施設名 : 天人閣 (入浴日:2008.6.24) 
所在地 : 上川郡東川(ひがしかわ)町
温泉名 : 天人峡(てんにんきょう)温泉 
データ (データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
天人峡温泉 天人閣 (北海道)
   
東川町は北海道のほぼ中央に位置し、西は上川盆地の農業地帯、東は山岳地帯で日本最大の国立公園「大雪山国立公園」の区域の一部となっている。
道北の中核都市旭川からは13kmの距離にある。

正確には大雪山という山はなく、大雪山山系と呼ぶのが正しい。
町域にある旭岳(標高2,291m)を最高峰とする火山群の総称であり、その規模は南北63km、東西59kmに及ぶ。

大雪山系にあって豊富な地下水を湧出するため、北海道内で唯一水道のない町として有名だ。

町は山岳基地となっており、初夏から夏にかけての高山植物や秋の紅葉の鑑賞、冬はスキー客がやってくる。

町域には自然に恵まれた2つの山岳温泉、旭岳温泉と天人峡温泉があり、何れも湯量豊富で宿の温泉は掛け流しになっている。
旭岳温泉・天人峡温泉へ向かう途中のダム湖から見た旭岳(2、291m)の雄姿。
天人峡温泉を流れる忠別川の激流とそそり立つ岩壁。
旭岳温泉とともに東川町にある天人峡温泉は、標高600m、忠別川の激流が作り出した柱状節理の美しい峡谷、天人峡の僅かな傾斜地に4軒の旅館が建っている。

温泉の歴史は、1897(明治30年)年、旭川で旅館業を営んでいた松山多米蔵が発見したもので、3年後に松山温泉と名付けて開業した。
後に経営が変わったが、現在の天人閣にその歴史が脈々と伝えられている。

大雪山系の奥深くにあるが、アクセスは呆気ないくらい容易だ(冬季は別として)。
旭川から南下する国道237号線、富良野線の北美瑛駅から道道213号線に乗って、旭岳方面に向かって東に10数キロ進む。やがて旭岳温泉との分岐を過ぎて8kmほど走ると天人峡温泉に到着する。
この間、道はずっと2車線、手に汗握る運転を強いられる場所は一度も現れてこない。
道中途中から旭岳が正面に現れ、これを目指して快適なドライブが楽しめる。
天人峡温泉から0.5km、徒歩15分の所に日本の滝100選の一つ、落差270mを誇る華麗な羽衣の滝があり、更に奥には幅60mの敷島の滝がある。
これらの滝を観光するのがここに立ち寄った最大の目的だったが、無念、土砂崩れで道が通行止めになっていた。
旭岳温泉・天人峡温泉への標識
2車線の快適な県道213号線
しかし、途中、こんな標識も現れた。
天人閣は2000年に創業100年を迎えた老舗旅館である。
音を立てて奔流する忠別川を跨ぐ赤い橋を渡った先、旅館街の一番奥にある。
こんな奥深い峡谷にあるので信じがたいが、部屋数が100もある大型旅館だ。
部屋のほとんどには、BT又はTが付いている。

本館は7階建てでこの他に別館が2つあり、部屋数に応応じて80台分の広い駐車場もある。
これだけ大規模なので、団体客も積極的に受け付けているようだ(HPから推測)。

夕食・朝食ともバイキング料理が特徴で、部屋食や伝統的な会席料理を望む方には向いていない。

宿泊料金は、宿のHPのプランが団体客向けが表示されており、夫婦・カップルの料金に関しては詳述されていないが、同室人数によって10,000円〜15,000円程度(一部の部屋を除く)のようだ。

日帰り入浴は12時〜15時で予約不要。料金は1000円でソフトドリンク付きになっていた。
低層部分外観
ロビー
広い食事処、立ち寄りでも昼食・喫茶可能
今は少なくなった卓球台も
館内にはそれぞれに露天風呂が付く2つの浴室がある。
当日、男性は岩風呂と裸のままで行ける水車露天風呂で入浴となっていた。

