白浜温泉・古賀の浦。正面の建物は日本一バブりーな温泉ホテル「川久」

白浜町は紀伊半島の南西部に位置し、北は田辺市、西は太平洋、東は富田町、南は日置川町と境を接していたが、平成18年3月にここと合併して町域を広げた。

白浜町と言えば、誰もが瞬時に白浜温泉を思い浮かべる
日本三古泉の一つ白浜温泉(他に有馬温泉・道後温泉)は、田辺湾から鉛山湾にかけて点在する新白浜・古河浦・大浦・網不知・東白浜・白浜・湯崎温泉などの総称である。

白浜温泉の魅力は、恵まれた湯量、洗練された設備・料理・サービスのホテル・旅館、白良浜・円月島・千畳敷・三段壁などの景勝、新鮮な魚介類、数多いテーマパークなどのレジャー施設、それに夏の海水浴など、単なる温泉地という枠を超えた総合力にある。

山間(やまあい)の温泉は雨や霧の日が情緒を増すが、白浜は快晴・青い空が似合う温泉リゾート地だ。

白浜温泉の陰に隠れて知られていないが、町域には特色ある小さな温泉地がもう数ヶ所ある。
椿温泉・日置川温泉えびね温泉(後者の2つは日置川町との合併で編入)がそれで、何れも私のお気に入りの温泉だ。

椿温泉は、白浜から42号線で風光明媚な海岸線を横目で見ながら南へ10kmほど走った小高い岬の上にひっそりと佇んでいる。


第三版 2010.5改定
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 和歌山県西牟婁郡白浜町椿485
電 話 0739−46−0101
交通機関 阪和自動車道南紀田辺ICから約20km(白浜から10km)
JR紀勢本線椿駅下車  送迎有り・・・事前連絡必要(2名以上)
送迎時間:14:00〜18:00 翌朝8:00〜11:00)
施 設(日帰り) ロビー休憩のみ、売店、駐車場(約30台)
宿 泊 20室(10畳和室BT付15室 8畳和室T付5室) 平日2人1室10,800円〜(2010年5月現在・・・割り安プランも随時有り)
詳細は下記ホームページで。
朝食付き宿泊、3日以上の湯治プラン有り

チェックイン午後3時 チェックアウト午前10時
泉 質 単純硫黄泉 源泉温度36度
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 12〜20時(事前に当日入浴できるか確認しておいたほうがベター)  
宿泊者は24時間
定休日 無休
入浴料金 大人700円 
入浴施設 内湯男女各1
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、、ドライヤー
観光スポット 白浜温泉観光スポット、南部(観梅)、那智勝浦、熊野本宮
お土産・食事 土産・食事は白浜温泉で。食事付き入浴有り(冨貴HP参照)
近くの温泉 白浜温泉日置川温泉えびね温泉 
白浜町HP
観光協会HP
冨貴HP

椿観光協会HP
http://www.town.shirahama.wakayama.jp/
http://www.nanki-shirahama.com/
http://www.shirahama-fuki.jp/
http://www.tubakionsen.com/

清潔な脱衣場。棚の籠は持ち運びできて便利だ。

カラフルな洗い場

ぬるぬる、泡が付く単純硫黄泉。

美しい自然石を張った浴室と浴槽。

美しい自然石を敷き詰めたこのやや深めの源泉風呂は2人入れるが、先客がいたら入りにくい。いつまでも独占したいが、誰かが入ってきたら譲る心がけをしている。

この改定原稿を作成中に、久しぶりに冨貴のホームページを訪れたら
楽天トラベルアワード レジャー部門近畿エリアで金賞(2008年)銀賞(2009年)受賞」との文言が踊っていた。
楽天の冨貴のページはここ

