別所温泉 旅館花屋 (長野県)
ななくりの湯

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信州の鎌倉と言われる塩田平、その中心に位置する別所温泉周辺には国宝・重文指定の寺院などが数多く点在する。
前回は木造4階建ての臨泉楼 柏屋別荘、今回は大正6年創業の老舗で「口コミ」でも人気・満足度が高く、登録有形文化財の宿「花屋」に宿泊した。
         石湯
池波正太郎の「真田太平記」には、別所の湯がしぱしぱ登場する。物語りの中で重要な位置を占める向井佐平次が真田幸村と初めて会うのはこの風呂だ。柏屋別荘の隣にある。
    営業時間:6:00〜22:00
    定休日:第2・4火曜日 
    入浴料:150円
        大師湯
天長二年(825年平安時代)比叡山延暦寺の座主円仁慈覚大師が北向観音堂建立のため当地に来錫の折好んで入浴したので大師湯と名付けられた。石湯のすぐそばにある。
    営業時間:6:00〜22:00
    定休日:第1・3木曜日  
    入浴料:150円
         大湯
吉川英治の大河小説「新平家物語」で木曾義仲が巴御前とともに、ここで湯治する。

温泉街の中心からやや外れた北向観世音堂近くにある。
    営業時間:6:00〜22:00
    定休日:第1・3水曜日
    入浴料:150円

夕食・朝食とも部屋食。
夕食は女性に喜ばれそうな工夫も若干見かけたが、先ずはオーソドックスなメニューと言っていいだろう。
残念なことに牛肉に筋があって、噛みきれなかった。

木造・瓦屋根、花屋の提灯がぶら下がる玄関をくぐる。
そこに広がる和洋折衷のロビーラウンジには、ランプシャンデリアが下がり、鶯色のソファや民芸調度が置かれて、レトロな雰囲気が横溢、所謂大正ロマンの空間に身を置ける。


ロビーから先に宿泊棟や離れが星形に分散し、そこを木造吹き抜けの渡り廊下が、内庭を横切っている。

部屋はあまり風呂に遠くない部屋を予め頼んでいたが、これを勘案してくれていて、離れ家風の22号室(右上の渡り廊下先に見える建物)。
平日2人1室で、1人18,900円(税・サ込)。

内庭に面し、8畳の落ち着いた和室+2畳の踏み込み+4畳程度の絨毯・ソファが置かれた小部屋+シャワートイレ・洗面所。

部屋には炬燵が置いてあった。

相互リンクさせていただいている「温泉たまこ」さんが、ここに宿泊されて館内や部屋の様子を詳しく写真で紹介されていたので、私もチェックアウト前に仲居さんに頼んでいくつかの部屋を見学させてもらった。詳しくは温泉たまこさんのHPでご覧下さい。

別所温泉は数多くの寺院があるため、、昔から宮大工が多くいたので、彼らの技術を活かして花屋の建物の普請から修理まで手掛けた。

4代目の社長は、鉄筋コンクリート建築を勧められたが頑として拒絶したという。
「宿と職人は持ちつ持たれつ」の伝統的な精神に基づき、花屋には今でも大工が常駐している。


宿泊してみて、なるほどこれだけの木造建築だと、年がら年中の修理や、維持管理作業があるだろうと実感した。






花屋旅館は、蚕種製造業を営み衆議院議員も勤めた南条吉左衛門を長とし(初代社長)、これに「みすず飴」の飯島新三郎らが参画して大正6年に開業した、別所温泉にあっては老舗の一つである。
現在の5代目の社長は飯島家からで、、上田市にあって「みすす飴」を製造販売する飯島商店と同一経営である。
因みに花屋は、文化庁指定の登録有形文化財であるが、飯島商店の洋館も同様の指定を受けている。

