オーナーは他県在住だそうだが、スタッフはみな善い人ばかりだった。
施設名 : かじか荘 (宿泊日:2007.4.13)
住 所 |
鹿児島県出水市武本2060 |
電 話 |
0996−62−1535 |
交通機関 |
九州自動車道人吉ICから国道267・447・328・号線で約80km(地図上で計算)
南九州自動車道日奈久ICから国道3・328号線で約85km(地図上で計算)
その他に九州自動車道栗野ICからのルートもある
JR鹿児島本線出水駅から約7km、タクシーで15分
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施 設(日帰り) |
本館前に3台分以外は周辺に適宜駐車 |
宿 泊 |
別館8,460円〜 本館7,650円〜 自炊室2,500円〜
(現地表示から) |
泉 質 |
単純硫黄泉 (源泉温度37.7℃ 無色澄明 微硫化水素臭) |
適応症 |
不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
日帰り入浴時間 |
午前7時〜午後9時最終受付(入浴は10時まで) |
定休日 |
無休 |
入浴料金 |
小学生以上 300円 幼児100円 |
入浴施設 |
内湯男女各2 貸切1 |
浴室備品 |
風呂にはシャンプー類無し
宿泊客には部屋に洗面器と石鹸箱が置いてある。 |
観光スポット |
ツル越冬地(ツル博物館クレインパークいずみ) ・箱崎八幡神社(日本一の大鈴・・高さ4
メートル 、直径3・4 メートル 、重さ5 トン )・麓武家屋敷群 |
お土産・食事 |
昼食はかじか荘では不可、出水市内・国道沿いで。
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近くの温泉 |
紫尾温泉・宮之城温泉・薩摩温泉・湯の鶴温泉・湯の児温泉・湯浦温泉 |
出水市HP
出水市観光協会HP |
http://www.city.izumi.kagoshima.jp/
http://www.kanko-izumi.com/top.php
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雑記帳 |
前日、阿蘇温泉に宿泊した。ここから湯川内温泉への複数ルート上に、人吉温泉や湯の児温泉があったが、上記の観光を優先させたので、入浴は次の機会とした。
この日は十分に家内孝行をした日だった(と思う)。 |
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
出水市は鹿児島県の西北端、北は熊本県水俣市に接し、西は八代海(不知火海)に臨む。
出水市観光協会のホームページをのぞくと「歴史と鶴の町」と謳っている。
薩摩藩は、肥後に対する守りと藩内治世の目的から外城を100ヶ所以上設けたが、最も大きかったのが出水の城だ。
市内には碁盤の目のように整然と区切られた道路、玉石を積んだ風格のある武家屋敷のたたずまい、堂々たる武家門などが残り、いかにも武の国・薩摩藩の雰囲気を漂わしている。
出水兵児(いずみへこ)と呼ばれた出水郷の武士団は、薩肥国境地帯の防衛・警備・関所の管理を任ぜされ、薩摩でも最強の部隊だった。
一方、出水市は、北海道北部と山口県周南市と並んで、野生の鶴の渡来地として有名だ。
出水平野には、ナベヅル、マナヅルなど7種類の鶴が毎年10月中旬頃から越冬のために渡来し、ピーク時には1万羽を数える。
これだけの鶴が人家近くで越冬するのは、世界中でここだけだそうで、国の天然記念物に指定されている。
第2回目の九州遠征で28ヶ所の宿・日帰り施設で宿泊・入浴した。その中で、最も感動したのが、ここ湯川内温泉の一軒宿・かじか荘だ。
前回の奴留湯温泉と同様、ここを紹介くださったこと及びご自分の写真の使用を私に許してくださったプースケさんに厚く感謝申し上げます。
写真は何れも出水市HPから借用
2回目の九州遠征に先立つこと3ヶ月前、温泉サイト仲間で福岡県在住のプースケさんから、掲示板上で九州の濁り湯の写真を10枚ほど見せて頂いた。
それを見て、美しいコバルトブルーの温泉を持つ鉄輪温泉・神和苑に宿泊することを即座に決めた。
と同時に「濁り湯と対極の温泉」のコメント付きの写真を1枚見せて下さった。
その写真を見た瞬間、ガラスのように冷たく、手を入れたら忽ち切れそうな透明度の高い湯に鳥肌が立った。
それが湯川内温泉かじか荘の風呂だった。
湯川内温泉は、出水市街地から国道328号線で南下すること約10分、途中で右折して紫尾山(1067m)の北麓に通ずる山道を4kmほど進む。
途中からすれ違いが難しい狭い道路になるが、湯川内温泉で行き止まりとなるので、対向車はほとんどなく冷や汗をかくことはない。
