温泉作りは先ず木を植えることから始まった。それも剪定を要する高級樹木でなくて雑木を植栽し田舎の雰囲気を演出した。
黒川温泉の情報センター「風の舎」
前回の九州一周の際に黒川温泉に宿泊した(旅館は山みず木)ので、今回は通過することにしていた。

ところが、かねてからインターネット上でお付き合いしていたプースケさんとお会いする約束をが出来て、昼食をご一緒することになった。

どこにでも出かけていくというプースケさんのご好意に甘えて、黒川温泉で待ち合わせすることになった。
黒川温泉の歴史は少なくとも江戸時代には遡るが、鉄道の整備によって繁栄してきた内牧温泉や杖立温泉をよそに、地元客中心の湯治場として細々と長らえてきた。

昭和36年に6軒の宿が一般向けの宿として本格的に営業を開始し、昭和39年(1964年)、やまなみハイウエィの開通時には若干の注目を浴び、旅館数も増加した。しかし、当時の旅館は団体客が中心、設備・サービスともレベルが劣り、低迷していたようだ。

そんな危機の中にあって、「田舎らしさを出そう」という運動が興り、雑木の植樹、次いで露天風呂の増設が始まった。

昭和61年(1986年)になって、この運動が黒川温泉全体の取り組みとなって、看板の統一、温泉手形の発売などのさまざまな仕掛けが実施された。

この地道な努力が報いられて、次第に「癒しとくつろぎの温泉地・黒川」が世に知られ始めた。

バブルが崩壊し、温泉地に求められるものが、団体客・歓楽から個人客・癒しに変化して行き、合わせて温泉ブームが到来、黒川温泉は一気にブレイクし、いまや予約が取りにくい超人気温泉となった。

現在の黒川温泉は、標高700m、主として筑後川の最上流・田の原川の渓流沿いに、28軒の旅館が点在する。
これらの旅館は、全国の温泉旅館に大きな影響を与えた「黒川スタイル」を共通に有している。

即ち、旅館の規模が中小、モダンな和の美と木材をふんだんに採用し、黒・焦げ茶・茶の色彩を多用した小粋な館内、それに自然と調和させた露天風呂だ。
施設名 : 山河旅館  (昼食付き入浴:2007.4.11)
所在地 :阿蘇郡南小国(みなみおぐに)町
温泉名 : 黒川温泉 
    
黒川温泉 山河旅館 (熊本県)
住 所 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6961−1
電 話 0967−44−0906
交通機関 大分自動車道日田ICから約45km
JR豊肥本線阿蘇駅から九州産交バス別府行きで50分黒川温泉下車
施設(日帰り用) ラウンジ、売店、駐車場(25台)
宿 泊 15室(T付9 BT付5 BT付き離れ1  13,800円〜24,300円 
チェックイン3時 チェックアウト10時
泉 質 硫黄泉&ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 8時30分〜20時30分(予約不要)
定休日 不定休(日帰り)
入浴料金 大人500円 
入浴施設 内風呂:男女各1、露天風呂:混浴1 女1 貸切風呂3
浴室備品(日帰り) シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 満願寺・大谷渓谷・九酔峡・くじゅう夢大橋・くじゅう連山・くじゅう花公園・大観峰・阿蘇五岳・草千里
お土産・食事 館内に土産あり
近くの温泉 田の原・七滝・満願寺・扇・小田・奥満願寺・蔵床・白川・滝壺温泉・筋湯・寒の地獄・湯坪・山川・はげの湯・岳の湯など多数
南小国町HP
観光協会HP
黒川温泉HP
山河旅館HP
http://www.town.minamioguni.kumamoto.jp/mognhtml/index.shtml
http://www.roten.or.jp/
http://www.kurokawaonsen.or.jp/
http://www.sanga-ryokan.com/
雑記帳 3回目の九州行きがあったら、こんどは黒川温泉に2回目の宿泊をしよう。
宿はもちろん、ここ旅館山河だ
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
愛犬アルの背後に高岳(1592m)や噴煙を上げる中岳などの阿蘇五岳。五岳は釈迦の寝姿に似ているので阿蘇の涅槃像と呼ばれる。(写真は3年前に撮影、アルは今回も同行)
火(肥)の国熊本県のシンボル・阿蘇山は世界最大級のカルデラ式火山だ。阿蘇といえば、阿蘇五岳(最高峰の高岳(1592m)・噴煙を上げる中岳・根子岳・鳥帽子岳・杵島岳)を中央に、それを囲む南北25km、東西18kmの外輪山との総称だ。