ここの記事を見に行ったところ、三木谷 浩史楽天社長参列の表彰式写真に今村冨貴支配人の誇らしい姿もあった。

東北で見るような完璧なスタイルではないが、ここでは3日以上の湯治が出来る。(昭和60年頃までは完全な湯治システムがあった)
関西では希有なことだ。
江戸時代から続く湯治場としての椿温泉の伝統が守られていて、なんとも嬉しい気持ちになる。
この伝統を今後とも是非大切に守って頂きたい。

日帰り入浴は12時〜20時まで、入浴料金は大人700円になっている。
入浴出来るか、念のために事前に電話で確認しておいた方が良いかもしれない。

加温無しの温度は35℃前後だろうか、絶妙の温さでこれより温度が下がると冷たさを感じてくるだろう。
温泉は自家源泉、動力で地中より汲み上げている。
このタイプの温泉は次第に湯度が下がっていく傾向にあるので、いつまでこの温度を保てるか、他人事ながら心配になってくる。


このぬる湯の楽しい点は、どうしても長湯になるので、その間に相客と出身地とか温泉談義に花が咲くことが多く、あっという間に時間が経過してしまうことだ。

インターネットでの冨貴の評判は素晴らしく、部屋や食事はともかく、こと温泉に関しては絶賛が続く。
また書き込みに今村支配人が丹念に返事をしていて、これが好循環になっているのだろう。

宿のロビーにはインターネットの各種口コミの分厚いコピーが置いてあって、それだけインターネットの重要性を承知しているように思える。

朝食には温泉粥がつく

駐車場の前方で飼われてるマスチーフ犬。大きくて怖そうに見えるが気立てはおとなしいそうだ。我が家のアルとも対面を済ませた。

遠路札幌から来られたのらうさぎさん(右)と。頑張っておられる今村支配人からは、私のHPを見たり記事をコピーして持参する方がいる、と感謝された。

ロビーのソファ海に面していれば素晴らしいのだが・・・。

この料金で期待していなかった(古いタイプだが)シャワー付きトイレに家内喜ぶ。

オーシャンビューが素晴らしい10畳+4畳位の広縁(201号室)、2人1室1人10,800円はとても割安に感じる。

美しい日没を見逃さないように

部屋から見る日没前の太平洋

宿の横から磯に下りることもできる。

テラス越しに太平洋を臨むダイニングルーム(私のお気に入りの場所だ)。

外観はかなり古びてはいるが、黄色い外壁・オレンジ色の瓦屋根、南欧の雰囲気を演出してるのだろうか?

玄関前の庭も南欧風

目の前が海に落ち込む崖

磯に下りると、かっての露天風呂の跡が崖下にあった。


湯治スタイルでない一般宿泊は、2階と3階、眼下に太平洋を臨むオーシャンビューの部屋になる。ガラス窓が床まであるので、まるで太平洋に落ち込むような気分になる。

冨貴からのオーシャン(太平洋)ビュー

日置川温泉

しかし、温泉そのものに拘りを持つ人が増加してくるに従って、上質の源泉風呂、これに太平洋を臨む客室とリーズナブルな料金設定も加わって、冨貴の認知度・人気度が徐々に高まってきており、ネット上の口コミ評価も極めて高い。

新規の設備投資を行っているわけではなく、これは偏に今村支配人以下のスタッフの努力によるもので、先般、「楽天トラベルアワード2008 レジャー部門近畿エリア」の金賞を受賞、2009年も引き続き同部門銀賞を受賞したのは目出度い限りだ。

館内・客室はかなり古びていて、料金設定からして当然だが食事も家庭的なもので(オプションをつければ別だが)、露天風呂も無い。
しかし、温泉力の劣る関西にあって、1万円でこれだけの温泉に浸かれる温泉宿は希有な存在と言っていいだろう。

