Part2
九州11泊温泉旅 ・・・愛犬アルも一緒に
湯布院を9時過ぎに発って、最初に向かった先は大観峰。快晴なので阿蘇五岳の眺望は素晴らしいに違いない。
国道210号線、その後、県道40号線で南下すると、筌ノ口・筋湯など時間があれば是非立ち寄りたい温泉が次々と現れたが涙を呑んで通過、最後に国道212号線に出て、大観峰に到着したのは11時過ぎだった。
大観峰から南側に高岳(1592m)などの阿蘇五岳を望む。五岳は釈迦の寝姿に似ているので阿蘇の涅槃像と呼ばれる。手前は愛犬アル(ベール)
● 大観峰 (熊本県)
大観峰の名に相応しい眺望。
東側に久住山(1787m)をはじめとする久住連山が伸びる。
大観峰から、ナビは阿蘇山を時計と反対側に巻く様にして国道57号線・325号線に進ませ、ほぼ南から阿蘇パノラマラインに乗せて登りはじめた。
● 地獄温泉・清風荘 (熊本県)
その名もずばり地獄温泉。
阿蘇五岳の一つ、標高1,337mの烏帽子岳の西南麓、標高760mに湯煙を上げる。
宿泊施設は3軒の旅館(含む国民宿舎)、中でも清風荘は、あらゆる温泉ランキングに登場する名湯・秘湯の湯宿である。
因みに温泉教授で知られる松田忠徳先生も、その著・日本百名湯に登場させている。
駐車場前には「地獄温泉」の看板が私を歓迎する。今回の九州旅行で入りたかった3つ目(他にPart1の壁湯温泉・川底温泉)の温泉がここだ。
明治時代に建設された本館で、周囲の宿泊棟も湯治場の雰囲気を色濃く残している。
玄関先には、地獄の雰囲気を漂わす巨大な円形の提灯がぶら下がっていた。

写真は有名な「すずめの湯(混浴)」
荒削りな柱を使った2つの東屋があり、それぞれの下に乳白色、硫黄臭が強い温泉で満たされた風情たっぷりの風呂があった。
これ以外に脱衣室の脇にある木造の湯小屋に小型の内風呂があり、取り合えず浸かってみる。

次にく2つに仕切られた「あつめの湯」へ。
熱さに弱い私でも入ることができたので、泉温は43℃くらいだろうか。先客に話しかけると湯治に来ていると言う。

最後にまるで田んぼのように6つに仕切られた温(ぬる)めの湯に入る。36℃くらいに感じられる。
湯は白濁しているばかりでなく、溶けている成分の含有量のせいだろうか、少し重さを感じた。
足元には、沈殿した泥状のものがヌルヌルしていた。

しばし沈思黙考、頭を縁にのせ、地獄で極楽を味わった。
全て木造の小さな内湯
廃材と思われる木材で造られた屋根の下に「あつめの湯
田んぼのように仕切られた「ぬるめの湯」
標高700mの地獄温泉からさらに高度を上げて草千里が浜に向かう
草千里が浜に向かう。快適なドライブが楽しめる。
● 草千里が浜・・通称:草千里 (熊本県)
草千里のアル
草千里は鳥帽子岳中腹に広がる草原。阿蘇を代表する観光スポットで、観光バスも1時間程度停車する。
広い駐車場(有料)や火山博物館、レストラン、みやげ物店などがあり、、阿蘇火口観光の基地にもなっている。
茫洋とした草原。黒い部分は雨が降ったときは池になる。
草千里からは、阿蘇中岳火口から舞い上がる噴煙が見える。
場所柄期待してなかったが、とても美味しかったラーメン。
草千里から、「やまなみハイウエー」を利用して黒川温泉に向かう。
● 黒川温泉 (熊本県)
日本を代表する山岳道路「やまなみハイウエィ」。

別府と阿蘇を結ぶ九州横断道路、通称「やまなみハイウェイ」は、国道210号線の水分峠(湯布院の少し西)から熊本・一の宮に至る全長50kmの道路だ。
最も標高が高い地点は「牧の戸峠」の1,340m。湯布院の標高が約450mなので、900m近い標高差を登り下りする。

途中、雄大な久住連山、飯田高原などの大草原が広がり絶景だ。また、道路沿いには数多くの温泉が点在している。

日本各地の温泉巡りをしていると、素晴らしい山岳・高原道路をドライブできる。
十和田湖・八甲田山周辺のゴールドライン・樹海ライン、奥入瀬渓流に平行して走る国道102号線、八幡平のアスピーテライン、吾妻磐梯スカイライン、志賀草津道路、ビーナスライン
・・・。
その中で雄大さでは、ここやまなみハイウエィがNo1だろう。


