施設名 : ガニ湯 (入浴日:2007.4.11)
所在地 : 竹田市直入町
温泉名 : 長湯温泉 
    長湯温泉 ガニ湯 (大分県)
竹田市は大分県の南西部に位置し、九重連山・阿蘇外輪山・祖母山麓に囲まれた地である。

長湯温泉のある直入町は、くじゅう連山の東山麓に広がる標高300mから1,000mの高原の町で、それまでは直入郡にあったが、2005年4月1日付けで、萩町・久住町とともに竹田市と合併した。

この一帯は奥豊後と呼ばれ、今回の合併により(新)竹田市は多様な観光資源を持つ町となった。

旧竹田市はもともと城下町であり、老舗が今も営業し、武家屋敷や廃城となった岡城跡が残っている。この地で多感な少年時代を過ごし、城跡で遊んだ滝廉太郎が、後に名曲「荒城の月」を作詞した(作曲は土井晩翠)。
くじゅう花公園は、阿蘇くじゅう国立公園内、標高850mの久住高原に位置している。
目前に久住山、遠くに阿蘇五岳を眺望できる絶好のロケーションの中、面積が20万uの園内には春から秋を通じて約500種類、300万本の花々が咲き誇る。
23歳で夭折した滝廉太郎、彼が2年半住んだ家が記念館になっている。
前回の旅では竹田市観光を逃したが、今回はこの滝廉太郎の記念館を訪問し、合わせて周辺の老舗が集まる一帯や武家屋敷を散策(岡城跡は足腰に支障を持つ我々はパス)した。

同時に、ここは総湧出量が1日数万トンと言われる多くの湧水を持ち、環境省の「名水100選」に選定された竹田湧水群を市域に有する。

一方合併した直入町には、日本でも珍しい高温の炭酸を多量に含む長湯温泉があり、近年になって急速に人気を高めてきている。

さらに旧久住町の壮大な久住高原には、県下有数の観光スポット「くじゅう花公園」が四季の花々を咲かせている。

前回の訪問時は、例年にない寒さのため開花が遅れ、寂しい園内を歩いたが、今回はチューリップやパンジーが満開、九重の山々もくっきりと見え、美しい春景色を堪能した。
2年前の2005年4月、今回より1週間早く長湯温泉に立ち寄ったが、今度も芹川沿いの桜が満開だった。
前回は、全国でも稀な高温の炭酸泉が湧く、という程度の知識で宿泊はせず、日帰り施設の長生湯に立ち寄っただけだった。

その後、「1980年代の湯布院、1990年代の黒川温泉そして2000年代は長湯温泉の時代」、とか九州初の全施設源泉掛け流し宣言(第一号は奈良県十津川温泉郷)の記事を見て、次回は「長湯温泉に宿泊」を早くから決めていた。
たしかに、近年、人気が急上昇しているようで、人口3,000人弱のこの町へ、年間70万人の観光客がやって来ている、という記事も見た。

この人気の源泉となっているのが、首藤ご兄弟である。兄の方は、日本一含有量が多いと言われる炭酸泉を外湯(ラムネ温泉)に持つ「大丸旅館」を経営し、弟は女性に人気の「翡翠之庄(かわせみのしょう)」を経営している。この兄弟は、長湯温泉を活性化するためにさまざまな活動・仕掛けを行ってきたようだ。
芹川を跨ぐ天満橋から見た大丸旅館。
2年前と同じく、桜が満開だった。
とは言うものの、規模において、周囲の地勢などからして、長湯温泉を湯布院・黒川の両雄と比較するのは無理がある。
観光化されつつある両温泉に薄れてきた鄙びと源泉・泉質そのもので、勝負すべき温泉地だろう。

長湯温泉は温泉街といったものは形成されていない。
久住山麓ののどかな山里にあって、狭い流れの芹川沿いを中心に15軒の宿が点在している。
何れも客室数が少ない小規模なもので、いまだ1万円以下で宿泊出来る所も多い。