縮尺の大きな地図で見ると、国道に近くとても山の中の温泉とは考えられないが、実際に行ってみると、僅かな間に深山幽谷の趣が一挙に増して、標高の割には秘湯の雰囲気が漂う。
渓谷上のわずかな平地と斜面を利用してかじか荘が建つ。およそ240年ほど前、宝暦年間に発見された湯川内温泉は、島津家専用の温泉だったが、明治以降に一般に開放されたそうだ。
一軒宿のかじか荘の建物の一番古いものは昭和初期に建てられているそうだが、意外と部屋数が多く、一般の部屋20室(一部BT付き)と自炊用の部屋15室がある。
提灯が出迎えてくれる。正面1階でチェックイン(午後3時〜)、日帰り入浴もここで受け付ける。2階はトイレ無しの客室。駐車場は本館前に3台分、他は路上に停める。
平日2人1室(BT付き) 1人8,470円
これも鄙びた自炊棟 2,500円〜
長屋式の別館。引き戸の向こう側に狭い土間があって、そこで愛犬を寝させた。(他に客が無かったので了承下さった)
本館玄関。食事はここから入った広間で頂いた。
当初、設定料金からトイレ付きの部屋(家内の条件)は無いと思っていたが、プースケさんから別館にBT付きの部屋があるとの嬉しい連絡があった。
これですべてOK、さっそく予約を入れたが、その際に聞いた料金が1人8,470円。
BT付きの部屋では、いままで宿泊した約100ヶ所の中で最低料金だったので、一瞬耳を疑った。
別館は正面向かって右手奥にあり、斜面を切り開いたと思われる僅かな土地に長屋方式で建っていた。
部屋数は6室(5室だったかもしれない)で、8畳の和室に3畳ほどの広縁、それに洋式トイレ(シャワー無し)とけっこう大きな風呂があって、温泉が注がれるがもちろん使用しなかった。
当日の別館宿泊者は我々だけだった。
シンプルな8畳の和室に炬燵テーブルがあった。広縁から見える木々の緑が鮮やかだった。
風呂は内湯が男女別に2ヶ所、それに家族風呂(2時間で3,500円)があるが、利用しなかったので、どこにあってどんな風呂かは不明だ。
本館と湯治棟の間にある一つ目の内湯(男性)
第一の内風呂は、本館と湯治棟の間の少し奥まった所に位置する木造の湯小屋内にある。
簡素だが豪快な木造の脱衣所から階段を下りた先に、4,5人が入れる浴槽がある。
荒削りの材木の縁を跨いで風呂に入るととても深く、お尻を直接底につけると潜ってしまいそうだ。
四方に廻らされた木造のベンチか、無造作に置かれた石に座って入浴すると具合が良い。
浴室内が薄暗いので、ここの湯の透明度はやや分かりにくい
冬季の間だけの加熱浴槽
第二の内風呂は、そこから階段を20段ほど上った山の斜面にある。
秘湯好きには堪えられない古びた湯小屋に、長さ5〜6mほどの木造の湯舟が設けられ、男女別に分けるため、中ほどに仕切りが作られている。
しかし、風呂の下30cmほどは仕切りがなく、湯が行き来している。
そのため、男女ともあまり仕切りに近い所で入浴すると、隣から見えてしまう。
古びた風情の湯小屋。
男用の浴槽、石が無造作に置かれ、砂利の下から湯が湧き出る。
プースケさんからお借りした女性用の湯舟。温泉がいかに透明か、この写真でお分かりいただけるだろう。湯が縁から静かに流れ出ている。前方下で男性用と繋がっているのので要注意!
女性用の露天風呂から男性用の風呂が見えてしまうものを、よく「仇討ちの湯(風呂)」と呼ばれているが、ここは両方から見えてしまうので「相打ちの湯」だ。
この名称、他のサイトでは見かけていないので、ここで私が最初に使った、と高らかに宣言しておきたい(笑)。(2007.10.15宣言)
プースケさんはこれを知らないでギクッの経験をされているが、私も同じ体験をした。
風呂はご覧のように、信じられないくらい透明な単純硫黄泉で満たされている。
見た目、冷たく硬質な湯に手を浸すと、指が切り裂かれるような気持ちになる。
わずかに硫黄の臭い(鼻の利きが悪い私には分からないが)、湯の温度は源泉温度が37.7℃なので、これを下回っていることは間違いない。
防水デジカメで水中撮影。この砂利の間から湯が湧きだして来る。
男風呂の手前に柄杓が置いてあるが、これの下の湯口から温泉が補給されている。この柄杓で湯を飲むことも出来る。
湯の温度が低く、肌への感触がとてもやらかなので、何時間でも浸かっていられる(わずかに泡もつく)。
第一の内湯も足元湧出とのことだが、第二の方がはっきりとそれが分かる。
但し、湧出は男性用の浴槽の方が顕著で、現に宿の女性スタッフも家内に向かって「深夜、男性用の方に入ったらどうですか、こちらの方が多く湧き出ているから」と薦めてくれた(家内実行)。
もともと地元の人に支えられてきた「かじか荘」なのだろう。
今でも日帰り入浴を300円という低料金で、積極的に受け入れている。