● やまなみハイウェイ (大分県・熊本県)
新婚旅行の時見た記憶が残っていた米塚
阿蘇カルデラは、九州のへそと呼ばれ、周囲120km、東西12km、南北24kmにもおよぶ世界最大級のカルデラで、月からも確認できるという巨大さだ。そのカルデラを縦断するやまなみハイウエィ。
バブル崩壊後、全国の温泉地に「団体・歓楽から個人・癒しへ」の大旋風が吹き荒れる中、九州には、変化を先取りした「癒し系憧れの温泉人気ベスト3」の内の2つがある。

湯布院温泉(大分県)、黒川温泉(熊本県)である(他に秋田県の乳頭温泉)。

別府・湯布院と阿蘇を結ぶ「やまなみハイウェイ」の途中、標高1320mの牧戸峠を越える。

しばらく走って、瀬ノ本高原を西に走る国道442号線に乗りかえて8km、田の原川の渓谷沿いに趣向を凝らした露天風呂を持つ小粋な旅館が30軒ほどが立ち並ぶ。
黒川温泉である。

ここは、湯量が豊富で、ほとんどの旅館で独自の源泉と特色ある露天風呂を持ち、それらを宿泊客・立ち寄り客に積極的に開放しているのが特色だ。
黒川温泉の情報センター「風の舎」。
立ち寄り湯の場合は、ここで入湯手形(1200円で)を買えば、旅館マップを片手に3軒の旅館の露天風呂で入浴出来る。
● やまびこ旅館 (熊本県)
宿泊する旅館が中心街から離れているため、入浴手形による3旅館湯巡りはあきらめて、チェックインする前に一軒だけ立ち寄った。
渓流を跨ぐ橋を渡って露天風呂へ。

ここに立ち寄ったのは大きな露天風呂があると聞いたから。しかし、当日、そちらは女性用でガッカリ。
4日目 2005.4.5
● 山みず木 (熊本県)
女性を中心に人気が高く、リピーター客が多い旅館が山みず木だ。

また、湯量豊富な黒川温泉にあっても、すべての風呂が掛け流しの旅館は半分程度だが(昭文社温泉&宿・九州・・2005年度版)、ここは全部が掛け流しだ。


山みず木は、温泉街の中心から2kmほど離れた山間(やまあい)にあり、客室は全部で22室、T付が14室、BT付が8室(露天風呂付有り)とサービスが行き届くほどよい規模だ。
山みず木は、黒川温泉の旅館・露天風呂の原型である「新明館」の別館である。
黒川温泉の顔である露天風呂は、新明館のものが最古だ。

黒褐色をベースとした館内。このスタイルは全国の旅館で流行している。
風情タップリ、荒削りの木枠で囲まれた内湯は底も木造。
瀬音をたてて流れる渓流と一体となった混浴露天風呂・幽谷の湯。
5日目 2005.4.6
今日の宿泊地は鹿児島県の霧島温泉だ。その前に「全県で入浴」のために宮崎県の温泉に立ち寄らなければならない。

黒川温泉から国道387号線に出て、菊池市を通過して九州自動車道熊本ICに出る。南下すること100km、えびのJCTから宮崎自動車道に乗り換えて、高原ICで降りた。

● 極楽温泉・匠の宿 (宮崎県)
県道沿いの巨大な水車が宿の目印。
浴室に入って先ず目に飛び込んでくるのは20トンの一枚岩ををくり貫いた豪快な風呂。炭酸を含む鉄泉が掛け流しで注がれる。
周囲は高原ののどかな田園風景だが、眼前には神話の山、高千穂峰等を擁する霧島山や韓国岳が聳えている。
九州全県で入浴、問題は宮崎だった。もともと温泉が少なく、風光明媚な日向灘に面する西側海岸線は高速道路が無く遥か遠いい。ようやく見つけたのは霧島温泉に抜ける国道223号線(霧島バードライン)沿いの極楽温泉だった。
霧島バードラインで、高千穂峰(1574m)の南麓を通り、霧島神宮を通過して鹿児島空港に近い新川渓谷温泉郷に到着。数多い温泉・旅館か、温泉郷きっての人気旅館である妙見温泉・妙見石原荘に立ち寄った。

途中、坂本龍馬・おりょう夫妻が、日本最初の新婚旅行として滞在した塩浸(しおひたし)温泉を通過した。サイト仲間のプー助さんから紹介されていたので見落とさなかったものの、肝心の温泉は時間が無くてパスせざるをえなかった。
建国神話が宿る高千穂峰の麓の霧島神宮。階段を恐れて下から参拝。
塩浸温泉の坂本龍馬夫妻像。西郷隆盛に勧められて10日間滞在したそうだ。
妙見温泉に向かう途中、桜が満開だった。
● 妙見温泉・妙見石原荘 (鹿児島県)
石原荘は、2003年度 昭文社「The温泉宿 西日本ベストセレクション200」のNO1に選ばれた旅館だ。当初、宿泊も考えたが料金が高いので断念した。
石板を敷き詰めた品格ある浴室。壁面にはレリーフが刻まれ、そこの中ほどから温泉が豪快に流れ落ちていた。
本来は、午後3時までは男性用のはずの露天風呂がおばさん達に占拠されていて退散した。
妙見石原荘で入浴後、もと来た国道223号線を引き返し霧島温泉へ。
● 霧島温泉・旅行人山荘 (鹿児島県)
数ある旅館から。ここに予約を入れたのは、@掛け流しであること A料金が手頃なこと(平日・T付2人1室12,800円) B部屋数が多くないこと が理由だった。結果として、今回の宿泊の中で、最も高いコストパフォーマンスを得られた。
建物はやや古びているが、内部はモダンで、広々として快い。受付の女性の応対も洗練されていた。
内風呂と繋がった露天風呂。晴れれば錦江湾や桜島が望める。
半分に切ってホイル焼した筍。
料金からして、新鮮な山海の食材をていねいに料理し、きれいに盛り付けた夕食には感動した。(本文参照)
素晴らしい眺望を楽しみながら贅沢な足湯。
3つある貸切風呂のなかで特薦がこの「赤松の湯」。