花屋旅館は、上田電鉄・別所温泉駅から温泉街へ向かく途中の一番東寄りにあり、6,500坪の広大な敷地に、宿泊棟や離れ14棟(合計43室)などが中庭を囲むようにして建ち、それらを情緒たっぷりの吹き抜けの木造渡り廊下が繋いでいる。
当館はネット上の各種「口コミ」の人気度・満足度は高く、特に女性の支持を得ているようだ。
宿泊料金は、2009年12月現在のプランを見ると、格安の11,500円から30,000円前後と幅広く、季節・時期を選んで丹念にプランを探すと以外に低料金で宿泊できる。

平成18年3月に(旧)上田市と(別所温泉があった)丸子町・真田町・武石村が合併して、新しい上田市が誕生した。

上田市は長野県の東部にあり、、塩田平と呼ばれる盆地の中にある.。

市域の北は上信越高原国立公園の菅平高原、南は八ケ岳中信高原国定公園に指定されている美ケ原高原などの有名高原があり、多くの観光客・ハイカー・スキー客を受け入れている。
また、市の中央部を千曲川(新潟県からは「信濃川」)が東西に通過、長野盆地へと流れている。

上田市と言えば、戦国時代、真田一族が本拠を置いていた土地である。
父の真田昌幸、長男・信之、そして次男・信繁にまつわる戦国絵巻。
特に中学生時代に読んだ講談本で、真田幸村(信繁と同一人物)が、配下の猿飛佐助・霧隠才蔵らの忍者や三好清海入道ら、真田十勇士と共に獅子奮迅の活躍をするさまに胸躍らせたものだ。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 長野県上田市別所温泉169
電 話 0268−38−3131
交通機関 上信越自動車道上田上田菅平ICから約17km
上田電鉄別所線別所温泉駅から徒歩5分
施 設(日帰り用) 日帰り受け付けていない。
宿 泊 43室(和室T29室 離れ14室BT)
2009年12月現在 11、500円〜30,000円位迄
(年度・季節・曜日・人数・企画などによって異なるので、予約の際は花屋HPを参照してください)
泉 質 単純硫黄泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
立ち寄り入浴時間 不可
定休日 宿泊は無休
入浴料金(日帰り)
入浴施設 宿泊者のみ
内湯男女交代
制2ヶ所露天風呂男女交代制2ヶ所
浴室備品 宿泊者 シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー、ロッカー、各種アメニティ
観光スポット 別所温泉周辺は「信州の鎌倉」と言われ国宝・重文の多数の寺社仏閣がある。安楽寺八角三重塔(国宝)、中禅寺薬師堂(重文)、常楽寺の多宝塔重文)、長福寺の夢殿観音(重文)、前山寺の三重塔(重文)無言館、善光寺、美ヶ原高原、蓼科高原、白樺湖、ビーナスライン、
お土産・食事 宿泊者のみ売店利用可 昼食付き入浴不可
近くの温泉 田沢温泉・沓掛温泉鹿教湯温泉・霊泉寺温泉・大塩温泉
上田市HP
観光公式HP
旅館組合HP
花屋HP
http://www.city.ueda.nagano.jp/hp/index.html
http://www.bessho-spa.jp/
http://www.bessyo.or.jp/
http://hanaya.naganoken.jp/
雑記帳 別所の地名の由来は、寺が多く集まった地域を別所と言う、あるいは、かっての国主が別荘をこの地に建てたので別所となった、などの説がある。
因みに、別所という地名は、日本全国で400ヶ所に達するそうだ。

露天風呂への道筋、湯上がりに一休み

2つの露天風呂、温度はかなり温かった。

展望風呂。広々としたスペースにここも大理石造りの大きな浴槽。ガラス張りの窓から木々を望み開放感たっぷり。ここも男女交代制。

温泉の泉質は50.9℃の単純硫黄泉で、pH8.8、無色透明で僅かに卵臭がする。
すべての風呂がかけ流しで循環はしていないが、一部の風呂の温泉は加水・加温している。