これらの2つの風呂がここの売り物だが、立ち寄り湯の場合は男性用タイム(宿泊者は男女交代制)に当たり女性は利用できないようだ。

内湯の岩風呂はその広さと崖をそのまま利用した壁面の迫力に圧倒される。
これまで入浴した内湯の中で、最も美しい浴室・風呂と言ってもいいだろう。
入口から向かって左側一面の天井から床までには、大小の石が積層した黒い岩壁が押し出されていて、今にも生き埋めになるような気持ちになる。
風呂は円形のものと曲線を持った大型の石風呂から成り、温泉の温度には差が設けられている。

二つの風呂を合せれば50人くらいは一度に入れるだろう。

風呂も床も温泉成分が付着し、鈍い金色と銅から発生した緑青(ろくしょう)のような色調が混ざり合い、これと鶯色の温泉がマッチして、なんとも渋くて味わい深い雰囲気を呈している。

温泉は100年前から自噴しているナトリウム・カルシウム・マグネシウムー炭酸水素塩・塩化物泉という濃厚なもの、旧温泉名では何と表示したらよいか迷う。口に含むと出汁の味がした。

湯温に差がある2つの風呂。手前が温く38℃ほど、前方は42℃くらいで加温しているのかもしれない。
温泉成分が堆積した美しい縁と床。温泉の色とマッチしてとても美しい。
温泉好きなら思わず嘆声を上げる美しい浴室・風呂。左側の黒い部分が岩石の崖。
露天風呂は大小の岩石を配置したものでかなり広い。

見上げれば天人峡の直立した荒々しい崖が迫り、下からは忠別川の激流が立てる川音が聞こえてくる。
露天風呂のロケーションとしては一級品と言っていい。

湯の温度はやや低め、かなりの時間入浴することも可能だ。

内湯・露天風呂とも旅館規模に応じて大きいが、それでも100室が埋まる日はかなり混み合うだろう。
ゆったりと、かつしみじみと温泉を楽しむには、今回のように日帰り入浴の方がお薦めかもしれない。
この日も同行の仲間を含めた3人でこの風呂を占拠、なんとも贅沢な一時を過ごした。
ご満悦のARさんとAKさん共に海外で苦労した仲間3人の温泉旅が実現した。
住 所 北海道上川郡東川町天人峡温泉
電 話 0166−97−2111
交通機関 道央自動車道旭川鷹栖ICから約45km
施設(日帰り用) 食堂、休憩所、売店、駐車場80台 
宿 泊 部屋数102室(BT32 T53 BT無し12 和洋室(BT)5
宿泊料金は10,000円〜20,000円程度(詳細は下記HP参照)
泉 質 ナトリウム・カルシウム・マグネシウムー炭酸水素塩・塩化物泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 外来入浴は12時〜15時(予約不要)
定休日 年中無休
入浴料金 大人1000円 ソフトドリンク付き 
入浴施設 内湯男女別各1 露天風呂男女各1 ガイドブックによれば他にも風呂があるように思えるが詳細不明。
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、 ロッカードライヤー
観光スポット 大雪山系登山・ウオーキング・ハイキング、羽衣の滝、敷島の滝
富良野、美瑛、旭川(旭山動物園)
お土産・食事 館内で昼食・喫茶・土産購入可能
近くの温泉 旭岳温泉、白金温泉、吹上温泉、十勝岳温泉、層雲峡温泉
東川町HP
天人閣HP
http://www.town.higashikawa.hokkaido.jp/
http://www.tenninkaku.jp/
雑記帳 旭川の、と言うより北海道の人気スポットとなった旭山動物園を観光するか迷ったが、3人の本音は「たかが動物園」、全員一致でパスすることにした。
大雪山系の奥深く、柱状節理の断崖が迫る天人峡に自噴する温泉。創業100年を迎えた老舗旅館・天人閣に立ち寄った。内湯の素晴らしさには心底から感動した。