受付は午前7時から午後9時(入浴は午後10時まで)と長く、この日も夜遅くまで、ひっきりなしに地元の人がやって来ていた。
その上、湯が眠気を催すような快適な低温だから、30分はおろか1時間以上浸かっている人が多い。
それ故、宿泊の場合でも、風呂を独占してゆっくりと浸かりたい、という希望はなかなか叶わない。
どうしてもとこだわれば、深夜から午前7時までに入浴することになるが、ここでは地元の人に混じって、ローカルな話や温泉談義をしながら、親しく地元の人と交流を楽しみ、1時間でも2時間でも長風呂するのが一番だろう。
(と言いながらも、温泉サイト管理者としては風呂の写真を撮りたくて、機会を窺っていたのでこんな具合にはならなかったが)
2つの風呂のうち、下の第一の風呂が混み合うことが多いので、上の第二の風呂が狙い目だ。
また、休日は県外からの人も多く大変混雑するようだが、宿に聞いた所、11時〜14時頃が比較的空いているとのこと。しかし保証の限りではない。
宿泊の場合は、土曜・日曜泊を避けることをお薦めしたい。
宿に貼ってあった鹿児島県の温泉番付表。いつ誰のランク付けか不明だが、湯川内温泉が、堂々の東の横綱に番付されていた。
夕食・朝食とも本館の広間で頂く。
宿泊料金からして、期待はしていなかったが、どうしてどうして、凝った料理ではないものの、海が近いので新鮮なお造りや小ぶりだが天然物(多分)のタイのお頭付きなどが出て、十分に満足できた。
朝 食
濁り湯は大好きだ。
温泉に色がついているだけで、そこの評価が高くなってしまう。
しかし、かじか荘のこのクリスタルのような湯に入った後では、濁り湯が文字通り単なる濁った湯に思えてしまった。
それほど衝撃的な透明度で、しかも足元湧出・私が最も好む低い温度・やさしい肌触りの温泉だった。
さらに充実した料理・BT付きの部屋・明るくて善意に満ちたスタッフ・・・3拍子4拍子揃った素晴らしい温泉宿だった。
チェックアウトの時、2万円(2人分)でお釣が来てなんだか申し訳なく思った。
尚、第二の風呂、男湯の方が足元湧出がはっきり分かるので、男女交代はしないの?と聞いたら、女性スタッフが「鹿児島だから」と笑いながら答えた。どうやら薩摩隼人、男上位の伝統が今も残っているようだ。
ペットと同宿できる阿蘇温泉御宿小笠原(記事後日掲載)を9時にチェックアウト
前日宿泊した阿蘇温泉の旅館で、翌日の湯川内温泉へのルートをどう取るか散々迷った。
その夜には決まらず、翌日、旅館を出発し、国道57号線に出たところで、温泉を巡るための左折でなく、逆に右折して宮崎県高千穂峡に向かった。
国道57号・265線に乗って、阿蘇五岳の東を巻くようにして進む。
国道265号線、正面見えてきたのは根子岳(1433m)か?
高森・月廻り公園からの雄大な阿蘇五岳(部分)
この先から国道325号線に乗り換えて高千穂へ。
前回の九州遠征で、たまたま出てきた高千穂峡への標識を見て、家内がそこへ行きたいと言った。
今からでは時間的に無理と断った(家内ふくれる)。そのときのことを叶えようと思ったのが、この日、立ち寄り湯をすべてあきらめて高千穂峡に向かった最大の理由だ。
天孫降臨神話が息づく高千穂の峰々。高千穂神社の創建は1900年前(真偽はともかく)。高千穂18郷88社の総社を参拝。
今までこの風景を雑誌・パンフレット・テレビ等で何回見たことか。やっと高千穂峡に来られた、の感慨が湧き上がった。
深いV字渓谷、柱状節理の断崖、そこから流れ落ちる真名井の滝(日本の滝100選)、静かな緑色の淵。
国の名勝・天然記念物の景観は、写真で見るより実物の方がはるかに美しかった。(来て良かった!)
高千穂から国道218号線で西へ一本道、90km(山間部を含む一般道のこの距離は長かった)先の九州自動車道松橋ICへ向かった。
国道218号線沿いは石橋が多い、とサイト仲間の温たまさんが教えて下さっていた。
これを思い出し矢部町に入って「通潤橋」への標識が見えたとき、躊躇無くハンドルを切ってそちらへ向かった。
数多い九州の石橋の中で、長崎市のめがね橋と並んで最も有名かもしれない。
予約し、所定の料金を前納しておくと、石橋中央からの豪快な放水を観ることが出来る。
大回りして高千穂峡・通潤橋の観光をしたので、午後をかなり過ぎたのに先が長い。
ここからはトイレ休憩以外はノンストップで国道218号線を一路西へ。
写真撮影もすることなく、九州自動車道松橋ICに乗り、南九州自動車道・国道3号線経由で南下。
当初、立ち寄り湯を考えていた日奈久温泉や湯の児温泉を通過、水俣市を抜けて出水市から国道328号線に乗って、午後4時過ぎ、ようやく湯川内温泉・かじか荘に到着した。
4時過ぎ、ようやくかじか荘に到着。
一つ目の内湯
下から上がってきた湯玉が跳ねているのが見える。
部屋に置いてあった洗面器と石鹸
深い浴槽、石の上に座って入浴