溢れる。後の建物は昭和31年建造の客室。2階(2室)右側に宿泊した。
なまこ壁の玄関は引き戸だ。
当主の趣味が天文学のようだ。因みにダンスホールもあって、ここは女将用。
日本一の総檜大浴場」の文字。
玄関を出て30m先にある別館には、BT付き洋室が3部屋ある。
玄関前に置いてあるバードケージ
料 理
風 呂
総檜造りの風呂としては、日本で最大級の大きさを誇る千人風呂(混浴)。
もちろん風呂の床も檜だ。


長さ15m・幅5m、風呂の半分は深さが1mあり、大人でもゆうゆう泳げる。

千人風呂は、大正4年(1915年)に先々代の主人が造ったもので、もともとは温泉プールだったようだが、現在は、半分が座って入浴できる深さになっている。
当時はコンクリート・タイル張りだったが、現当主になってから、2回の改修で総檜造りとなった。

この日、チェックインしたのは午後4時前、荷解きもせずに4年ぶりの千人風呂に向かった。

風呂場の窓からは初冬の夕方の弱い光が差し込んでいたが、外気温との差で風呂場は湯気がもうもうと舞い上がり、数メートル先が見えない幻想的な風景だった。
わくわくしながら湯に浸かる。いい風呂に入ると、感動はこの瞬間にやって来る。
滑らかな檜が背中・尻に当り、なんとも心地よい。
透明で刺激性がない弱アルカリ性単純温泉のやさしい湯は、檜風呂によく似合う。
もっとも、硫黄泉だったら檜で風呂は造れないだろう。


風呂が大きいので、湯口から遠ざかると湯温が下がり、一度に「熱い・適温・温(ぬる)め」が楽しめる。
風呂場には石鹸のみ置いてあるが、宿泊者には小さなシャンプーが部屋に用意されている。
午後4時過ぎの入浴。小さなブロンズ(多分)像が浮かび上がって見える。
透明、柔らかな湯が湯船から流れ出る。透けて見える底も檜だ。
100%源泉が惜しみなく湯船に注がれる。この後には小さな独立した湯船がある。
千人風呂から直接露天風呂に出られる。湯温は温めだった。
女風呂から千人風呂に入れる。風呂が大きいので女性も抵抗が少ないだろう。
貸切風呂の湯小屋が本館のすぐ横にある。昔、1銭で入浴できたので、今でも1銭風呂と呼ばれている。
同じ造りの貸切風呂が2つある。コンクリートの湯船は3つに分かれ、それぞれ湯温が違う。無料で、空いていればいつでも入れる。
平成3年に造られた女性用の「万葉の湯」。構造は千人風呂と同じで、女性専用檜風呂としては日本一の大きさだそうだ。(写真は金谷旅館ホームページから)
チェックアウト時にようやく湯気が薄くなって、風呂場の全貌を撮影できた。仕切りの左側が深さ1m。就寝前、3度目の入浴の時に平泳ぎで往復した。足が底を蹴ることなく、ゆうゆうと泳げた。
千人風呂は、様々な温泉ガイドブックのグラビアを飾り、内湯特集では巻頭に掲載されることもある。
面白いのは、万葉の湯は「女性専用総檜風呂としては日本一」と堂々の宣言だが、千人風呂の方は曖昧な表現になっている。
巨大な内湯としては、青森県・酸ヶ湯温泉の千人風呂を思い浮かべるが、そこはヒバ造りだ。
どこに日本一の総檜風呂があるのか、是非知りたいところだ。
夕・朝の食事が期待していた以上に豪華、かつ一手間かけた料理だったのniha
驚いた。
失礼ながら、金谷旅館の建物・館内の雰囲気から、料理にはあまり期待していなかっただけに、嬉しいサプライズだった。

食材は近くの漁港から上がった魚介類が中心。
例えばお造りは、アジ・メダイ・カンパチ・イセエビ・サザエ・アワビ・マイカ・マグロの8種盛りという贅沢さで、そのうえどれも新鮮だった。
カサゴの唐揚げも美味しかったが、特に伊豆が誇るキンメダイの味噌焼が秀逸だった。
朝食も同様で、アジの干物・身たっぷりのイセエビの味噌汁・イカ素麺など、どれも
美味だった。
●朝食
後出しのイセエビ味噌汁・アジの干物・イカ素麺
最初に並べられた料理
●夕食
トイレが外、加えて和式(風呂に金をかけ過ぎてトイレ改造に手が回らない?)に不満が残るが、肝心の風呂・料理は大満足。宿泊料金18,000円は決して高くなかった。
(下田)河内温泉 金谷旅館 (静岡県)
伊豆半島は温泉半島である。
半島の東海岸沿いには、主なものだけでも、大温泉地である「熱海」から始まって、「網代」「伊東」「宇佐美」「北川」「熱川」「稲取」「今井浜」「河津浜」、西海岸沿いには「土肥」「堂ヶ島」「松崎」「石部」。

そして半島中央を南北に貫き天城峠を通過する下田街道(国道136号線・414号線)沿いには、「伊豆長岡」「大仁」「修善寺」「湯ヶ島」「大滝七滝」「蓮台寺」温泉等が連なる。

しかし、伊豆は単に温泉地が多いだけではない。
大温泉地・名湯・秘湯等の好みに応じた温泉を選択でき、海の幸・山の幸を味わえる大小のホテル・旅館や多数のペンション・民宿が温泉客を出迎える。
それに、海岸・山塊・渓流・渓谷・山里等のバラエティに富む自然が加わる。
海沿いを走る国道135号線