客室24に対し、男女交代制の大浴場と露天風呂が各2ヶ所それに無料で利用できる家族風呂が2ヶ所と大変贅沢だ。

特に、家族風呂の「ごんすけの湯」は、温泉教授の松田忠則氏が著書「日本百名湯」と温泉教授の「日本全国温泉ガイド」で
「家族風呂といっても、坪庭が眺められたり、天井にステンドグラスがあしらわれたりしていて、小粋なのだ。風呂場の造りと湯質がこれほどバランスの良い家族風呂に出会ったことがない。」
と絶賛、日本一の家族風呂と断定しておられる。

この両著とも持っているが、予約時にはこの記事には気がつかず、他の方の温泉サイトを見て決めたもので、いま当記事を作成中に日本百名湯の温泉・宿とはじめて気がついた。

日本一の家族風呂かはともかく、ごんすけの湯は洒落た雰囲気と温もりを兼ね備えた風呂であることは間違いない。

ここは夜間でなくて日中の入浴をお薦めする。
これまで何回も漆喰あるいはペンキを塗り重ねたせいだろうか、厚く塗られた温かみのある白い壁に外からの光が反射してやわらかな陰影を作り、天井には黄色をベースにしたステンドグラス、レトロなタイル張りの風呂から透明な温泉が静かに流れ出ている・・・なんとも美しい浴室だった。

木津温泉 丹後の湯宿 ゑびすや (京都府)

ゑびすやは温泉教授松田忠則氏の「日本百名湯」の温泉・宿だ。
昭和5年創業、現在3代目当主が経営する宿の名前は、少し前までホテルゑびすやだった。

建物は、木造2階建ての本館(大正館)と平成2年に建てられた鉄筋4階建ての新館、部屋数は両館合計で24室(BT15、 T2、BT無7)の小さな宿だ。
設備の整った快適な部屋を望む場合は新館、低料金かつ大正・昭和の風情を感じたい場合は大正館と呼ばれる本館に宿泊すると良い(2009年10月現在1万円程度~2万円前後 詳しくはHP参照)。


しかし、新館に泊まっても、本館のパブリックスペースを利用してゆっくり時間を過ごしたり、和と洋/レトロとモダンの融合、一部がアールヌーボー調の館内を見て回るのも楽しい。

ゑびすやは、推理小説の巨星・松本清張が2ヶ月間滞在し、代表作の一つ「Dの複合」を書き上げたことで有名になった。
この間、執筆の邪魔にならないように、館主はサイン一つ所望しなかったので、色紙一枚も残っていないそうだ。

松本清張の使った部屋は今も残されている。
その隣には「清張の部屋」という書斎が作られ、誰でもそこで読書やコーヒーを自分で入れて飲むことが出来る。

一部

温泉教授・松田忠則氏の「日本百名湯」に選ばれた木津温泉・ゑびすや。
山も海も渓流も谷もないのどかな田園、これほど平凡な日本の原風景に溶け込む温泉は初めてだったが、幼児期を過ごした田舎を懐かしく思い出し、演出でない大正ロマン・レトロな雰囲気が漂う宿にも感動した。

温泉名 : 木津(きつ)温泉 

木津温泉は、北近畿タンゴ鉄道宮津線の木津温泉駅(無人)から徒歩2~3分。

温泉の洗い場、浸かりたい誘惑に堪えた。

文句を一言うとすれば、大浴場と露天風呂が午後11時まで、朝は7時からであること。特に朝風呂はせめて6時から入浴できるようにしてもらいたい(家族風呂は24時間)。

ステンドグラス・鉛ガラスがいたるところで使われた本館。

ごんすけの湯スライドショー

土筆は胞子が既に飛んでいた

早春の小川

のどかな田園風景

所在地 : 京丹後市網野町

食 事

宿泊したのは、松葉ガニ(ズワイガニ)シーズンの終わり。夕食にカニコースを頼んだわけではないが、一通りのカニ料理が並んだ。カニにこだわれば民宿でも2万円を覚悟しなければならないので、この宿泊料金(14,500円)では、この程度とカニと納得、何の不満もなかった。

・●夕食の一部

天井照明

淡い色のガラスの仕切り

宿泊した新館306号室10畳BT付

様々なステンドグラス

本館ロビー

国道178号線、写真奥右手の路地を右折すれば木津温泉。この撮影ポイントにあるのが温泉サイト仲間のコスモスさんが教えて下さった和菓子の店「あん」。「がちゃまん」は国内産小豆を使用したまんじゅうで、外の皮は、お餅の食感。

木津温泉は奈良時代に僧行基によって発見されたという伝承は別として、京都にあっては最も古い温泉であることは間違いないようだ。
京丹後市にあって、もっとも華やかさを感じさせる久美浜温泉郷から北近畿タンゴ鉄道(宮津線)に沿って国道178号線を北へ10kmほど北上すると、西側の日本海に面して夕日ヶ浦温泉、東側の鉄道沿いに木津温泉がある。

温泉地の規模としては前者のほうが遥かに大きく、木津温泉は国道から入った100mほどの短い路地周辺に小さな宿が数軒あるのみで温泉街もない。
温泉ガイドブックでは夕日ヶ浦温泉とひとくくりにしているケースがほとんどだ。
木津温泉は、日本中、どこでも見かける平凡な田園風景の中にある。
そこには山も海も無いし、渓谷も渓流も無く、田んぼと畑があるのみである。
唯一、北近畿タンゴ鉄道というローカル線が走っていて、これが木津温泉を懐かしさを感じさせ、ほっとやすらぐ温泉地に仕立てている。

