田の原川の河床にある無人の穴湯共同浴場。

黒川温泉 穴湯共同浴場 (熊本県)

日本有数の人気温泉で、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで、温泉地としては異例の二つ星が付与された黒川温泉。前回は山みず木に宿泊、その後、山河に立ち寄りプースケさんと昼食、8年後の今回は一緒に「御客屋」に宿泊した。
この間、家内の面倒を見てくださり、自分は入浴手形を使って3ヶ所の宿を周り、さらに教えて頂いた穴湯共同浴場で入浴した。

所在地 : 阿蘇郡南小国(みなみおぐに)町

火(肥)の国熊本県のシンボル・阿蘇山は世界最大級のカルデラ式火山だ。阿蘇といえば、阿蘇五岳(最高峰の高岳・噴煙を上げる中岳・根子岳・鳥帽子岳・杵島岳)を中央に、それを囲む南北25km、東西18kmの外輪山との総称だ。
阿蘇五岳や九重連山を眺望し、日本一と言っていい大展望台・大観峰に立つと、雄大な阿蘇の景観の一端を窺うことが出来る。

南小国町は熊本県の東北部、この阿蘇五岳を囲む外輪山の北側と東側の久住連山の山裾が交差する標高400m〜900mの高原に位置し、一部は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。

中でも「瀬の本高原」は、標高が900m前後、中央をドライブコースとして有名なやまなみハイウエイが走り、熊本緑の百景の第一位に選ばれている。

町域の温泉は数多く、主として田の原川の渓谷に沿って旅館が立ち並び、平成に入って癒しの温泉として大ブレイクした黒川をはじめ、満願寺・奥万願寺・田の原・扇・白川・小田などの湯量豊かで情緒ある温泉が数多く点在している。

木材より竹が壁・仕切り等に多用されている。洪水で流される可能性があるので、ローコストを目指しているためだろうか。

左側は護岸の石積みをそのまま取り込んでいる。浴槽はコンクリート内で、底がザラザラしていた。

簡素な脱衣箱(女性専用は無い)

風呂の奥は自然の岩盤を取り込んでいる。

水着着用・タオル巻き不可とか水で薄めない、といった注意書きが掲示されている。

住 所 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺黒川
電 話 電話無し
交通機関 大分自動車道日田ICから約45km
JR豊肥本線阿蘇駅から九州産交バス別府行きで50分黒川温泉下車
施設(日帰り用) 特に無し
宿 泊 不可
泉 質 不明(浴舎内に表示なし)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 開始時間不明〜午後7時迄(地元以外の人の場合)
定休日 不定休(日帰り)
入浴料金 100円を箱に投入
入浴施設 混浴内湯1
浴室備品(日帰り) 何も無し
観光スポット やまなみハイウエイ・満願寺・大谷渓谷・九酔峡・くじゅう夢大橋・くじゅう連山・くじゅう花公園・大観峰・阿蘇五岳・草千里・竹田
お土産・食事 温泉街で可
近くの温泉 田の原・七滝・満願寺・扇・小田・奥満願寺・蔵床・白川・滝壺温泉・筋湯・筌ノ口・寒の地獄・湯坪・山川・はげの湯・岳の湯など多数
南小国町HP
観光協会HP
旅館組合HP
http://www.town.minamioguni.kumamoto.jp/
http://www.roten.or.jp/
http://www.kurokawaonsen.or.jp/
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
黒川温泉には、他にもあるかもしれないが、地蔵湯と穴湯という2ヶ所の共同浴場がある。

我々にご一緒してくれたプースケさんと温泉街を散策中、一ヶ所だけ入るならこちらの方がお薦め、と言うことで、田の原川を跨ぐ橋の上から左手を指さして教えて下さったのが穴湯共同浴場(混浴)だった。

河床から幾らも高さがないので、ちょっと水量が増したら流されそうに見える岸辺にあり、木材と竹で組まれた瓦屋根の湯小屋は風情たっぷりだ。
湯小屋の入口には、入浴料金100円の表示とコインを入れる箱が置いてあり、入浴は地元の人以外は午後7時迄、女性のタオル巻きの入浴は不可、といった注意書きがあった。

内部は外光はほとんど入ってこないためにかなり暗い。浴槽は意外と大きく、10人位が一度に入れる大きさ、湯は黒く見えるが、これはおそらく光線不足と浴槽の色によるものだろう。

年間の宿泊者数は325、000人(平成19年度)、日帰り客約100万人。旅館は何れも中小で28軒(25軒+別館3軒)、各旅館の平均稼働率40〜50%は、全国平均の25%を大きく上回る。

黒川温泉の歴史は少なくとも江戸時代には遡るが、日本全国の温泉3000ヶ所の中にあって、常時「行きたい温泉」のトップ3にランクされる人気温泉地になったのは、そう昔の事ではない。

鉄道の整備によって繁栄してきた内牧温泉や杖立温泉をよそに、地元客中心の湯治場として細々と長らえてきた。

昭和39年(1964年)、東京オリンピックの年にやまなみハイウエイが開通、旅館数も増加したものの、設備・サービスともレベルが劣り低迷が続いた。

そんな状況の中、「田舎らしさを出そう」という運動が起り、雑木の植樹、次いで露天風呂の着工・増設が始った。

もう一つの黒川温泉のイメージ、焦げ茶・黒の木材と黄土色の壁。

温泉名 : 黒川温泉

阿蘇五岳を走る。

施設名 : 穴湯共同浴場 (入浴日:2013.4.19)

昭和61年(1986年)になって、この運動が黒川温泉全体の取り組みとなって、看板の統一、温泉手形の発売などの様々な仕掛けが実施されていった。

この地道な努力が報いられて、次第に「癒しと寛ぎの温泉地」としての評判が全国的に高まり、さらにバブル崩壊により、温泉地が団体客・歓楽から個人客・癒しに変化。
これにより、同じように「田舎」を維持した由布院温泉とともに黒川温泉は一気にブレイクした。

標高700m、主として筑後川の最上流・田の原川の渓流沿いに、28軒の旅館が点在するが、今や週末・年末年始・GWなどの期間中は、予約が取りにくい超人気温泉となった。
これらの旅館は、全国の温泉旅館に大きな影響を与えた「黒川スタイル」を共有している。

即ち、旅館の規模が中小、木材をふんだん使った田舎屋風の造り、黒・焦げ茶・ベージュ多用の和モダンで小粋な館内、アプローチが屋根付き回廊で雑木の林間にある露天風呂などがそれだ。

黒川温泉と言えば林間の露天風呂。