循環・掛け流し併用
ほぼ10年ぶりの山代温泉再訪、「大のやー追って掲載」に宿泊し、湯の曲輪(ゆのがわ)の一角、廃業した旅館の敷地に新しく建てられ、地元の人が多く通う(新)総湯と明治時代の総湯を復元した宿泊客・観光客向けの古総湯の両方に立ち寄った。
以前の山代温泉には「山代温泉浴殿」と呼ばれる共同浴場があったが、これが取り壊されて、新しい総湯が、平成21年8月2日に湯の曲輪に面した旧吉野屋旅館の跡地に建てられた。
浴殿の跡地には、明治時代の総湯を再現した「古総湯」が完成して、かっての湯の曲輪は大きく変貌した。
以前の浴殿は外無機質な鉄筋コンクリート造だったが、新しい総湯は木造建築の温もりがあって、1階には売店と待ち合わせと湯上がりに使えるスペースが設けられている。
浴室は広く天井が吹き抜けになっていて自然j光が上から注いで明るい。内装はいかにも山代らしく九谷焼のタイルと檜がふんだんに使われている。
4m四方程度の浴槽が2ヶ所、シャワー付きカランが25ヶ所ほどあり、使い勝手が格段に向上している。
以前の浴殿もそうだったが、新しい総湯も観光客や宿泊客よりも地元の人の利用が圧倒的に多く、総湯を中心に宿・商店が並び、地元の人々が集った共同浴場の歴史が今も息づいている。
源泉は古総湯と同じで、「ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉」と「単純温泉」の混合泉、加水無し、循環ろ過と掛け流しの併用、入浴者が多いこともあって衛生面から塩素系薬剤を使用している
施設名 : 総湯 (入浴日:2014.3.24)
2005年10月に山中町と合併して市域を広げた人口7万人余の加賀市は、石川県の南西に位置して南部で福井県と接している。
歴史的に見ると、豊臣秀吉の盟友、「槍の又左」こと前田利家を始祖とする加賀藩(加賀・越中・能登)は、二代・前田利長の時代に、徳川家康の度々の干渉を乗り切り、幕末まで120万石を維持した。三代・利常は、寛永16年(1639年)、次男利次に富山10万石、三男利治に大聖寺7万石を分封した。
加賀藩前田家の歴代藩主は美術工芸を愛し、これの振興・育成に努めたが、支藩となった大聖寺の歴代の藩主も同様だった。
初代藩主・利治は、領内の九谷村に陶石が見つかったのを機に、この地で磁器の窯を開かせた。九谷焼(古九谷焼)の始まりである。
加賀市はこの大聖寺藩の城下町であり、石川県の最南端にあって東南部の山地を背に日本海に面し、北前船の基地としても栄えた。
観光面では、山代、山中、片山津など、加賀温泉郷の中核を成す温泉地を有している。
以前の男性用浴室は2階にあったが、新総湯は男女とも1階にあり、2ヶ所ある浴槽(温度が違う)も円形から方形になっている。
地元の人の利用が多く、その点はかっての浴殿と同じだ。湯温は高温の方で42℃ほど位で十分入浴出来た。
山代・山中・片山津・粟津の4温泉を総称して加賀温泉郷と呼び、前の3つは加賀市にあり、最も歴史が古い粟津温泉は小松市にある。
最も大きいのが、加賀市内陸部の田園地帯、江戸時代からの歴史を有する共同浴場を囲むようにして、大小の旅館・ホテル群が立ち並ぶ山代温泉で、現在19館の旅館・ホテルが営業している。
近年になって従来の共同浴場「山代温泉浴殿」が取り壊され、あらたに総湯と明治時代の総湯を復元した古総湯が相次いで建設された。
大聖寺川の中流にある鶴仙渓沿いの狭い地域にある山中温泉が、その狭さ故に大型化が難しかったのに対し、山代と片山津は平野部にあるので宿・ホテルの大型化が進み、100室、200室の客室を持つ旅館が次々と現れた。
バブル崩壊後、一挙に不況が押し寄せ、大型旅館・ホテルの倒産、他県資本の企業グループ傘下に吸収された。
最近では、創業100年の歴史を有し、200室の客室を持つ山代温泉のホテル百万石が2012年9月に倒産している。
住 所 | 石川県加賀市山代温泉18−28 |
電 話 | 0761−76−0144(山代温泉財産区) |
交通機関 | 北陸自動車道加賀ICから県道20号線・39号線等で約10km JR北陸温泉加賀温泉駅からバスで15分山代東口下車徒歩5分 |
施 設 | 湯上り処 売店 駐車場(100台) |
宿 泊 | 不可 |
泉 質 | ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉旧称:含石膏・食塩・芒硝泉) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 6時〜22時 |
定休日 | 第4水曜日午前中(午後から通常) |
入浴料金 | 大人(12歳以上)420円 6歳以上12歳未満130円 3歳以上6歳未満50円 3歳未満無料 |
入浴施設 | 男女内湯各1 |
浴室備品 | カラン・シャワー、ロッカー有り |
観光スポット | 九谷焼窯跡展示館、魯山人寓居跡 いろは草庵、はづちを楽堂、森光子一座記念館、大聖寺、橋立、動橋、石川県九谷焼美術館、東尋坊、丸岡城、永平寺、松井秀喜ベースボールミュージアム、金沢市、能登半島 |
お土産・食事 | 土産・食事とも温泉街に多数。 |
近くの温泉 | 山中温泉、片山津温泉・粟津温泉・芦原温泉・三国温泉、佐野温泉 |
加賀市HP 観光協会HP 旅館組合HP 総湯紹介HP |
http://www.city.kaga.ishikawa.jp/ http://www.yamashiro-map.info/ http://www.yamashiro-spa.or.jp/ http://yamashirospa.xsrv.jp/plan/soyu.html |
雑記帳 | 総湯のある北陸の温泉地は次の通り。 片山津温泉、山代温泉、粟津温泉、加賀八幡温泉、湯湧温泉、白峰温泉、和倉温泉。 地元の人に混じって、ローカル色豊かな公衆浴場で入浴すると、旅のいい思い出となる。 |
旧吉野屋旅館の重厚な門がそのまま利用されて総湯の玄関となっている。
営業時間は午前6時〜午後10時。定休日は毎月第4水曜日の午前6時〜正午まで。入浴料金は大人420円。 1階には待ち合わせ・湯上りに使えるスペースと売店がある。
売店では名物の温泉玉子が売られている。
とろりとした温泉玉子ソフトクリームが人気だ。
加賀温泉郷最大の温泉地、山代温泉。湯の曲輪(ゆのがわ)の中央にある2軒の共同浴場。手前が総湯、前方が古総湯。
山代温泉 総湯。以前にあった山代温泉浴殿は取り壊され、その敷地には、明治時代の総湯を復元した「古総湯」が建設された。