大理石風呂は交代制で、チェックインから午後9時45分までは男性、午後10時から翌朝10時まで女性用となる。


美しくい硬質の大理石に加えて、色鮮やかなステンドグラスが浴室を彩る。



木造・純和風、文化庁指定の登録有形文化財の宿にこんな風呂が有るとは信じられない。
裸のままで移動できる2ヶ所の浴室全体、床・壁・そして3ヶ所の浴槽がすべて大理石なのだ。
古代ローマのカラカラ浴場がこんなだったのか、と思いを馳せてしまう豪華さだ。
今まででも大理石の風呂に入った記憶があるが、それも風呂の縁に大理石が使用されている程度だった。
石の中で最も硬質、高貴な冷たさを感じさせる大理石と、癒し・温もりの代名詞のような温泉のコラボは若干の違和感を感じさせたが、それよりも新鮮な驚きの方が大きかった。
入浴中は3つの風呂を慌ただしく巡り、撮影を続け、一息ついたところでようやく大理石の風呂に浸かりながら周囲を見渡し、、ここの風呂の記事どうまとめようか考えた。結論として、ここの風呂は「きりっと身が締まる熱さが似合い、いくらでも浸かっていられる温い湯は似合わない」「濁り湯でなくて透明な湯が似合う」、ということだった。

風 呂
別所温泉に宿泊した時は、宿で共同浴場の無料券が貰えるので(ぜんぶの宿か不明、)是非、風情ある外湯に入浴したい。
共同浴場

先付(春野菜と貝をかげん酢

前菜(穴子寿司・鶏村雨他)

椀物(蓬豆腐・タラの芽・椎茸他)

造り

揚物(地場産山菜天ぷら)

強肴(古代米うどん)

料 理
施設名 : 旅館 花屋 (宿泊日:2009.4.28))
別所温泉は、信州では有数の歴史ある温泉と言っていいだろう。その歴史がもたらす品格がここにあり、それは温泉街を散策してみると分かる。

少々の起伏がある中央の道を歩くと、左右に20軒弱の中小規模の和風旅館が点在している。その旅館は、何れもよく維持管理されていて、寂れた外観を持つところはほとんど見かけない。
旅館の合間には、唐破風の屋根を持つ風情ある外湯が点在している。

温泉街の中央、「北向観世音堂」へ続く階段の両側は、小さな土産物屋が並び、突き当りにはお堂が善光寺と向かい合って建っている。ここは、「善光寺だけでは片参り」と言われるほど、昔から厄除けの信仰が深い由緒ある寺院だ。
少し道を外れると安楽寺、常楽寺などの名刹が森の中にひっそりと佇んでいる。
まことにしっとりした風情ある温泉街だ。

長野市善光寺と向かい合うように本堂が北を向いている事から北向観音と呼ばれる。善光寺と合せてお参りするとさらにご利益があるといわれている。

上信越自動車道上田菅平ICで降り、上田市内を通過して県道を南西に進む。
塩田平を通り抜け、夫神岳(1、250m)の山麓を登り始めるとすぐに、標高650mの別所温泉に達する。

池波正太郎の「真田太平記」、その第一巻に「別所温泉」が登場する。

「佐平次どの。別所の温泉(ゆ)に行くぞ。そこで、いましばらく躰をやすめることだ。(中略)
別所に、安楽寺という禅寺がある。小助は、この寺へ佐平次を連れ込んだ。」


温泉街の一角にある安楽寺の八角三重の塔は国宝に指定されている。

その他、天台宗別格本山の常楽寺(重要文化財保有)、前山寺(重要文化財保有)、善光寺とともに厄除観音として信仰を集める北向観音他多数の寺院・文化財があり、信州の鎌倉と呼称される所以だ。
温泉名 : 別所温泉  

煮物(竹の子、長芋・魚子炊き合わせ)

鍋物(上田産餅豚と山菜鍋)

焼物(地の野菜と牛肉の陶板焼き)

上田産コシヒカリ・止め椀・香の物(これだけの漬物がついたのは初めて)

水菓子(旅館にしては綺麗なデザート)

4つある共同浴場の筆頭・大湯

別所温泉ー真田一族ゆかりの共同浴場「石湯」

所在地 : 上田市別所温泉