また、ここには長湯温泉のシンボルである「ガニ湯・(温泉療養文化館) 御前湯・天満湯」の公営施設の他、「ラムネ湯」「長生湯」「ながの湯」など、数多くの日帰り施設がある。
これが長湯温泉の魅力であり売り物だ。
長湯温泉に宿泊した場合は、是非ともこれらに立ち寄りたい。
長湯温泉のシンボル、河原の露天風呂「ガニ湯」は大丸旅館横から天満橋を渡って右折したすぐ先にある。
なるほど道から風呂を見下ろすと、ガニ湯の名前が「かに」の甲羅に似ていることに由来する、ということが一目で分かる。
温泉の色は、やや緑がかった黄土色だ。

河原の露天風呂へは、川と反対側の狭い階段を下り、頭上に渡された橋の下をくぐって行く。

その橋の下には、板が一枚渡してあり、そこが脱衣場になっていて衣服を置く。
そこから風呂までは10mほどだ。

黄土色、ややぬる目の湯に浸かって、あらためて周辺を見回す。
源泉から直接つながっているのか定かでないが、横のパイプから間欠泉状で湯が流れ出る。
目の前に紅葉館、右手に丸長旅館が川に向かって建ち、広縁に置いてある椅子とテーブルまでがよく見える。

芹川は川幅が狭く流れも緩やかなので、渓流の露天風呂という雰囲気はない。
視線さえ気にならなければ、長湯温泉の雰囲気と同じように、ここでものんびりした入浴が出来る。

ぬるい湯なので長湯も出来たが、愛犬の散歩もしなければならない時間なので、そこそこに切り上げた。

ここの温泉の泉質は、マグネシウム・カルシウム・ナトリウムー炭酸水素塩泉、(37.8℃)、口に含むと強い酸味がした。

カニの甲羅の形の風呂。4〜5人が入れる大きさだが、地元の人に聞くと昼間の入浴はほとんど見かけないという。
好きな温い湯。浸かってあらためて周囲を見回すと丸見えを実感する。
板一枚、この上に衣服を乗せる。温泉法に基づく成分表がしっかりと貼ってあった。
住 所 竹田市直入町長湯
電 話 0974−75−2211 (竹田市役所)
交通機関 大分自動車道湯布院ICから約40km
JR豊肥本線豊後竹田駅からバス40分長湯温泉下車
施設(日帰り用) 特になし 駐車場無し
宿 泊 無し
泉 質 マグネシウム・カルシウム・ナトリウム-炭酸水素塩泉(含土類重曹泉) 源泉温度37.8℃
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 24時間(除く清掃時間)
定休日 無休
入浴料金 無料
入浴施設 混浴露天風呂1
浴室備品 無し
観光スポット 竹田市内岡城跡、武家屋敷、瀧廉太郎記念館、湧水群、石橋群)久住高原、くじゅう花公園、原尻の滝、阿蘇山、高千穂峡 
お土産・食事 近くに食事処有り
近くの温泉 七里田・三船・紅殻之湯・満天望・湯平・別府・九重九湯(龍門温泉郷・壁湯・宝泉寺温泉郷・川底・湯坪温泉郷・筋湯温泉郷・筌(うけ)の口温泉郷・長者原温泉郷・寒の地獄)など多数
竹田市HP
旅館組合HP
http://www.city.taketa.oita.jp/
http://www.nagayu-onsen.com/
雑記帳 2年前、唯一入浴した長生湯の雑記帳にはこう書いた。
「竹田市は僅か23歳で夭折した瀧廉太郎の「荒城の月」ゆかりの町。記念館を是非訪れたかったが、この日の予定があまりにも立て込んでいたのでやむを得ずパスした。」

今回、この残した悔いを晴らし、記念館を訪れ、ゆっくり観光した。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
湯布院・黒川に続く九州の人気温泉となりつつある長湯温泉。そのシンボルで開放的な混浴露天風呂「ガニ湯」に入浴した。