間もなく日没、太平洋が残照で輝いていた。右が人肌より低い源泉風呂、右が加温した風呂。入浴したままでも海が見える。

椿温泉は西に向かっているので、日没の中での入浴が楽しめる。

一昔前の観光ホテルの雰囲気が妙に心を和ませる。

・・・・・旅館名は「冨」貴で「富」貴ではない・・・・・

風 呂

露天風呂も貸切風呂も無く、ただ浴槽を3つ持つ内湯があるだけだ。
しかし、この内風呂がいい。2つある温い源泉浴槽が素晴らしい。
人肌より低い源泉は、はじめ冷たく感じる位だが、次第に体の中からぽかぽかと温もってくる。
ふと気がつくと手足に細かな泡がまとわりついている。
大きなガラス越しに見渡せる太平洋、碧い空と青い海が壮大で美しい。
この風呂に1時間はおろか2時間3時間浸かっていた人も珍しくない。

温泉に行きたいな・・と思う時、不思議に思いだすのがここの源泉風呂だ。

私が最初にここに来たのは2001年の1月、まだ現役、温泉巡りの記録をし始めて間もない時期で、会社の先輩のAR氏が持つ白浜の別荘に宿泊して、翌日、椿温泉を訪れた。
立ち寄ったのは「冨貴」。

このときはまだ温泉経験が少なかったが、それでも、冨貴の加温・加水無し、ぬるぬるで微細な泡が付着する低温の源泉風呂は強く印象に残った。

その後、2回立ち寄りをして2006年4月、
日置川町との合併に伴う選挙で再選を果たした白浜町長のT氏に祝意を述べるために白浜を訪問、同じ町域にある椿温泉に宿泊することにし、冨貴に予約を入れた。

このとき、町長にあらためて椿温泉の素晴らしさを伝え、町の大切な観光資源であることを僭越ながら強調した記憶がある。

そして昨年11月、毎年北海道から白浜に滞在されている「のらうさぎさん」が椿温泉に御来訪、家内とともに白浜駅で出迎えてから冨貴にお連れし、2回目の宿泊となった。

●前回(2006年4月)のときの夕食(順不同)・朝食

夕食・朝食ともダイニングルームで取る。
ここは私の好きな場所で、テラス越しに太平洋を望んでとても開放的、夏ならば夕食を取りながらの日没の瞬間をを見ることが出来、朝は日を浴びる太平洋を見ながら取る朝食がとてもうれしい(パン食ならもっと似合うのだが)。

夕食は宿泊料金からして当然のごとく、高級食材を使った洗練されたものではなく、飾り気のない家庭的な料理だ。(追加料理を頼んで食卓を賑わせることも可能)。

朝には温泉粥がつく。

食 事

白浜町には日本最大の海浜温泉リゾート・白浜温泉以外に、かっては関西の数少ない湯治場として知られていた椿温泉がある。

現在も小規模の宿や民宿が5軒余りのひっそりした小さな温泉地だが、松田忠徳氏もその著書「温泉教授の日本全国温泉ガイド」で詳しく紹介している隠れた名湯だ(但し推奨されていた椿楼は閉館)


今から8年ほど前、温泉巡りを始めて間もなくここ冨貴に立ち寄ったが、加温・加水無し、僅かに硫黄臭がして、その上皮膚に泡がつく温い源泉風呂に惚れ込んで、その旨を記事にした。

当時は冨貴を紹介しているサイトがほとんどなく、冨貴にもホームページが無かった。

前回撮影。、日光が広いガラス窓から射してきて眩しい位だ。ここの風呂は早くチェックインして、日中にのんびり入られることをお薦めする。そのためにもチェックインを1時間早めて2時からにしてほしい。

逆方向から入口に向かって撮影。日光に照射されて、透明な湯がキラキラ輝いて心が弾む。

浴室に入ると黄・茶・オレンジ色をした美しい自然石の床と風呂が目に飛び込んでくる。そして前方に目を向けると、2方向に大きなガラス窓があり、その先に太平洋の茫々たる海原が広がり、水平線がはっきりと分かる。

