施設名 : にしやま旅館 (宿泊日:2008.6.14) (宿泊料金 平日2人1室 税込15,750円)
所在地 : 白山市中宮温泉
温泉名 : 中宮温泉 
白山市は、平成17年に松任市をはじめ周辺の2町5村が合併して誕生した。
県都金沢市の南西部に位置し、県内最大の流域を誇る一級河川の手取川が流れ、海岸部から山岳部までおよそ2700mの標高差がある。

白山は、富士山・立山とともに日本三霊山の一つであり、最高峰の御前峰(標高2702m)・剣ヶ峰(2677m)・大汝峰(2684m)の「白山三峰」を中心として、周辺の山峰の総称であり、、石川・福井・岐阜・富山の4県に跨っている。
また、別山・三ノ峰を加えて「白山五峰」ともいう。

北陸地方の中では標高の高い山であるため、他の山では残雪が消えた季節になっても、白い山として遠方からでも一目で判明できる山である。
日本ではこれより西には2000m以上の山がないため、2000mm超級の高山として最西端の山となる
白山は日本有数の高山植物の宝庫としても知られ、中でも黒ユリの群生は日本一で、石川県の県花にもなっている。

白山周辺には温泉が多く、白山山腹は勿論、加賀温泉郷・庄川温泉郷・芦原温泉郷なども白山由来の温泉と考えられている。

尾添の渓谷には、温泉が自噴し、温泉成分が凝結して出来た岩間噴泉塔が国の天然記念物に指定されている。

市域を走る白山スーパー林道は、霊峰立山の北側、尾添から中宮温泉を経て、岐阜県白川郷へ通じる全長33.3km、幅6.5mの有料道路である。

広大なブナの原生林や数多くの滝群を通り過ぎ、そして白山連峰を遠望しながらの約1時間の快適なドライブが楽しめる。
冬季は閉鎖され、毎年6月5日から11月10日頃まで開通している。普通車で片道3、150円と高額、自動二輪は通行不可である。
白山スーパー林道から見る立山連峰
林道沿いの「ふくべ大滝」は高さ86mの大きな滝。
日本有数の豪雪地帯で、6月でも雪が残る白山連峰。
岐阜県白川郷の起点
林道沿いの谷底に湧く秘湯・親谷の湯入口。帰りの坂道を考えてパスしてしまった。
中宮温泉は信仰の山・白山を中心に2000m級の山々が連なる白山国立公園内にある。

金沢方面から来ると白山スーパー林道料金ゲートの手前にあるのでそれほど実感しないが、白川郷から出発すると、最高標高1450mの地点を通過する1時間弱の運転となり、秘湯へ向かうという気分になる。

この日は前日宿泊した平瀬温泉を発ち、大白川露天風呂に立ち寄った後、五箇山の世界遺産・合掌造りを訪れてから(白川郷は前日観光)スーパー林道に乗った。

中宮温泉は、中宮料金ゲートを過ぎて間もなく左折してから3kmほど進み、やがて道が途切れる狭い渓谷沿い、標高700mの地にある。

旅館は舗装とは言い難い凹凸のある狭い坂道の僅かな土地に4軒の宿が並んでいるが、どこもかなり傷んでいて古色蒼然たる雰囲気だ(一軒の宿が廃業しているように見えた)。
僅かな駐車場を確保するため、渓谷にせり出している箇所もあった。手前が宿泊した「にしやま旅館」。
「日本秘湯を守る会」の提灯がぶら下がる。
旅籠風の帳場
熊の皮などが敷かれており、秘湯の雰囲気を漂わせている。
にしやま旅館は、冬季は休業し、4月下旬から11月の中旬までの期間のみ営業する「日本秘湯を守る会」の会員旅館である。
明治2年に開業し、現在は5代目と6代目の若夫婦が宿を経営している。

目の前を流れる渓流と背後に迫る山の間の奥行きの無い敷地に建ち、一部5階建て、客室数は17室(内T付7室)の小さな宿である。
宿泊料金は1万円前後から2万円の料金帯にある。
一歩館内に入ると旅籠風の帳場、熊などの毛皮や古民具等が置かれた囲炉端には自在鉤が吊るされている。

割り当てられた部屋に向かう途中の館内は、意外とメインテナンスが行き届き廊下もベージュとこげ茶のシックな色調だ。

案内された5階の白山501号室は、立派な床の間がついた角部屋で2方に窓がついている。
原始林の緑が鮮やかに映える窓の前には自在鉤が吊るされた囲炉裏が切られている。
意外にも立派な部屋だったので驚いた。