粉糠雨だろうか霧だろうか、静寂・冷涼な赤松の木立の中、2つの大きな露天風呂を1人占めした。
これまで経験したことのない贅沢な入浴。

これも温泉サイト仲間のプー助さんのご紹介で、チェックイン時、早朝6時の予約を入れておいたお陰だった。
本館横手から斜面を下って行くアプローチも風情たっぷりだった。
6日目 2005.4.7
旅行も今日が中日、長距離の移動となるが、家内は初めて長崎県に足を踏み入れる。
地元の薩摩揚や野菜サラダもついて充実した朝食。
旅館のスタッフから聞いて、九州自動車道横川ICに出て、熊本に向かった。
● 熊本城 (熊本県)
言うまでもなく姫路城・松本城と並んで日本三名城の一つ。
豊臣秀吉の家臣にあって、最も武勇に優れた加藤清正が7年の歳月をかけて築城した。
折から桜が満開、嬉しい観光となった。
観光後、熊本港に向かい、フェリー(熊本港→島原港)に乗船した。
フェリー乗船(1日10便)
船内は貸切状態だった。
1時間後、島原港背後の眉山が見えてきた。
近世の再興なので歴史的価値はない島原城。内部のキリシタン資料館を見学。
● 島原城 (長崎県)
● 雲仙温泉 (長崎県)
島原から雲仙温泉に向かって国道57号線で約20km、40分のドライブ。
雲仙岳の南麓、高度を上げるに従がって霧がひどくり、黄色い中央分離線を頼りのノロノロ運転でやっと標高700mの雲仙温泉に到着した。
この霧のため、仁田峠からの普賢岳・平成新山の観望ができなかった。
(翌日も霧で仁田峠有料道路は閉鎖、残念ながら観光出来ず)
九州を代表する温泉地の一つ。

キリシタン受難の悲史の舞台でもある雲仙地獄は、旅館街の裏側にもうもうと噴煙・湯煙を上げている。

特に三つの大きな旅館、「雲仙宮崎旅館」「九州ホテル」「富貴屋」の真裏が地獄一帯となる。

これらの旅館は、地獄を自分の庭園に取り込んでいて、宿泊すると客室から地獄を見下ろせる


雲仙温泉には、共同浴場が3つ(小地獄温泉館・新湯共同浴場・湯の里共同浴場)ある。
温泉街を走る国道57号線沿いの噴煙。
雲仙は標高が700mあるので、8月の平均気温が21.7度と低く、昔から避暑地としても利用されてきた。
四季折々の魅力があるが、特に江4月下旬から5月に咲き乱れるミヤマキリシマ(雲仙つつじ)の季節が、もっとも混みあう。
● 雲仙温泉・小地獄温泉舘 (長崎県)
幾つかある共同浴場の中で、どうしても入浴したかったのが、ここ小地獄温泉館。

中心街から少し離れた小高い所に、湯治がメインの小さな旅館の奥にある。

木造の八角形の浴舎が2つ。浴室内もうもうとした湯気が立ちこめ、硫黄臭が漂い、白濁した温泉が2つの浴槽に満たされていた。
● 雲仙温泉・富貴屋 (長崎県)
富貴屋(写真左)は雲仙温泉最高の観光名所「地獄」に隣接する。ロビーラウンジ・多くの客室からこの風景を眼前に見られる。
地獄から引き湯の白濁した温泉が注がれている。
地獄の噴煙を見ながら、大きな庭園露天風呂で入浴。
地獄に近い旅館が国道沿いに老舗の旅館が3軒並んでいる。
最も料金が高いのが宮崎旅館、クラシックな洋風建築の雲仙観光ホテル、地獄に一番近くて料金が安い富貴屋(ふきや)。

料金と風呂で選んだ富貴屋だったが、十分な満足を得られた。
宿泊料14.850円でアワビが2個ついたのには驚いた。
カラフルなお造り
すずめの湯
地獄で極楽を味わう。
貸切風呂:赤松の湯
風情たっぷりのアプローチ
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