この路地が木津温泉。手前の建物はゑびすや本館(大正館)

木津温泉はいたるところで湯が噴出していて、田畑のあちこちで、湯気があがっているそうだ(実際には気がつかなかった)。

まるで大きな湯たんぽのうえに町があるようなもので、地中を掘るとすぐに湯脈に当たるとのこと。

住 所 京都府京丹後市網野町木津196-2
電 話 0772-74-0025
交通機関 舞鶴自動車道福知山ICから国道9・176・312号線で約75km
舞鶴若狭道・京都縦貫道宮津天橋立ICから約40km
北近畿タンゴ鉄道木津温泉駅下車徒歩3分
施 設(日帰り) ロビー、駐車場(約40台) 
宿 泊 2食付10,000円~20,000円程度(詳しくは下記HP参照)
泉 質 単純温泉 (40.2℃)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照
入浴時間 11時~15時 16時~19時 (予約不要)
定休日 無休
入浴料金 大人700円 小人(2歳~10歳)400円(家族風呂は不可)
入浴施設 内湯男女各1、露天風呂男女各1、家族風呂2
浴室備品(日帰り) シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 久美浜湾(山陰海岸国立公園)、小橋立、梨・ブドウ・メロン狩り、天の橋立、玄武洞、日和山公園、成相寺、出石町、丹後松島
お土産・食事 昼食付き入浴可能(要予約)
土産屋は国道沿いに有り。
近くの温泉 夕日ヶ浦温泉、久美の浜温泉郷、小天橋温泉、間人温泉、城崎温泉
京丹後市HP
観光協会HP

網野町HP
ゑびすやHP

http://www.city.kyotango.kyoto.jp/
http://kyotango.co.jp/
http://www.amino-info.gr.jp/
http://www.h-ebisuya.com/

雑記帳 地元関西の温泉は将来に備えて残してある。
隣の京都府での宿泊はここが初めてだ。
京都府は、近年、嵐山・大原など観光地で温泉掘削に成功しているが、宿泊料金がとても高い。
とてもそこで宿泊する気持にはなれない。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)


大きな地図で見る

高校卒業旅行の3人。若いのにこんな渋い温泉を選んだので驚いた。
インターネットで宿を探したとのこと。

●朝食

サラダは好きなだけ・・・これだけで家内はこの宿の評価を高くした。

きれいに盛られた2人前の朝食。

夕食・朝食ともテーブル席、我々にはこれが一番有り難い。

料理の一部。
最後のカニ雑炊が上手かった。

ゑびすやは2本の源泉を使っている。
自家源泉は地中わずか5mから湧きだしていて、大浴場と露天風呂に使っている。
一方、家族風呂は木津温泉の共同源泉を使用している。

ゑびすやのホームページ(HP)では、限定的に家族風呂は掛け流しと既述されていて、他の風呂はそうでないと理解できる。
一方で、同じHPの別の所では、すべての風呂が掛け流しと理解できる記事が掲載されている。

ガイドブックには、ここは「一部掛け流し又は循環・掛け流し併用方式」のマークがついている。どちらであれ、少なくとも家族風呂は間違いなく掛け流しだった。

(日帰り入浴は下記データ参照。)


かなり大きな内湯

内湯だが石をふんだんに使用

ここにもステンドグラスを使った脱衣室の化粧台

もう一つの家族風呂

橘の湯

行基の湯

弱アルカリ性単純温泉の優しい泉質。

松田教授が日本一の家族風呂と絶賛した「ごんすけの湯」

線路沿いの菜の花が満開

たった1車両

水仙も咲いていた

木津温泉駅の駅舎

宿から1分の踏み切り

駅舎にある足湯

久美浜湾はカキの養殖が盛ん。

風 呂

本館と新館を繋ぐ桜回廊

家族風呂「ごんすけの湯」のステンドグラス

平成5年に建設された新館、こちらに宿泊。

本館(大正館)。「Dの複合」で浦島館の名前で登場するのはこの正面玄関を見れば分かる。
施設名 : 丹後の湯宿 ゑびすや (宿泊日:2009.3.23) (平日2人1室税込@14,500円)
ゑびすやの新館玄関前に広がるのどかな田園風景
京丹後市は、平成16年4月、峰山・大宮・網野・丹後・弥栄・久美浜町が合併して出来た新しい市であるが、近世は丹後ちりめんで知られた地域であった。

京都府北部の丹後半島に位置し、沿岸部は山陰国立公園・丹後天橋立大江山国立公園に指定され、内陸部には標高400m~600mの山々が連なる。

久美浜湾・夕日ヶ浦・五色浜・丹後松島などの美しい海岸線が続き、キュッキュッと鳴ることで有名な天然記念物・琴引浜も市域に含まれている。

農業面では砂地を使った果物の栽培が盛んで、季節に応じて梨・ブドウ・メロン狩りなどが楽しめる。

京丹後市には、夕日ヶ浦・木津(きつ)・久美の浜・間人(たいざ)など数多くの温泉が点在し、冬季のタラバガニ(ズワイガニ)とともに大きな観光資源となっている。

旧館・清張の部屋。書斎になっていて図書が置いてありコーヒーも飲める。

2ヶ月滞在して書き上げた「Dの複合」

旧館・洗面所

新館廊下

新館ティルーム

本館廊下