JR大糸線穂高駅の北西、南アルプスに沿って東西に走る県道25号(山麓線)沿い、有明温泉・中房温泉へ向かう分岐点の手前の林間に数軒の小さな旅館が立っている。
その内の一軒が今回宿泊する穂高城(記事は追って掲載)だが、そのすぐ傍にある温泉旅館・常念坊に立ち寄った。
常念坊は、部屋数が11室(洋室4 和室7)の小規模旅館で、外観は賃貸アパートのようにごく簡素な造りだが、道路に面して「湯の宿 常念坊」「露天風呂」「日帰り入浴・御宿泊」と書かれた、大きな看板が立てられているので、見逃すことは無い。
宿泊料金は、平日2人利用で1人8,500円~12,500円とリーズナブルだ(詳細最新情報は宿のHP参照)。
それでいて、じゃらんのクチコミ評価もそこそこ行っていて悪くない。
看板の通り、日帰り入浴を積極的に受け付けており、大人500円、昼食付きで1000円というお得なプランもある。
一見すると民宿の様な佇まいだが、有明温泉から引き湯している温泉宿。
なかなか情緒ある石板を敷き詰めた2槽の風呂で、左側が熱い。中房渓谷・有明温泉から2本の源泉を引き湯して混合して循環使用。泉質は、アルカリ性単純温泉(PH8,5 泉温75.4℃)で、pHが高いためにしっとり感がある。
3人程度の規模の露天風呂は、展望が開けているわけではないが、木々の緑が鮮やかで開放感はある。風呂の底も天然石が敷き詰めてあって雰囲気良好。冬期は温度維持が難しくて利用できないようだ。
道路に面して大きな看板。「日帰り入浴」と明示されている。
飾り気のない庶民的な雰囲気のロビー。
館内は、よく維持管理されていて清潔感がある。
古代、この地に九州・筑紫から移住してきた海人族安曇氏に由来するという安曇野は、北アルプスの山々から湧き出た梓川や中房川などによって出来た複合扇状地だ。
常念岳を間近に仰ぐこの地に、中房温泉から引き湯する温泉旅館が林間に点在し、これらを総称して穂高温泉と呼ぶ。その中の一つ、近年オープンした穂高城(記事未掲載)に宿泊、すぐ傍の素朴な湯宿 常念坊に立ち寄った。
穂高連峰の山麓には岐阜県側に良く知られた新穂高温泉があるが、穂高温泉は、穂高連峰からは遠い常念岳の東麓にある。
旅館組合のHPによれば、加盟ホテル・旅館は14軒だが、未加入の宿やペンションもかなりあると思われる。これらは森林の中に点在しているため温泉街は形成されていない。
温泉の歴史は浅く、1972年(昭和47年)、10kmほど離れているが湯量豊富で高温泉の中房温泉から引き湯し、安曇野にあった旅館に配湯したことから始まる。
昭和55年には、中房温泉とともに国民保養温泉地に指定されている。
源泉が90℃近い高温のため、遠方から送られてきても、加温せずそのまま各旅館の浴槽に落されている。
安曇野と言えば、春遅くでも雪が残る北アルプスの峰々と緑豊かな森林、清洌な水で栽培されるワサビ田、愛くるしい道祖神の数々などを思い浮かべる。
その広大な自然の中に旅館ホテルがポツンポツンと分布していて、また、近年、中房源泉以外にも温泉が掘削されたのだろうか、穂高温泉郷と称している場合もある。
住 所 | 長野県安曇野市穂高有明2186-201 |
電 話 | 0263-83-4984 |
交通機関 | 長野自動車道安曇野(旧豊科)ICから国道147号線等で約20分 JR大糸線で穂高駅下車タクシー10分 |
施 設(日帰り用) | 食事処、無料休憩室(10時~15時)、駐車場 |
宿 泊 | 平日1泊2食付き 8,500円~12,500円 詳細・最新情報は常念坊のHP参照。 |
泉 質 | アルカリ性単純温泉(有明温泉の2本の源泉の混合 pH8.5 泉温75.4℃) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間(日帰り) | 10時~19時30分 |
定休日 | 毎週火曜日 |
入浴料金 | 大人 500円(昼食付き入浴料込1000円の日帰りプラン有り) |
入浴施設 | 内湯 男女別各1 |
浴室備品 | シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー |
観光スポット | 大王わさび農場、安曇野アートヒルズミュージアム、碌山美術館、安曇野ジャンセン美術館、安曇野スイス村、安曇野の里、国営アルプスあづみの公園、安曇野ワイナリー、登山、トレッキング |
お土産・食事 | 館内で食事可 |
近くの温泉 | 中房温泉、有明温泉、葛温泉、大町温泉郷、浅間温泉、美ヶ原温泉、、 |
安曇野市HP 観光協会HP 旅館組合HP 常念坊HP |
http://www.city.azumino.nagano.jp/index.html http://www.azumino-e-tabi.net/ http://www.hotakaonsen.com/ http://jonenbo.com/ |
平成17年10月、旧豊科町・穂高町などの5町村が合併して出来た安曇野市は、長野県のほぼ中央部に位置し、松本からは電車(JR大糸線・篠ノ井線)で10分~30分の距離にある。
北は大町市など、南は松本市に隣接し、西部には中部山岳国立公園内、3000m前後の燕岳・大天井岳・常念岳等が連なる北アルプス連峰が聳え立つ。
これら北アルプスの峰々を水源とする梓川、中房川等が犀川に合流する東部は、「安曇野」と呼ばれる海抜500m~700mの扇状地となっている。
安曇野という地域から農業中心のイメージがあるが、工業出荷額は約8613億円で県内1位、農業出荷額は約118億円で県内3位であり、農工商業のバランスが取れている。
安曇野の由来については、一時、古代史に凝っていた時に知った。かって筑紫を中心に北部九州で、遠く中国まで進出する海運を司っていた安曇族が、後に東遷して各地に定住し、阿曇、安曇、厚見、厚海、渥美、阿積などの地名を残した。
信州にあっては、律令制のもとで信濃国安曇郡が成立した。筑紫と類似した風習は、馬食などの食文化や地名・方言として残っている。
穂高神社は、上記の通り筑紫(現在の福岡県)から移り住んだ安曇氏ゆかりの神社。安曇野市穂高の本宮のほか、上高地に奥宮、奥穂高岳山頂に嶺宮があることから、「日本アルプスの総鎮守」の通称があるそうだ。
国営アルプスあづみの公園から見る日本百名山の常念岳(2857m)。撮影は、前回来た4月16日に撮影で、桜が満開だった。
施設名 : 湯の宿 常念坊(じょうねんぼう) (入浴日:2014.7.17)