阿蘇五岳や九重連山を眺望し、日本一と言っていい大展望台・大観峰に立つと、雄大な阿蘇の景観の一端を窺うことが出来る。
10万年前までは、この広い外輪山の中で数多くの火山が溶岩を吹き上げていたそうで、その光景はさぞかし凄まじかったことだろう。

南小国町は、この阿蘇五岳を囲む外輪山の北側と東側の久住連山の山裾が交差する標高400m〜900mの高原に位置し、一部は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。

町の中を筑後川の支流が北側に流れ、町域の85%が山林原野を占める自然と温泉に恵まれた町である。

町域の温泉は数多く、主として田の原川の渓谷に沿って旅館が立ち並び、平成に入って癒しの温泉として大ブレイクした黒川をはじめ、満願寺・奥万願寺・田の原・扇・白川・小田などの情緒ある温泉が数多く点在している。
黒川温泉には約30軒(組合加盟旅館)の宿があり、すべてが風情ある露天風呂を持つ(写真は「山みず木)。
入浴手形1,200円(各旅館や黒川温泉案内所「風の舎」で販売、、日帰り客も利用可能)を購入すると、好みの3軒の宿の露天風呂で入浴することが出来る。
黒川温泉には年間で40万人が宿泊し、日帰り客はその3倍の120万人が訪れる。
低層・部屋数が少ない黒川温泉の28の旅館から推計すると、他の温泉地では夢としか思えない驚異的なオキュパンシー(客室利用率)だろう。

平成に入って、湯布院と並ぶ超人気温泉地となった証拠として、温泉宿人気ランキングを見ると理解できる。
いま、手元にある昭文社発行の「THE 温泉宿ベスト100(西日本)」の2003年度版・2005年度版を見ると、両温泉の宿が次のようにランクインしていて、2つの温泉地だけで2割を占めている。
  黒川温泉 湯布院温泉
2003年度     10ヶ所      8ヶ所
2005年度      9ヶ所     11ヶ所
また、少し古いが、2002年9月の日本経済新聞社のNIKKEIプラス1では、最高位の温泉大賞に輝いた。
いずれにしても、日本全国の温泉3000ヶ所の中にあって、各種アンケートの「行きたい温泉」で、常時トップ3にランクされる人気温泉地である。

30近くの旅館がある黒川温泉だが、昼食付きの入浴を受け付けている宿は意外に少ない。
これをする必要が無いほどの宿泊者と日帰り入浴の数の多さがそうさせているのだろうか。

ようやく見つけたのが、黒川温泉の中でも人気度ベスト3に入るであろう山河旅館だった。
温泉ガイドブックでも、黒川温泉を代表する旅館として、必ず詳細に紹介されている。
因みに、上記の西日本の温泉宿ベスト100では、2003年度で6位、2005年で26位にランクインしている。

宿は黒川温泉の一番奥の谷間(たにあい)にある。
3000坪の敷地は、周囲の自然に合わせ、意識して残された、あるいは植樹されたであろう雑木の林が、田舎に帰ってきたような懐かしさを感じさせる。

これぞ黒川温泉のコンセプトだ。
露天風呂への小道。途中、足湯や炉辺が設けられて田舎風情を演出しているいる。
建物は周囲に溶け込む様に建設された木造2階建てで、玄関先には、九州ばかりでなく西日本でも珍しい「日本秘湯を守る会」加盟旅館の印である提灯が吊るされている。

