喜光寺 (奈良市)
かっては菅原寺と呼ばれていた喜光寺(きこうじ)は、養老5年(721年)、行基によって創建された。

その後、聖武天皇が参詣したとき、本尊が不思議な光を発したのを喜んで現在の寺号に改めたという。
行基は東大寺金堂(大仏殿)の造営に当たり、ここの本堂を参考にしたという伝承から、喜光寺は「試みのお堂」として知られている。

寺の所在する菅原は、菅原道真の母の故郷で、彼はこの地で誕生したと伝えられ、近くに菅原天満宮がある。

喜光寺は平城京のほぼ中央に建てられたが、現在は奈良県下有数の交通量を誇る阪奈道路に面している。

最寄の駅は、近鉄奈良線(大和)西大寺駅。
西大寺の東門の前の「歴史の道」を南下して約1km、15分ほど進むと右手に大仏殿を小さくしたような喜光寺の本堂が見えてくる。

小さな門をくぐると境内は外から見るより広いが、なんとなく寂れている。
手前に池があって小さなお堂が建っている。
受付はないが寺のパンフレットが置いてあり、小さな箱に志を入れてこれを頂く。(他のサイトを見ると、拝観料は300円となっている。シーズンオフは無人にしているのかもしれない)

本堂(重要文化財)は左手の奥、東大寺の10分の1とのことだが、近づくと仰ぎ見ることになりかなりの大きさだ。

この本堂は、室町初期に再建されたものではあるが、正面から見るとなるほど大仏殿に似ている。
裳階(もこし)がついているので外観は二重に見える。

堂内には3体の仏像が安置されている。中には入れないので外から拝観する。
中央の木造阿弥陀如来坐像(重要文化財)は丈六の寄木造、かなりの金箔が残っていて、暗い堂内だが外光に反射して鈍く光っていた。
南北朝時代の作である両脇侍は観音菩薩と勢至(せいし)菩薩、いわゆる阿弥陀三尊だった。

拝観し終わってから、境内をあらためて見回した。
本堂のすぐ南側に幹線道路の阪奈道路が東西に通じていて、車が途切れることなく走行している。
右側には50体近い石仏群が置かれていて、パンフレットによれば江戸時代に造られた比較的新しいものだ。
尚6月下旬から8月上旬にかけては、蓮を植えた鉢がずらっと並べられて、様々な種類の蓮の花を観賞できる。

帰りがけ、入ってくるときは気がつかなかった歌碑を見つけた。
大き海の水底深く思ひつつ 裳引き平らしし菅原の里
(石川郎女)

裳階がついた本堂(重要文化財)
東大寺・大仏殿(国宝)
阿弥陀如来坐像(重要文化財)
像丈2m33cmの堂々たる仏像で迫力がある。
入口
弁天堂
太い柱の列
菅原道真生誕の地に建つ「試みの大仏殿」。
住 所 奈良市菅原町508
電 話 0742−45−4630
寺 宝 重要文化財
本堂・木造阿弥陀如来坐像
アクセス ・近鉄奈良線西大寺下車 歴史の道を歩いて20分
・近鉄橿原線尼辻下車、徒歩10分


・大阪方面から第二阪奈道路・宝来ICで降りて間もなくの三叉路の信号で左折(細い道)すぐ。
拝観料 私が訪れたときは無人、パンフレット置き場の箱に志を入れた。
300円の記事もあり、季節によって拝観料を取るのかもしれない。
駐車場 有り
URL 無し
盆梅展
奈良の早春の風物詩として菅原の里・盆梅展が毎年2月上旬から3月上旬まで開催される。
会場はここ喜光寺と隣の菅原天満宮

2006年度は下記の通り。
開催日時 2月5日(日)〜3月5日(日)
開催時間 午前9時〜午後4時
会 場 菅原天満宮・喜光寺
参拝観梅券 各500円
喜光寺データ