入口から冷蔵庫と独立した洗面所、右側がシャワー付きトイレ。
床から天井までガラス窓の向こうには原生林が広がる。広縁には囲炉裏が切られている。
落ち着いた雰囲気の和室(8畳か10畳かメモ忘れ)テレビはBS放送しか見られない。
なかなかセンスの良い色調だ。
料 理
風 呂
浴室・風呂はなんとも言えない味わいがあって美しい。
温泉が好きな人はたまらない情緒を感じるだろう。
私も感動して、思わずシャッターを押し続け、同じような写真をここに貼り付けてしまった。

浴室内はすべて木造、床の木材には細い溝が彫られている。
これは滑り止めではないかと思うが細かな細工が見事、足裏にも心地よい。
これまで500ヶ所ほどの浴室に入ったが、このような刻みは初めてだ。
その床や風呂は温泉や湯気によって美しく変色している。

乳白色のナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉は肌にやさしく纏わりつくようなやさしい感触、加水・加温無しで勢いよく注がれている。
2つの浴槽から溢れ出た湯が中の仕切りを濡らす。
右側のものは枕、背を湯に浸しながら寝転ぶ。
右側の浴槽
すべて木造、木の色と温泉の色が補色しあって美しい。
4階にある露天風呂を独占。浸かった時に溢れ出る温泉の豪快な音がたまらない。
ここに寝転ぶ
必要最低限の物しか置いてない洗い場
湯口の一つ
宿泊者は24時間入浴が可能。
日帰り入浴は、無休で10時〜15時、予約は不要。入浴料金は大人500円。

駐車は旅館の前にも数台分あるが、入出庫が難しいので、旅館街の手前100mの所にあるダートの駐車場に止めた方が良い。
湯上りコーナー
鴨 鍋
明日葉の天麩羅
夕食・朝食ともへ部屋食だが、和卓に並べられるのでなく、大きな膳の上に乗せて運ばれてくる。
料理は
海の幸は一切排除され、山と川の食材だけの素朴だが滋味に富んだ美味しい夕食だった。
清潔なドレッサー
朝食は比較的簡素、温泉粥が美味しかった。
期待していた以上に良い宿だった。
部屋・料理も思っていた以上に上等、特に24時間入れる風呂・温泉の雰囲気・質感が素晴らしかった。

料金の15,000円(平日2人1室 税別)は休前日には少し高くなるだろうが、料金に見合った満足感が得られると思う。

日本秘湯を守る会のスタンプ10個による無料招待の有力候補となった。
温泉街の一番奥にある薬師堂
薬師堂前にある足湯(前方)
白川郷から西に向かって白山スーパー林道を走ったので、より秘湯の雰囲気を味わえた中宮温泉。宿泊した「にしやま旅館」は、期待以上に上質の宿だった。
中宮温泉 にしやま旅館  (石川県)
   
最初に並べられた料理
蕎麦
滑り止めのために床板に細かい刻みが入れられている。
湯口の一つ
同じく滑り止めのため細い板を敷き詰めた万座温泉ホテル(やなぎさんのご指摘で急遽写真掲載します)
参考掲載
住 所 石川県白山市中宮温泉
電 話 076−256−7219
交通機関 北陸自動車道小松ICから県道25号線国道360号線等で約40km
東海北陸自動車道荘川ICから国道156号線・白山スーパー林道で約60km
JR北陸本線金沢駅から北陸鉄道バスで15分、野町下車、北陸鉄道石川線に乗り換えて28分、鶴木駅下車、北陸自動車道バス中宮温泉行きで1時間10分、終点下車
施 設(日帰り利用) 湯上り処 駐車場(30台) 
宿 泊 和室17室(T7)
泉 質 ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 午前10時〜午後3時
定休日 無休
入浴料金 大人500円
入浴施設 内湯・露天風呂とも男女各1
浴室備品(日帰り) シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット 白山(登山・トレッキング)・白山スーパー林道・一の瀬ビジターセンター・白山パノラマ公園・一里野高原・瀬女高原・手取峡谷
白川郷・五箇山合掌造り(世界文化遺産)・和田家(重文)・御母衣湖・荘川の里、荘川桜、・ひるがの高原・高山
お土産・食事 宿での昼食は不可
近くの温泉 白山一里野温泉、白峰温泉、河内千丈温泉、平瀬温泉
平瀬温泉しらみずの湯大白川露天風呂、五箇山温泉、くろば温泉(日帰り)
白山市HP
白山市観光HP
にしやま旅館HP
白山スーパー林道HP
http://www.city.hakusan.ishikawa.jp/index.jsp
http://www.gogo8934.jp/
http://www.chuguonsen.com/nishiyama/
http://www.hakusan-rindo.jp/index.shtml
雑記帳 やっと念願の白山スーパー林道を走ったが、幅6.5m、センターラインもある立派な2車線道路だったので驚いた。
林道というイメージから原生林の森の中を走るイメージだったが、これも大きく覆された。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)