早朝の田沢温泉、東側だけが開け朝霧が漂っていた。
寝殿造りの共同浴場・有乳湯、気泡がつき、硫黄主臭漂う極上の湯を楽しめる。
温泉街は徒歩2,3分で通り過ぎてしまう。
施設名 : 富士屋ホテル (宿泊日:2007.11.11 日曜日 2人1室 @11,700円 税込)
青木村は長野県の東部、青木三山と呼ばれる1,200m前後の山に囲まれて、村内には千曲川に流れ込む支流が数多くある。
村のホームページでは、「いで湯と文化の里」と謳っているが、村域には「田沢」と「沓掛」の小さな2つの温泉が、山里にひっそりと湯煙を上げている。
また文化面では、「見返りの塔」という名で知られる国宝「大法寺三重塔」や修那羅(しょなら)の860体の石仏群が観光スポットして名高い。
上記の2ヶ所は予め行程に組み入れて、この日、東京の実家から中央道・長野自動車を進み、少し距離が伸びるが麻績ICから県道12号線に乗り換えて南下した
田沢温泉への途中に修那羅峠があるからだ。
東筑摩郡筑北村(旧坂井村)と青木村の境、県道の道沿いに車を停めて、約1kmの急勾配の坂道を20分ほどかけて登った。
(急傾斜の坂道でハード、これを予め知っていたらパスしただろう)
やっとたどり着いた修那羅峠(930m)には、安宮神社の裏側に伸びる山道沿いに、860体の石仏が折からの小雨に濡れひっそりと立ち並んでいた。
もう一方の大法寺は、国宝・三重塔や重文・十一面観音立像をはじめ数多くの国宝・重文文化財を有しており、翌日チェックアウトしてから車で10分ほど走って参拝した。
歴史的には、古くから「夕立と騒動は青木から」と言われているように、青木村では江戸時代から明治にかけて5回もの農民一揆が起こっており、一地域としては日本で最も一揆が多発した村だ。
今に伝わる義民太鼓はその歴史を物語っている。
住 所 |
長野県小県郡青木村田沢温泉 |
電 話 |
0268−49−3111 |
交通機関 |
JR長野新幹線上田駅から青木行きバスで30分、終点乗換えで田沢行きバス5分、終点下車。
上信越自動車道上田菅平ICから国道144号線・143号線で約17km
長野自動車道麻績ICから県道・国道143号線などで約18km
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施 設(日帰り) |
ロビー、売店 駐車場(30台) |
宿 泊 |
24室(すべて和室) BT付き;13,800円 T付きA:11,700円 T付きB:10,650円
T無し9,600円(消費税・入浴税込み 曜日関係なく一律料金、但し年末年始・GW・お盆は1000円増し)
料金は2008年5月現在、予約時は下記HPでご確認下さい。 |
泉 質 |
単純硫黄泉 (上記の通り2つの源泉) |
適応症 |
不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 |
11時〜21時 |
定休日 |
無休 |
入浴料金 |
大人 500円、 |
入浴施設 |
内湯:男女各1 露天風呂:男女各1 貸切風呂1(宿泊者のみ) |
浴室備品 |
シャンプー・ボディソープ・ドライヤー・ロッカー |
観光スポット |
大法寺(三重塔が国宝)、修那羅の石仏、アイリスの里、上田城、安楽寺八角三重塔(国宝)、無言館 |
お土産・食事 |
温泉街で土産物や食事処を見かけた記憶が無い。 |
近くの温泉 |
沓掛温泉・・別所温泉・鹿教湯温泉・戸倉上山田温泉等 |
青木村HP
富士屋ホテルHP |
http://www.vill.aoki.nagano.jp/
http://www.fujiya-h.com/ |
雑記帳 |
近くの沓掛温泉と合せ、静かな山里の小さな温泉地。肩の力が抜けてほっとする温泉地だ。宿泊料金が安く、素晴らしい共同浴場があることでも共通する。
次の機会があれば沓掛温泉に泊まってみたい。 |
データ (データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
県道12号線沿いはまだ紅葉が残っていた。
修那羅峠への急坂道を1km歩く。
大法寺の国宝・三重塔(鎌倉時代)
修那羅峠には素朴な石仏群が860体立ち並ぶ。
長野県のほぼ中央部にある青木村の西、十輪山(1285m)の南麓にある田沢温泉。
