「かんぽの宿」は全国に５２ヶ所あり、その多くが温泉を有している。
２００７年１０月の郵政民営化までは、簡易生命保険法に基づき設置された簡易保険加入者のみを対象とした宿泊施設だったが。現在は日本郵政株式会社運営する誰もが利用できる宿泊施設だ。

源泉の大和平群温泉は、東の矢田丘陵側、国道１６８号線に近い、見晴らしのよい丘陵に建設された「かんぽの宿大和平群」の敷地内にある。地下１，５００ｍまで掘削して湯脈とぶつかり、これを動力で汲み出している。

奈良県には、ここ以外に「平城宮温泉　かんぽの宿奈良」がある。こちらは平城宮跡に隣接し、世界遺産の東大寺・興福寺・春日大社などがある奈良公園に比較的近いのに対し、「大和平群」の方は、既述の通り歴史ある地区にはあるものの、周辺の有名観光スポットとしては、やや離れた法隆寺と地味な信貴山朝護孫寺位である。

しかしながら、じゃらんの口コミ評価は高く、総合で４．６（部屋４．５、風呂４．０朝食４．２夕食４．５接客サービス４．７清潔感４．６）と意外と高い。これは、宿泊が１万円を下回る料金で可能なので、コスパの良さを感じるからだろう。

平群町は奈良県の北西部に位置し、日本最古の歴史書・古事記にこの地名「平群」が登場する。

西の生駒山地・信貴山（しぎさん）と東の矢田丘陵に囲まれた小さな盆地で、古代、大和朝廷の初期に活躍したと言われる伝承上の人物、武内宿禰（たけのうちのすくね）を祖とする古代軍事豪族の平群氏が居住していた地域である。

平群神社、平群坐紀氏神社､平群石床神社などの延喜式内社が鎮座している。
また聖徳太子が建立したと伝えられ、国宝・信貴山縁起絵巻で有名な信貴山朝護孫子寺（しぎさん ちょうごそんしじ）や千光寺、長屋王墓・吉備内親王墓などの史跡も点在している。

町中を竜田川が北から南に流れてやがて大和川に合流するが、この竜田川は、百人一首や古今和歌集に収録されている在原業平の有名な和歌「ちはやぶる神代もきかず竜田川からくれなゐに水くくるとは」でお馴染みの川である。

画面では見えないが、手前右側には、桧造りの心地よい寝湯が設けられている。露天風呂は無い。

部屋数３４室、のどかな山里の雰囲気を漂わす平群の小さな盆地を望む小高い丘の上にある。しかし外観はかんぽの宿に多い、直線的で無機質な感じの佇まいだ。

国宝・信貴山縁起絵巻で知られる信貴山朝護孫子寺。但し絵巻の原本は奈良国立博物館に寄託されており、当山内の霊宝館では複製を展示。

館内フロント・ロビー周辺のシンプルな造り。

全国５０ヶ所を超えるかんぽの宿のパンフが置いてある。

外観がそっくりのかんぽの宿奈良。