一番奥にある「やよい湯」は、真新しい地元特産の釉薬瓦が葺かれている。
温泉街中心の坂下にある「さつき湯(左側手前)」
歴史ある「御前湯」は石段を登りつめた小高い所にある。
施設名 : 御前湯  (入浴日:2007.4.15)
所在地 : 江津(ごうつ)市
温泉名 : 有福(ありふく)温泉 
   有福温泉 御前湯 (島根県)  
住 所 島根県江津市有福温泉町710
電 話 0855−56−3353
交通機関 山陰道(江津道路)江津西ICから約3km
JR山陰本線江津駅から石見交通バス有福温泉経由浜田駅行きで30分、有福温泉下車すぐ
施 設(日帰り) 休憩所 駐車場(15台)
宿 泊 不可
泉 質 アルカリ性単純温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 7時〜21時30分
定休日 無休
入浴料金 大人300円 小学生100円
入浴施設 内湯:男女各1 貸切風呂
浴室備品(日帰り) シャンプー、ボデイソープ、ロッカー
観光スポット (地元)石見海浜公園・島根県立しまね海洋アクアス・ゆうひパーク浜田・島根県石央地域地場産業振興センター・しまね お魚センター
石見銀山・日御碕・出雲大社・松江城周辺
お土産・食事 温泉街で。
近くの温泉 風の国温泉・湯屋温泉・美又温泉・旭温泉・石見温泉・温泉津温泉・湯迫温泉・三瓶温泉・湯抱温泉
江津市HP
観光協会HP
http://www.city.gotsu.lg.jp/
http://www.gotsu-kanko.jp/
雑記帳 有福・温泉津とも、九州長期遠征の帰途、奈良への中継地として宿泊した。帰路とは言いがたい遠回りをしたが、2ヶ所ともそれだけの価値がある、なんとも味わい深い温泉地だった。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
江津市は、島根県西部の石見地方に位置する「川と瓦と温泉の町」だ。

江津の名称は、中国山地を山陽側(広島県)から貫いて流れる数少ない川であり、かつ、中国地方最大の河川である江の川が、この市で日本海側に注ぐことに由来する。

古くから窯業が盛んで、釉薬瓦は全国生産の25%を占める。
島根県に入ると、艶のあるオレンジ系の瓦屋根を多く見かけるが、それが釉薬瓦だ。

また万葉の歌人・柿本人麻呂が、石見にあって妻と別れる歌と死に臨んで詠んだ歌が万葉集に残っていることから、市内には歌碑が数多く立てられている。

さらに鄙びた雰囲気で、温泉好きにはよく知られる有福温泉が湯煙を上げている。
有福温泉が全国的に知名度が高まったのは、同じ石見地区にある温泉津(ゆのつ)温泉と共に、温泉教授・松田忠徳氏の「日本百名湯」に選ばれ紹介されてからだ。

教授は「共同浴場」を残す温泉地を高く評価されるので、温泉好きなら垂涎物の外湯(複数)を持つこの2つの温泉地が選ばれたのだろう。

3年前、第1回九州温泉旅行の最終日、中継地点として温泉津温泉に宿泊し、今回、2回目の帰途には有福温泉を選んだ。

有福温泉は三方を低い山に囲まれ、敬川(うやがわ)沿いの狭い斜面に宿・外湯・民家がひしめき合うように建ち並び、間を狭い道や階段がくもの巣のように廻らされている。
温泉街全体が大正・昭和初期のノスタルジックな雰囲気を漂わせており、温泉好きにはたまらない。

ここは1,300年以上の歴史を持つと言われ、代々、津和野藩主や浜田藩主が利用していた福の湯が、現在の御前湯の前身である。
飛鳥時代に発見されたという有福温泉には3つの共同浴場があり、源泉はすべて異なる。(宿泊した旅館樋口の裏口から撮影)
有福温泉は階段の温泉地だ。
御前湯は、代々津和野藩主や浜田藩主が利用していた福の湯が前身で、昭和3年に現在の名になった。

御前湯は、左右に古い旅館が建ち並び、時代を経て角がとれた石段(上の写真)を登りつめた小高い所にある。

建物は昭和初期のものだろうか、レンガとタイル造りで、アーチ型の窓を持つクラシックな様式だ。

吹き抜けの内部もまたレトロで、白壁、踊り場付きでアンティークな木造の階段が2階に続き、まるで古風な洋館お屋敷の風情だ。
入口には木造八角形のボックスがあって、そこで入浴料金(300円)を支払う。


この建物を見ただけでも、有福温泉に来た価値があった、と思った。
レトロな洋館風の内部、左が受付。
アーチ型の窓が左右に3つあり、柔らかな光線が入ってくる。
風呂は3mx2mくらい、長方形の角を切った形で、中央に石臼のような湯口があり、浴槽はタイル張りだ。
松田教授が絶賛、建物の裏側から湧くアルカリ性単純温泉がそのまま注がれ、泉温が41℃くらい、とても優しい肌触りだった。
2階の休憩室
同じ岩見地区にある有福・温泉津の両温泉とも、温泉教授・松田忠徳氏の日本百名湯で一躍注目されるようになった。

温泉津温泉は旧街道沿い、有福温泉は階段の温泉街とロケーションは違うが、時が止まったようなレトロな雰囲気、素晴らしい複数の共同浴場を持つことで共通しており、温泉好きにはたまらない温泉地だ。

近くの石見銀山が世界遺産に登録され、今後、両温泉とも賑わいを増すだろう。
温泉津温泉
第2回九州長期遠征の帰路、日本百名湯の有福温泉に宿泊(旅館樋口)、石畳の階段を登った先にある洋風レトロな共同浴場に入浴した。