九州11泊温泉旅・・・愛犬アルもいっしょに
定年退職のとき、長女夫婦から旅行券をプレゼントされた。
記憶に残る旅行にと、しばらく大切に保管していたが、そろそろ使わせてもらおうと思い立った結果が、今回の九州旅行だった。

九州11泊・・・正確には往復路で、山口県・島根県で宿泊したので九州9泊の温泉巡りとなった。

出かけたのは2005年4月、ほぼ1年半前だ。
最長の「温泉紀行」だが、これまで記事に出来なかったのは、偏にホームページの容量の問題だった。写真を多く貼るので、あっという間に大きな容量を食ってしまうのだ。
先般、新規に大容量をを確保したので、ようやくこれに取り掛かることにした。
旅 程
新婚旅行が九州(当時は海外旅行が外貨の関係で難しかった)、今回は37年ぶりの九州となる。
そこで、前回行かなかった長崎観光などを含め、温泉・観光ガイドブックやインターネット等で十分調査して旅程を組んだ。

しかし、宿泊旅館の半分ほどを予約したところで、行くべき温泉に迷いが生じたり、ちょうどその頃初アクセスし、現在、相互リンクさせていただいてるプー助さんのホームページを見たりして、行きたい温泉が増加した。

また、当初は大阪と九州の往復は船を考えていたが、愛犬の泊まる場所が狭いスペースと分かって、車で往復することに変更した。

そんなわけで、最終的に出来上がった旅程は日数が増加し、九州を右往左往する不効率なものになった。

宿泊地
湯田温泉・西村屋(山口県)
4月2日 1泊目
2泊目
天ヶ瀬温泉・瀬音・湯音の宿浮羽(大分県)
3泊目
湯布院温泉・ほてい屋(大分県)
4泊目
黒川温泉・山みず木(熊本県)
霧島温泉・旅行人山荘(鹿児島県)
5泊目
長崎全日空ホテル グラバーヒル(長崎県)
7泊目
8泊目
国民宿舎・虹の松原ホテル(佐賀県)
別府・鉄輪温泉・おにやまホテル
9泊目
6日目
雲仙温泉・冨貴屋(長崎県)
10泊目
紅殻之湯温泉・レゾネイトクラブくじゅう(大分県) 
4月12日 11泊目
温泉津温泉・輝雲荘(島根県)
7泊目・長崎は観光がメイン、8泊目の唐津の国民宿舎は、愛犬を存分砂浜で遊ばせたいために組み入れたもので温泉はない。
あとで振り返ったら11泊のうち、九州で宿泊した温泉宿は7泊に過ぎず、はなはだ勿体無い気持ちにもなった。しかし2ヶ所は当初のマスタープランに組み込んでいたものであり、悔いは残らない。
 Part1
1日目 2005.4.2
奈良の自宅を7時過ぎに出発。高速道路を幾つか乗り換えて中国自動車で山口へ。
10時40分、西宮名塩SAに次ぐ2回目の休憩を王佐SAで。
ここで偶然に駐在時代一緒だった先輩のDご夫妻と遭遇。奥さんと私共はお互いに誰か分からず、30年近い時の流れは無情だった。
大内文化の代表建築である国宝・瑠璃光寺。湯田温泉から北へ5kmにあり、大内盛見が兄・義弘の菩提をとむらうために建立した。無料で観光できる。
湯来温泉・河鹿荘で立ち寄り湯。
中国自動車道戸河内ICの南、豊かな自然の中に、旅館がたった4軒の小さな温泉地。国民保養温泉に指定されている。
赤い橋を渡って河鹿荘へ。
長門湯本温泉とともに山口県を代表する温泉地。
車両の往来が激しく、コンクリートの中層ビルが建ち並ぶ県道204号線沿いに、30軒弱の温泉宿等が点在している。

明治39年開業の西村屋は、大きな旅館が多い湯田温泉にあって、県道から一歩奥の路地にひっそりと佇んでいる。
青春の心を歌い憂愁の詩人と言われた中原中也は湯田で生まれ、ここ西村屋で結婚式を挙げた。
内湯は壁が大理石、床は石板、円形の浴槽はタイル張りで、とてもクラシックな趣(掛け流し)。
1階の部屋に宿泊するのは初体験。
時代を経た内庭が目の前にあり、しっとりした風情があった。
2日目 2005.4.3
関門海峡を渡って九州へ
再び中国道に乗って、いよいよ九州へ。今日は温泉・観光とも忙しい一日だ。
平日なのに、大変な人出に驚かされる。菅原道真公のご利益は大きいようだ。
道真は醍醐天皇の時代、、当時一大勢力であった藤原家他の讒言により太宰府へ左遷となりこの地で没した。

