奈良団扇 池田含香堂 (奈良市)

奈良団扇は、手すき和紙を染め、天平模様や奈良の風物を透かし彫りした奈良の伝統工芸品。
現在は三条通りに店舗を構える池田含香堂(いけだがんこうどう)のみが製造・販売している。


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奈良県の「伝統的工芸品」に指定されている奈良団扇(ならうちわ)。
戦後7軒ほどが作っていたが、今は「池田含香堂」一軒のみとなった。

奈良団扇の歴史は古く、天平神護・景雲年間(765年〜769年)に、春日大社の神官が軍扇の形を真似て作ったのが始まりとされている。

当初は骨太の骨に紙を貼り渋をぬった、いわゆる渋団扇だったようだ。

その後、木版画で役者等の絵をほどこすなどの手法を経て、現在のような透かし彫りになったのは豊臣秀吉の時代で、江戸時代を通じて朝廷や将軍家へ多数献納された。

今日では渋団扇の製造は一本もなく、奈良団扇といえば天平模様・奈良風物の透かし彫りに限られている。

高級品の「上正(天平模様)」で4,200円。

住 所  奈良市角振町16
電 話 0742−22−3690 
交 通 近鉄奈良駅・JR奈良駅から徒歩10分弱

扇子も扱っていて、伝統的な奈良絵を描いたものを製造している。。

店内風景。案内した家内の母が我々に団扇を二枚プレゼントしてくれた。

最高級の七宝つなぎは21,000円より!

明治時代、池田含香堂2代目が透かし彫り器具の一式を発見し、製法を研究し復活に努めたという。

製造工程が「割竹せん引き」という作業から始まる。
これは竹を切断し、縦に刃物を入れて細く割って、団扇の骨の原型を作ることで、骨数は60〜100本、高級品は150本以上となる。

その後の工程では、小刀で染め紙を突き彫りする作業が大変な手間だそうで、実際に団扇を手にしてその様子を眺めるとなるほどと実感できる。

始めから終りまで完璧な手作業、最低でも2100円の価格には納得できた。

左:中鹿(藤と鹿等2,520円) 中:中正(天平模様3,360円) 右:上正(天平模様4,200円)

池田含香堂(いけだがんこうどう)はJR奈良駅方面から猿沢の池に伸びる三条通りにある。