明るい日光がサンルームの様に入って来て、谷間(たにあい)の温泉では見られない明るい浴室になり、今、南紀にいることが実感できる。

入った瞬間、かすかに硫黄臭が漂ってくる。
泉質は単純硫黄泉、若干の硫化水素を含んでいるからだ。

男湯の場合、正面向かって右の浴槽が加温・加水無しの源泉風呂、左側が42℃位に加温されていて、ともに掛け流しになっている。
源泉風呂は強いぬめり感があって、気がつくと皮膚に細かな泡がびっしりついてくる。

この2つの風呂を交互に入ってもいいが、望むらくは加温の温度をもう少し下げて、温度差を少なくしてもらえれば移動がし易くなるのだが・・・。

施設名 : 冨貴  (宿泊日:2006.4.14 2回目宿泊日:2009.11.23・・・2人1室1人 10,800円
所在地 : 西牟婁郡白浜町椿

楕円形の小さめの源泉風呂から撮影。

現在の椿温泉は、先般、当地の一番大きな旅館「椿楼」が閉館したので、小規模な宿が5軒と民宿が1軒がひっそりと営業している素朴で小さな温泉地だ。

幹線道路の国道42号線沿いなのに、温泉地とは気がつかないで通り過ぎてしまう人が大部分だろう。
これは土産物屋などはなく温泉街が形成されておらず、旅館のほとんどが国道から奥に入った岬にあることによる。

しかし、今年(2010年)4月、国道42号線沿い、従来足湯があった所に掛け流しの日帰り施設「椿はなの湯」がオープンしたので、国道を通る人にはその存在が分かりやすくなった。

歴史的には、天保10年(1839年)の「紀伊続風土記」に、

「村の南八丁に椿谷あり、湯小温にして水清く、唯柔なり。浴する時は肢体に油をそそぐごとくにして、すこぶる心地よし・・・」

とあるそうで、少なくとも江戸後期には開湯されていたことが分かる。

周囲の自然と同じく、今湧き出てる温泉に関してはも当時の泉質そのままの湯だ。

即ち、

「湯小温・・・ぬるい」
「唯柔・・・とてもやわらかな肌触り」
「浴するときは肢体に油をそそぐごとく・・・ローションを塗ったようなすべすべ」
これに「微かな硫黄臭」が加われば現在の椿温泉の特質をすべてカバーすることになる。

関西にあって、年輩の方でかって椿温泉で両親などに連れられて湯治をされたという方を何人かにお聞きした。
現在の椿温泉もかっての湯治場としての伝統を宿に残しており、湯治が主体の常連さんが集う小さな宿も健在である。
温泉名 : 椿温泉
椿温泉 冨貴 (和歌山県)

2011年5月21日冨貴・今村支配人に確認。
耐震工事のため現在休業中。東北復興のために業者が払底しているので、作業が遅れており、3カ月6カ月単位の休業見込み。
HPも現在リンクが外れて見えない。

部屋は、10畳(BT)が15室、8畳(T)が5室の合計20室、料金は10,800円〜18,800円(2010年5月現在)と幅があるが、これは主として料理の違いによるものだ。

私の独断で申し上げれば、料理や食材に拘る方や量を望む方は別として、この宿では追加料理を頼むことなく、また高価な食材をふんだんに使った豪華なプランを選択せず、10,000円前後のスタンダード料金で宿泊すると望外の満足感を間違いなく得られると思う。
この宿のハードウエア―、建物・館内・,客室などの現状からすれば、たとえ夕食が豪華でも、素晴らしい温泉を満喫しても、15,000円ならともかく、2万円近い料金となるとコストパーフォマンの良さに感動する気持が薄れるだろう。

宿への要望として、標準料金は許す限り現在の1万円前後を維持し、また(夕食抜き)朝食プランや湯治プランは今後とも是非続けていって欲しいと願うところだ。
(一部加温)

●今回(2009年11月のときの夕食(一部)・朝食

今回も温泉粥がついた。