その後、左遷に追いやった関係者に不幸が相次ぎ、道真の祟りと恐れた一族は、その鎮魂のために、左大臣正一位に昇進させ、墓所の地に社を建立した。京都の北野天満宮も同様な趣旨で建立されている。
九州自動車道で福岡を過ぎ、大宰府ICで下りて全国天満宮の総社である大宰府天満宮に向かう。
駐車場も満杯、整備された参拝道の途中の通りの店も賑わっている。
天満宮から4〜5kmの距離にある二日市温泉に向かう。
● 二日市温泉(福岡県)
二日市温泉は、温泉が少ない福岡県を代表する街中の温泉地だ。

しかし歴史は古く、万葉集に大伴旅人が亡き妻を偲んで詠んだ歌の詞書きにある「次田の湯(すいたのゆ)」として登場している。
二日市温泉と名付けられたのは、昭和25年のことで、それまでは、武蔵温泉・薬師温泉などと呼ばれていたようだ。

最盛期、二日市市温泉には40軒の湯宿が軒を連ねて大変な賑わいだったという。現在は、車が行き交う町中の県道筋に、公衆浴場の御前湯・博多湯を囲むようにして旅館9軒が点在している。
博多湯博多湯は創業が万延元年(1860年)の伝統ある共同浴場で、源泉掛け流しだ。
御前湯。黒田藩ゆかりの歴史ある温泉だ。残念ながらこちらは循環。
2ヶ所の共同浴場に慌しく浸かってから、本日2ヶ所目の観光スポット「秋月」に向かう。
城下町の構造がよく残されており、集落全体が重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。
この日、平日にも拘らず、桜の花に惹かれて多数の観光客が押し寄せていた。
秋月から、福岡県のもう一つの大きな温泉地・原鶴温泉までは30分ほど。途中、観光スポットの朝倉の3連水車の近くを走ったはずだが、その時はここを知らなかったので通り過ぎてしまった。また近くを通過する機会があったらこんどこそ観光したい。
写真はプー助さんからの頂き物。
● 朝倉の3連水車 (福岡県)
● 原鶴温泉 (福岡県)
ここに宿泊することにしたのは、日田出身の後輩から教えられたからで、それまでは温泉名を知っているくらいだった。天ヶ瀬温泉の最大の魅力は、大小の岩石がゴロゴロ転がる玖珠川の河原に点在する6つの露天風呂だ。
      神田湯
完全に丸見えだが入浴した。
      鶴舞の湯
愛犬(写真奥)の散歩がてら入浴。
     薬師湯
今は目隠しが増水で流されて無い(プー助さん情報)
       玖珠川
両岸に旅館・ホテルが建ち並ぶ。
3日目 2005.4.4
「浮羽(うきは)」は玖珠川の南岸、100mほど山側に入った小高い所にあり、すぐ近くに料金設定が若干高めの姉妹舘「浮羽別館新紫陽」が建ち並ぶ。
外観はやや古いが、フロント・ロビーは小洒落たホテル風。
風呂は内湯が掛け流しだ。
夕食は食事処で足を伸ばせて食べられる。

内陸の温泉地に相応しく、山・川の食材を使用した炭火焼会席は、飾らない素朴な料理で好感が持てた。
今日は、湯布院に向かう前に、今回の旅行で「是非入浴したい温泉3ヶ所」の内の2ヶ所に立ち寄る。壁湯温泉と川底温泉だ

天ヶ瀬温泉を9時前に発って50分、国道210号線を東に15kmほど進み、途中で国道387号線に乗りかえて浅い山間を10km進むと、道路沿いに壁湯温泉の看板が見えてきた
● 壁湯温泉・旅館福元屋 (大分県)
「日本秘湯を守る会」会員旅館。
玖珠川の支流、町田川沿いに湧く温泉は、250年ほど前に発見されたと言われている。
半洞窟の源泉場所は、周りの壁に苔などが生えていたため「かび湯」と呼ばれていて、それが現在の「かべ湯」に転じたと言う。
豪快な露天風呂だ。目の前が町田川の渓流、湯船の真上にはオーバーハンギング状態で巨大な岩がのしかかり、左右も奥も岩盤で囲まれている。
風呂はかなり深く、底は大小の石がゴロゴロしている。透明なさらりとした単純泉はぬるく、40分浸かって下さい、の掲示に納得がいく。湯は奥の岩盤の割れ目から湧いているようで、そこに近づくと湯温が若干高くなった。
●川底温泉・蛍川荘  (大分県)
壁湯温泉から15分ほど、国道387号線を南下すると川底温泉に着く。
極上の湯に浸かった後、道を引き返し湯布院温泉に向かう。
奥行き10mほどの室内は、上部からのみ自然光が入って来て昼なのに薄暗く、床には3つの湯船が縦列で並んでいる。