館内に入ると、そこは典型的な黒川スタイル。
木材をふんだんに使い、黒・褐色・茶色の3色をベースにしたフロント・ロビー・ラウンジそれに家具。

純和風でなく、レトロな雰囲気を漂わせつつモダンでシックな和風を演出させたこのスタイルは、全国の旅館で見かけるようになっている。

食事を取る客室に向かう途中の廊下は、黒光りしていて顔が映るくらいの輝きだ。、いくら磨きこんでも発色しない輝度で、ニスを塗りこんでいるのだろうか、と思ったりした。
部屋に入るやいなや、私たちは、全国・九州の温泉のこと、料理や特産品のこと、ホームページを維持管理する苦労話・裏話、それにお互いのプライベートなことまで堰を切ったように話し出した。

日頃、家では無口の私ゆえ(本当に)、ここぞとばかり家内が会話に参加するばかりかイニシアチブをとって、プースケさんとの話が弾む。
彼女はとうとうプースケさんの年令まで聞き出してしまったが、これはもちろん未公開だ。

途切れの無い会話が続き、あっという間に2時間が過ぎてしまった。
私は出された食事の内容・味はまったく覚えていない。
しかし、そんな時でも無意識に料理をデジカメでパチパチと撮影。気がついたらプースケさんも同じようにパチパチ。
期せずして、お互いに習慣化された記事に添付する写真撮影の行動に、2人して笑ってしまった。
気がついたら、肝心の風呂に入る時間があまり残っていなかった。
宿泊したことのあるプースケさんに案内されて、庭に出て先ずは内湯の浴舎に行く。
窓がなく薄暗い浴室は変わった設計で、平板な白っぽい石(多分)を敷き詰めた床の中央に、凹凸の出入りがある浴槽が設けられている。
温泉の色は、光線の具合かどうか定かではないが透明度がある赤茶色に見える。

山河旅館は2つの源泉を有していて、風呂によって単泉だったり混合泉になっている。この内湯には、薬師の湯と呼ぶ硫黄泉(1号泉)のみが注がれている。
時間が無いのでここは撮影のみで済ませ、プースケさんと家内は女性用、私は混浴の露天風呂へ。

男性用内湯
         混浴露天風呂の「もやいの湯」
ここは上記の1号線と2号泉(ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩温泉)の混合泉だ。
とても大きな露天風呂で、周囲の自然と見事に溶け込んでいて爽快な気分で入浴できる。硫黄分のせいだろうか、僅かに青白濁している美しい温泉だ。
山河旅館には、上記の男女別の内湯、混浴と女性専用の露天風呂の他に、宿泊客のみ利用できる貸切風呂が3つある。
ここのホームページでこの3つを見ると、それぞれがタイプが異なり、素晴らしい雰囲気を醸し出している。


客室数は離れを含めて僅かに15室。
料金はホームページに記載が無いので詳細不明だが、2007年度ガイドブック(昭文社 温泉&宿 九州)によれば、13,800円(休前日15,900円)〜21、150円となっている。
(予約の際は事前に山河旅館に電話で確認下さい。)
某企業で部下を持ってお忙しいプースケさんが、わざわざ1日を費やして我々に付き合ってくださった。
お互いのウエブサイト・掲示板・メールなどインターネット上のお付き合いだけだったが、そこでイメージしていた通り、明るくて、テキパキして、温かい心遣いが出来る方だった。
今度は、関西で再会出来る事を願って、現地でお別れした。
今回の九州の旅プランニングの際の数多くのアドバイスとあわせて、プースケさんに深く感謝申し上げます。
はい、その料理です。
前日宿泊した別府・鉄輪温泉神和苑を9時過ぎに出発、途中、七里田温泉下湯(後日掲載)に立ち寄ってから、昼前、日本で1、2を争う人気の黒川温泉、その中にあってもトップクラスの評判を得ている山河旅館に到着した。

駐車場には、福岡在住、人気の温泉ウエブサイト管理人で、相互リンクをさせていただいてるプースケさんとお連れさん(ナイス ガイ! 他用で昼食をご一緒できなかったのが残念)が先に到着されていて、我々を出迎えて下さった。
昼食のために案内された客室も同じように和風モダンな造りだ。