玄関先の土間、左がロビー、まっすぐ進んで内庭に出る。

木造2階の客室棟。本館2階にある大正・昭和の雰囲気を残す和室が人気のようだ。

白布温泉 湯滝の宿 西屋 (山形県)

   

奥州三高湯の一つとして知られてきた米沢八湯の一つ白布温泉は、吾妻山中、標高900mの高所にある。
200年前の茅葺の母屋が残る「湯滝の宿 西屋」の風呂は、温泉がまるで洪水のように溢れ出ていた。
風呂の大きさに対して注がれる温泉の量は生半可でなく、もしかしたら日本一ではなかろうか。感動した!

米沢市郊外には八つの温泉が湧く。
白布・新高湯・大平(おおだいら)・姥湯(うばゆ)、滑川(なめかわ)・五色・湯の沢・小野川、即ち「米沢八湯」である。
但し郊外と言っても、大都市郊外の新興住宅地をイメージすると間違いになる。
6湯が標高900mから1100mの山間にあり、その内5湯が一軒宿、さらに3湯がいまだに自家発電の宿である。
日本有数の秘湯地帯と言っても過言ではない。

これら八湯は、熱源である日本百名山、那須火山帯最大の火山である吾妻山(最高峰2,035m)の北側山麓に点在する。
吾妻山、正確には吾妻連峰は、福島市西部から米沢市南部の天元台にかけて、東西20km南北10kmにわたって、標高2、000mの火山が連なる山脈である。

白布温泉は、最上川源流域の一つ、ブナの森に囲まれた白布渓谷の山中、標高900mの高地に湧く温泉である。
ここには、米沢藩中興の祖で第九代藩主である上杉鷹山(ようざん)が入浴したと伝えられる。
現在は山の斜面に沿って趣が異なる6軒の宿、民宿1軒と公共の施設1軒が点在しており温泉街は無い。

噴煙を上げる吾妻連峰・一切経山(1949m)。磐梯吾妻スカイラインからの風景で、この山の裏側に秘湯の姥湯・滑川・五色温泉がある。

所在地 : 山形県米沢市

米沢市は、山形県の南東部にある人口約92,000人の市で置賜(おいたま又はおきたま)地方の中心都市だ。
南部・東部は広い山地となっていて、特に南端の吾妻連峰一帯は磐梯朝日国立公園に指定され、天元台スキー場などがある豪雪地帯になっている。

米沢は戦国時代に伊達氏の本拠地となり、独眼で有名な伊達政宗もここで生まれている。その後、豊臣秀吉によって伊達政宗が陸奥岩出山に転封された後、会津に入った蒲生氏、ついで上杉氏の支配下に入った。
上杉景勝は家老・直江兼続に30万石を与えて米沢に入れ、伊達氏及び山形の最上氏に対する抑えとした。

しかし上杉氏は関ヶ原の戦いに先立って徳川家康に敵対したため、1601年(慶長6年)に上杉景勝は91万石を30万石に減封され、居城を会津から米沢に移させられた。
兼続は米沢城を景勝に譲り、ここに上杉・米沢藩が成立した。

2009年のNHK大河ドラマ「天地人」の舞台であり、町中にこれと直江兼続の幟がはためき、伝国の社では天地人博が開催されており私たちも見学した。

仕切りの向こうが滝湯。右手にも小さな風呂?(上がり湯・かけ湯とは思えなかったが・・下記)


住 所 山形県米沢市関1527
電 話 0238-55-2480
交通機関 東北自動車道福島飯坂ICから約50km
JR山形新幹線米沢駅から山交バス白布・天元台行きバスで40分、白布温泉下車
施設(日帰り用) ロビー、駐車場25 
宿 泊 17室12,000円~(2009年6月現在・・・必ず下記HPで確認ください)
泉 質 硫黄泉(含石膏硫化水素泉) カルシウムー硫酸塩温泉(上記)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 12時~15時30分(混雑時は人数制限あり)
定休日 無休
入浴料金 大人500円 
入浴施設 内湯男女各1 貸切内風呂1(宿泊者専用)
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー
観光スポット 上杉神社、上杉家廟所、上杉記念館、松が岬公園、稽照殿、春日山林泉寺、旧米沢高等工業学校本館(重文)など
お土産・食事 白布温泉では食事処・土産物屋を見かけなかった。
近くの温泉 新高湯温泉・小野川温泉・大平温泉・湯の沢温泉・姥湯温泉・滑川温泉・五色温泉
米沢市HP
米沢観光協会HP
白布観光協会HP
西屋HP
http://www.city.yonezawa.yamagata.jp/
http://yonezawa.info/
http://www.vivi.ne.jp/shirabu_kanko/
http://www18.ocn.ne.jp/~nishiya/
雑記帳 米沢八湯、特に姥湯温泉は憧れの秘湯、いつの日か入浴したいと思っていた。
当然のことながら、宿泊も姥湯温泉桝形屋を考えたが、駐車場から宿まで徒歩で10分以上かかる。
愛犬アルの世話/散歩を考えるとこの距離は致命的、そこで観光する米沢市に近い小野川温泉と白布温泉を検討、自然度が高い白布温泉に決めた。
宿は西屋にしたかったが、ここにはトイレ付の部屋がない。そこで隣に建つ東屋に予約を入れた。

