岩井温泉は江戸時代創業の宿3軒と共同浴場だけの国指定・国民保養温泉で、松田忠徳「温泉教授」が選んだ日本百名湯の一つ。
日本秘湯を守る会の岩井屋に宿泊、入浴手形を購入して花屋旅館をはじめ3か所で入浴した。
宿泊した岩井屋で上記入浴手形を購入し、一番最初に向かったのがここ花屋旅館。
館内は3軒の宿の中でもっとも鄙びた雰囲気、手形を見せて入浴を乞うと、宿のスタッフが丁寧に応対してくれて感じが良い。
二方にガラスが埋め込まれた明るい浴室は、床一面に木造のスノコが敷かれ、隅に畳2畳ほどの総檜風呂があって、とても風情がある。
満たされている温泉は、透明でまろやかな含芒硝石膏泉(カルシウム・ナトリウム-硫酸塩温泉)で、体を沈めたとたんにざざぁ〜と豪快に湯が流れ出た。
内湯からは中規模の庭園露天風呂に出られる。
当日の女性用浴室は、宿のホームページを見ると大小の総桧風呂で、こちらには露天風呂が付いていない。宿泊客は夜間にでも男女が交代するのだろう。
リアス式の浦富海岸は、「白砂青松100選」「日本の渚100選」にも選ばれている。車で海岸沿いの隘路・県道155号線を走り観光した。
部屋数が10室(T10)の小さな宿。料金は平日 13,650円〜21,000円、休前日 15,750円〜23,100円(2009年3月現在、カニ料理は別料金)
10人は入れる庭園露天風呂。当日は湯を入れている途中でかなり温かった。
総桧の風呂に透明でまろやかな温泉が満たされている。ガラス越しに庭園露天風呂が見える。
入浴手形(宿泊者のみ)
横を流れる蒲生川
旧山陰道に架かるアーチ
3軒の宿の何れかに宿泊の場合、「入浴手形(1000円)」を購入すると残りの宿2軒と共同浴場の3か所で入浴できる。
購入日から1年間有効で、さらに有効期限内にもう一度宿泊すると宿泊料金が10%割引になる。
大きななタイル画の浴室
白壁にナマコ壁の堂々たる共同浴場。
「ゆかむり」とは、江戸時代の湯治の風習で、頭に手拭いをのせ、唄に合わせながら柄杓で湯をかぶせるユニークな入浴方法。
入浴料金は大人300円、入浴時間は6時から22時で年中無休。
ゆかむり温泉共同浴場
岩美町は人口13,000人余りの小さな町で、鳥取県の最東北端に位置し、東で兵庫県、北は日本海、南と西で鳥取市に接している。
町の観光資源は3つある。
浦富(うらどめ)海岸、松葉がに(ずわいがに)それに岩井温泉だ。
浦富海岸は陸上(くがみ)岬から駟馳山(しちやま)までの15kmのリアス式海岸線の総称である。
日本海の荒波と風雪によって浸食された断崖・絶壁・洞窟・奇岩の荒々しい景観と白砂青松の穏やかな風景が見事なコントラストを見せている。
山陰海岸国立公園の中でもすぐれた景勝地として、国の名勝及び天然記念物に指定されている。
2003年には山陰海岸が世界自然遺産の候補地にもノミネートされている。
岩美町は松葉ガニ(ズワイガニ)の漁獲量が市町村単位で日本一で(自称日本一の町が沢山あるが)、町域の網代港と田後港のズワイガニ水揚げが、鳥取県全体の7割を占めている。
わずか3軒の宿が寄り添うようにして建っている。この辺りに凛とした雰囲気が漂うのはいずれも江戸時代創業の老舗だからだろうか。
兵庫県豊岡市方面から国道178号線で鳥取県に入って間もなく、岩井温泉方面の標識に従って県道256号線に乗り換えて6kmほど進む。
国道9号線を横切り蒲生川を跨ぐゆかむり大橋を渡って旧国道9号線にぶつかると、そこが平安時代初期の歴史書にも登場するという岩井温泉だ。
旅館がわずかに3軒と共同浴場1軒だけの小さな温泉地で、国指定の国民保養温泉になっている。
宿泊した宿「岩井屋」の女将によれば、近年になって4軒の宿が廃業したという。
今も残る江戸時代創業の3軒の老舗宿、「岩井屋」「明石家」「花屋旅館」は旧道に面して向かい合って建っている(いずれも立ち寄り入浴可能)。
少し前までは、わずか1000円で売却され問題になった簡保の宿もあったが、今は介護施設になっている。
この小さな温泉地が全国的に知られたのは、温泉教授こと松田忠徳氏の著書「日本百名湯」に選考されたことが大きい。
住 所 | 鳥取県岩美郡岩美町岩井546 |
電 話 | 0857−72−1431 |
交通機関 | 中国自動車道佐用ICから90km JR山陰本線岩美駅から日本交通バス岩井・長谷橋行きで10分、岩井温泉下車すぐ |
施設(日帰り用) | 売店、ロビー、駐車場(15台) |
宿 泊 | 10室(すべてトイレ付) 13,650円〜23,100円 カニ料理の場合は別料金(詳細は下記HP参照) |
泉 質 | カルシウム・ナトリウムー硫酸塩泉(含芒硝石膏泉) pH7.3 |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 13時〜15時 18時〜20時 要予約 |
定休日 | 不定休 |
入浴料金 | 大人 750円 |
入浴施設 | 内湯 男女別各1 露天風呂1 (宿泊の場合、夜間男女交代) 貸切風呂1 |
浴室備品(日帰り) | シャンプー、ボディソープ、ロッカー、ドライヤー |
観光スポット | 浦冨海岸(4kmの海岸遊歩道)、但馬御火浦、鳥取砂丘、鳥取市内(久松公園・わらべ館・やまびこ館・県立博物館等) |
お土産・食事 | 温泉街で土産物屋と食事処見かけなかったが不詳。 |
近くの温泉 | 湯村・鳥取・吉岡・・浜村・鹿野・・三朝・東郷・羽合温泉等 |
岩美町HP 観光協会HP 花屋旅館HP |
http://www.iwami.gr.jp/ http://www.iwamikanko.org/ http://www.hanayaryokan.com/index.html |
雑記帳 | 宿泊する岩井屋にチェックインタイムより1時間早い2時過ぎに到着。 すぐに入浴手形を発行してもらい、荷解きもせずに3か所の立ち寄り湯に出かけた。うれしいことに3ヶ所すべてが隣り合わせ、宿の下駄を履いての手軽な湯めぐりだった。 |