一番手前の湯船だけ一段下がったところにあり、中段・上段の湯船からは表面張力の限界を越えた湯が静かにあふれ出て、周囲を水浸しにしてから側溝に流れている。

驚くほど澄んだな温泉なので、湯船の底に敷き詰められた大小の石が透けて見え、文字通り川底のようだ。

それでも、湯の透明さは水道水を沸かした湯とはあきらかに質感が違う。沸かし湯は普通のガラス、無色澄明の温泉はクリスタルガラスの重厚感やトロリ感が感じられる。

湯は上段の湯船の底から湧き出て、それが順番に中段・下段と流れていくので、それぞれの湯船の温度が異なる。
素朴なコンクリートの湯船の底には大小の石が置かれ、透明度の高い美しい温泉が溢れ出ていた。
全国に約3,000ヶ所の温泉地(宿泊施設のある温泉)があるが、「行ってみたい温泉地ベスト3」は秋田県・乳頭温泉郷、熊本県・黒川温泉そして大分県・湯布院温泉であることに異論は無いと思われる。
何れも予約が取りにくいが、旅館・ホテルを中心に120ヶ所の宿泊施設がある湯布院温泉は、他の2ヶ所よりは容易だろう。

バブルの絶頂期、他の温泉地が団体客を受け入れるために大きな資本を投下して、旅館・ホテルの大型化を図っているのを横目で見ながら、由布院温泉は幾多の困難・反対の中で、大資本の進出を阻み、いかに「田舎」を保っていくかに腐心してきた。

湯布院温泉は、毎年約400万人が訪れる大温泉地に成長した。
しかし、いまだに大型のリゾートホテルの建設は無く、反対に、きめ細かな家庭的なサービスを提供する多くても20室以下の小規模の人気温泉旅館(たとえば「おやど二本の葦束」「山荘無量塔」「玉の湯」「田乃倉」「ほてい屋」)を次々と輩出してきて、それがまた由布院のイメージアップに繋がる好循環を生み出している。

北東の背後に標高1、584m、豊後富士と呼ばれる由布岳が聳える湯布院町は、東西12km・南北8kmの盆地の真中に所在する
湯布院の和風の落ち着いた温泉街
由布院温泉の岳本温泉すぐ近くにある金鱗湖は、湖底の一部から温泉と水が湧き出ている珍しい湖だ。
金鱗湖の辺にある公共浴場「下ん湯」
● 山のホテル夢想園
湯布院温泉の旅館で、マスコミ・ガイドブックなどでもっとも露出度が高い旅館だ。
湯布院の高台、広大な敷地を持ち、、正面に由布岳が聳えるこの露天風呂で知られる。女湯の方が大きいようだ。
本館の2室と離れ6室だけの小さな旅館。
一生に一度の離れ宿泊と奮発、長女夫婦からプレゼントの旅行券を使ってJTB経由で予約した。
1人24,300円(一番小さな離れ)は、その後も破られていな最高宿泊料金として、燦然と輝いている。
左:男性用露天風呂は宿泊客の数を考えると、随分と贅沢な広さだ。
右:貸切風呂は無料で利用できる。
もちろん両方とも掛け流しだ。
上:夕食は部屋出しで、きれいな食器に盛られた凝った料理が1品〜2品ごとに運ばれる。

横:朝食は本館の食事処で。朝食は旅館評価の重要なポイントだが、高い点数を与えた。
朝食の食事処
湯上り処、氷で冷やされたラムネ
散策の後で一服
霧島温泉・旅行人山荘の貸切風呂・赤松の湯。紹介してくれたプー助さんに感謝。
天ヶ瀬・湯布院・黒川と来たのに、九州南部に向かい、別府へは4日後にやって来た。
● 湯田温泉・西村屋(山口県)
(福岡県)
●大宰府天満宮
秋月に向かう途中、菜の花が咲くのどかな田園風景に出合った。
秋月は甘木市の北部、古処山の麓にある黒田藩支藩の城下町で、桜や紅葉の名所として知られている。
車を停めたすぐそばの河原では、菜の花が満開だった。
● 秋月 (福岡県)
● 天ヶ瀬温泉瀬音・湯音の宿浮羽 (大分県)
筑紫次郎と呼称される川幅の広い筑後川の河畔に、大小20軒ほどの宿が寄り添うように建ち並ぶ。
六峰舘(ろっぽうかん)は創業が明治18年の老舗。
温泉街のの中心にあり、建物は鉄筋7階建て、最近改装されたばかりなので内部はきれいで、シックな雰囲気が漂う。ここの4階にある展望露天風呂で入浴した。
大きな露天風呂、前方に桶風呂もある。
● 湯布院温泉 
● ほてい屋
ほてい屋さんの女将&スタッフと記念写真。
落ち着いた雰囲気の和室
走行距離:3、690km
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Part2