打たせ湯の機能があるが、あまりの勢いなのでその下に立つのが憚れる。
温泉が床で轟音を上げて飛び散り、前の湯船に流れ込んでいる。

窓が無く上部の湯気抜きからの光のみ。
床も湯船も御影石だが、温泉成分で黒ずんでいて硯石のように磨きあげられている。

風呂は畳3枚くらいの大きさ、そこに凄まじい勢いで温泉が落とされているので、湯が風呂から洪水のようにあふれ出ている。これだけ贅沢なかけ流しは見たことがない。


脱衣場に向かう途中の廊下はコンクリートの打ちっぱなし。
その上に長いすの子が敷かれ、何とその下を風呂からあふれ出た温泉が庭に向かって流れ出ている。
ここもまた初めてみる驚きの風景だ。

脱衣場から浴室に入るとすさまじい水音が耳に飛び込んでくる。

右手仕切りの向こうに、高さ4mほど上から3本の樋を通って温泉が落とされている。

風呂は2mx3m程度の広さ、熱めで43℃くらいか?湯の華がかなり舞っているようだ。(眼鏡無しのため見えず)

データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

館内は藤ござが敷き詰められている。

内庭の正面に湯屋。

浴室の湯が庭に流れ出ている。

廊下にスノコ、その下を湯が流れ出ている不思議な風景。

3本の木造の樋から大量の温泉が落とされる。

柱・梁が縦横無尽に渡される吹き抜けの天井。

西屋の茅葺の母屋

3本の「滝」。左2本は源泉温度で熱くて打たせ湯は不可。

温泉マニアなら涙を流す感動の風景。日本一の掛け流しと言う人もいる。

轟音が響き、まるで滝壺で入浴しているようだ。

渋い暖簾がかかる玄関。左横には「直江兼続公」の幟。

施設名 : 湯滝の宿 西屋 (2009年5月12日) 

米沢は「天地人(直江兼続)」一色だった。

平成12年(2000年)まで、右の写真のような茅葺の宿が3軒並んでいた。
西屋・中屋・東屋の3軒だ。
しかし中屋から失火、東屋にも飛び火して全焼、残る茅葺はここ西屋だけとなった。


今や白布温泉のシンボルとなった西屋は現当主が18代目、BTを持たない17の和室(別に離れ2室)があり、宿泊料金は12,000円~18,000円(2009年6月現在)となっている。

築200年の母屋の右側の階段を上り暖簾をくぐると、思いがけず広い土間に立ち、左手、黒塗りのガラスの引き戸の向こうにロビーと思われる場所が見え、廊下には藤ござが敷き詰められている。これまで見たことのない構造だ

日帰り入浴の時間は12時~15時30分、ここで500円を払い、靴のままで土間を横切り内庭に出て左手の湯屋に進む。
それほど高さはなく、窓も無くて上部に湯気抜きを兼ねた明り取りしか見かけられない。

温泉名 : 白布(しらぶ)温泉 

泉質がはっきりしない。
宿の掲示では、源泉1・2・3号泉の混合泉で、泉温56.8℃のカルシウムー硫酸塩温泉となっていている。

一方、西屋のHPでは、2号泉使用で泉質は硫黄泉(旧含石膏・硫化水素泉)となっている。
私が泉質を転記するとき「含む硫黄」を書き落としているのだろうか、それとも混合泉とした結果、こうなったのだろうか。

次の2点を付け加える。
打たせ湯をする場合は、一番右の滝を利用する。これだけは水を加えていて温度が低いようだ。(宿のHP)

上の写真の小さな浴槽は、宿のHPで上がり湯で、とても熱いので早めに桶に入れておいて冷ましてからかけてください、とある。