以前立ち寄った際に入浴した共同浴場・有乳湯の気泡付のやわらかな泉質と小さいが静かで気品ある温泉街の佇まいに魅かれて再訪し宿泊することにした。
長野県こほぼ中央部にある青木村の西、十輪山(1285m)の南麓にある田沢温泉。
2006年4月、戸倉上山田温泉に宿泊した翌日、大回りして田沢温泉に立ち寄った。
その際に入浴した共同浴場・有乳湯の泡付のやわらかな温泉に感激した。
加えて静かな山里、石畳の坂道の両側に旅館が5軒がひっそり佇む、鄙びたというより品格の有る静謐な温泉街に魅かれてしまい、今回ここに宿泊することにした。
田沢温泉の開湯は7世紀後半まで遡るそうだで、10世紀、源頼光の四天王・坂田金時は、母がこの湯に浸かって懐妊して生まれたという伝承がある。
以来、ここは子宝の湯として有名になり「はらみ湯」とか「有乳湯」として知られることになった。
背後の十輪山をはじめ三j方の山が温泉街を包み込み、信州の早い秋は木々を金銀綾なす錦に変えていた。
そんな優しく美しい風景の中に、石畳の坂道が狭い渓流に沿って延び、両側に3階建ての風格有る木造旅館・ますや(登録有形文化財)をはじめ低層の旅館・寝殿造りの共同浴場・有乳湯や白壁の土蔵などが建ち並ぶ。
因みに有乳湯では、加温加水無しなの掛け流し、泡が体にまとわりつく極上の単純硫黄泉を楽しむことが出来る。
徒歩数分で通り過ぎてしまう小さな温泉街だが、なんとも言えない懐かしさを感じ、心癒される温泉地だ。
左側の渓流沿いに石畳の坂道が続く。
田沢温泉のシンボル、明治初期建造、3階建ての老舗旅館・ますや(国指定登録有形文化財)。島崎藤村がここに滞在し「千曲川スケッチ」の構想を練った。
本来ならば上記の「ますや」に泊まりたかった。
しかし、木造3階建て、館内の移動に階段を上り下りしなければならないというイメージが浮かび、膝に支障を持つ家内に向いていないと判断し、向かい側、渓流を跨ぐ橋を渡った先の富士屋ホテルに予約を入れた。
ホテルの名が付くが、館内はロビー・廊下などの共用部分はシンプルな板張りでロッジ風、24の客室はすべて和室である。
どこも良く清掃・維持管理がなされており、清潔感があって気持ち良い。
部屋は8畳+広縁+トイレ(ウオシュレット)の十観の間、最近改装したのだろうか、シンプルだが真新しいキレイな和室、料金は11,700円とリーズナブル。
部屋からは目の前の庭園越しに、唯一開けた東側の山国の風景が望めた。
渓流を跨ぐ橋を渡った先に建つ富士屋ホテル。
木材をふんだんに使用したロッジ風の館内。
シンプルだがきれいな8畳和室
風呂は男女別の露天風呂と内湯それに貸切風呂が1つある。
内湯は瓢箪型のタイル張りで5、6人程度が入れる小型のもの。
注がれる温泉は掘削自噴した2種類の源泉の混合泉であるが、宿ではこれを有乳湯(うちゆ)と称している。透明な単純硫黄泉でなめらかな感触の泉質だが、共同浴場の「有乳湯」のそれと比べると鮮度が劣り感触も違う。
これは共同浴場の方は混合泉でなく一つの源泉を用いているためと思われる。
露天風呂が良い。
形の良い岩石を配した風呂は決して大きくないが、展望が開け周囲の山々が見渡せて開放感たっぷり、肌に当たる風が爽やかだ。
左の写真の岩の背後には2人が浸かれる傾斜の付いた寝湯がある。
温泉は仙人湯(やまどゆ)と呼ばれる透明な源泉で、昔からここに自噴しているものを加温の上でが流しているが、どうやら循環・放流式併用のようだ。
立ち寄り湯は11時〜21時、大人500円。
巨大な岩石を配した風呂は展望が素晴らしい。
田沢温泉に宿泊したら必ず入りたい共同浴場の有乳湯は泉質が素晴らしい。
タイル張りの湯舟から湯が流れ出ている。
露天風呂の奥にある寝湯は石板がしかれ、傾斜があるので心地よい。
夕食は別の客室(宿泊客が多い場合は自分の部屋でだろう)で、朝食は食事処で取る。宿泊料金からして当然のことながら高級食材は使われてないが、地元の食材を使った滋味豊か、素朴なものでかえって好感が持てた。
ナス田楽
鴨とキノコ4種の鍋
鯉の煮付け
定番だがしっかりした朝食
チェックアウトし次の宿泊地・新穂高温泉・槍見館(岐阜県)に向かう直前のアル。この時点では、彼の地でかなりの積雪の初雪に遭遇するとは夢にも思っていなかった。
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思いがけず銀世界の新穂高温泉、雪見の露天風呂も楽しめて充実した2泊の旅となった。