海潮温泉 かじか荘 (島根県)

出雲風土記にも登場する古湯・海潮温泉。そこにある共同浴場で、加温・加水無しの源泉が直接注がれ、掛け流しになっているかじか荘で入浴した。

斐伊川の支流、赤川の上流に湧く海潮温泉は、天平5年(733年)に著された出雲国風土記でも登場する古湯で、松江七代藩主・松平不昧公もここで入浴していたそうだ。

蛍の名を冠した旅館があるが、これは不昧公が京都から持ち帰った蛍が繁殖したもので、現在も6月上旬から約1カ月間、赤川の上を舞っている。

昔の源泉はすでに枯渇し、現在は2005年12月に300mボーリングして湧出に成功した温泉を使用している。

小さな温泉地で、近年廃業もあって現在営業している旅館は「海潮荘」と「蛍の宿山水館」の2軒のみ。
しかし、ここには「かじか荘」と「農村環境改善センター桂荘」の2軒の共同浴場がある。

尚、市営の日帰り温泉施設「健康ランドゆとりの里」は平成21年3月に閉館されている。

所在地 : 雲南市大東町 

雲南(うんなん)市は、島根県の東部に位置し、松江市・出雲市に隣接し、南部は広島県に接している。
市の南部は毛無山(1062m)を頂点に中国山地に繋がり、北部は出雲平野に続いていることから標高差が大きくなっているが、総面積の大部分が林野である。

市内には、ヤマタノオロチ伝説で知られる「斐伊川」が流れ、各地に神話や伝説が残り、数多くの遺跡や古墳が発掘されている。
こうした遺跡や神社の、地名の由来は「出雲国風土記」で辿ることが出来る。

その中でも有名な「加茂岩倉遺跡」は平成8年10月、農道の工事中に発見されたもので、大小39個の銅鐸が出土、平成20年には国宝に指定されている。
また。市域は異なるが、ここから直線で3kmほどの荒神谷で、銅剣358本(国宝)が一挙に発掘されて古代史学者を震撼させた。
これらの出土により、神話の国・出雲の古代に強力な勢力が存在したいたことを確実に裏付けられた。

因みに「雲南」という名称は中国の雲南省と同一だが、、旧国名「出雲」の南に位置する地方の意味として、明治以降に使用されたものである。

かじか荘は、海潮荘の駐車場脇に在る。

無人の館内。

畳敷きの休憩室


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施設名 : かじか荘 (入浴日:2010.4.8)

中国地方で数少ない日本秘湯を守る会の宿・海潮荘の駐車場の横に立つかじか荘。
名称からすると旅館の様に思えるが、昔ながらの風情を漂わす共同浴場だ。

館内は以外に広く無料で畳敷きの休憩室もあるが、管理人はおらず無人。
入口にある料金箱に200円を入れるが、その前に入浴人員を把握するための用紙が置いてあって、そこに人数分のスタンプを押してから入場する。

風呂はタイル張りで簡素だが、共同浴場としては大きくて10人位が入れる広さで、そこに透明な温泉が贅沢に注がれて、湯船から贅沢に溢れ出ている。
ボーリングして地下300mでぶつかった源泉から、ナトリウム・カルシウムー硫酸塩温泉を汲み揚げ、それが加温・加水無しでそのまま注がれている。

横を流れる赤川

海潮温泉の入口

海潮温泉に向かう途中の山里。
家々には島根県一帯で使われるオレンジ色の石州瓦が葺かれている。この発色は、出雲地方で採れる「来待石」と呼ばれる鉄分を含んだ石を釉薬として使用しているためだ。

手前の用紙に入浴の赤スタンプを押し、後の箱に200円を投下する。

加水・加温無し、40℃位の柔らかな温泉が溢れ出ている。

温泉を流しっぱなし。

データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 島根県雲南市大東町中湯石475
電 話 0854−43−4500
交通機関 山陰自動車道宍道ICから約15km
JR木次線出雲大東駅からタクシーで10分
宿 泊 不可
泉 質 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
施設(日帰り) 休憩室・自動販売機・駐車場(5台程度)
入浴時間 9:30〜21:00
定休日 毎月第2第4月曜日
入浴料金(日帰り) 大人200円 (65歳以上100円) 小中学生100円
風 呂 男女別内湯各1
浴室備品 シャンプー類無し
食事・喫茶 不可
観光スポット 松江城、宍道湖、島根ワイナリー、出雲大社、古代出雲歴史博物館、石見銀山等
近くの温泉 玉造温泉、八雲温泉、きまち温泉、出雲湯村温泉
雲南市HP
観光協会HP
http://www.city.unnan.shimane.jp/
http://unnan-kankou-navi.com/
温泉名 :海潮(うしお)温泉