戸倉国民温泉
凝った料理ではないが、宿泊料金からすれば悪くない夕食・朝食で、しかも両方とも部屋食になっている(食事処やレストランを好むが)。前回の宿泊料金が3000円ほど高かったが、夕食の質量はほぼ同じだった。
低廉な宿泊料なのに夕食のお品書きがあるのは立派だ。
料 理
山梨県・埼玉県・長野県の3県に跨る甲武信ヶ岳(2475m)を源流とする千曲川は、新潟県に入って信濃川と名前を変えて日本海に向かう。
その千曲川の中流、右岸に明治26年に開湯した戸倉温泉、左岸に同35年に開湯した上山田温泉が湯煙を上げている。
両岸で41軒の旅館・ホテルが営業しているが、現在は上山田温泉に大多数の旅館がある。
とは言え、2つの町で1つの温泉を形成するのは全国的にも珍しい。
戸倉上山田温泉は善光寺詣での精進落としの湯として、県内一の歓楽型の温泉街を形成して来て、一時は華やかなネオン街に200軒(現在でも130軒)の食事処・小料理屋・カラオケ・スナックなどが営業し、芸者の数も圧倒的に県下一だった。
高度成長からバブル期にかけての華やかな宴の後の痕跡が、いまも裏通りのそこここ残り、ある意味温泉情緒を漂わせているのは皮肉だ。
千曲市は長野県北信地域の南東部に位置し、千曲川中流部の平地とそれを囲む1000m級の低い山々から成り、人口は約64,000人である。
市のほぼ中央を北東に流れる千曲川は、その名の通り幾度も曲がりくねりながら新潟県に入り、全長367km、日本一長い信濃川と名前を変えて日本海に注ぐ。
千曲川は、万葉集の頃から詩歌に詠われている。
近代になって島崎藤村が「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」で始まる「千曲川旅情の歌」を発表したのは余りにも有名だ。
千曲市の更埴にはあんずの里があり、上平展望台に登れば一目十万本といわれている日本一のあんずの里が見渡せる。
これは松代藩で、殖産のためあんずの栽培を奨励をして今日の姿となったものだ。
住 所 | 長野県千曲市上山田温泉1−37−1 |
電 話 | 026−275−1002 |
交通機関 | 上信越自動車道坂城ICから約7km しなの鉄道戸倉駅からタクシー |
施 設 | カフェバー、売店、駐車場(100台) |
宿 泊 | 36室 (BT又はT付) 宿泊料金は1万円前後〜25,000円(露天風呂付き)位迄(詳細は下記HP参照、2011年5月現在では6000円代のプランもある) チェックイン:午後3時 チェックアウト:午前10時 |
泉 質 | 単純硫黄泉(9源泉の混合泉 泉温47.3℃ pH8.74) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 立ち寄り入浴不可 宿泊者は24時間 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | ー |
入浴施設 | 男女別内湯、男女別露天風呂、貸切風呂4(有料予約制 45分2100円) |
浴室備品 | 宿泊者:タオル・バスタオル・カミソリ・シャンプー・ボデイソープ他 |
観光スポット | あんずの里、名月の里(田毎の月)、善光寺 |
お土産・食事 | 温泉街及び周辺 この地は更級蕎麦発祥の地。 |
近くの温泉 | 田沢温泉・仙仁温泉・別所温泉・鹿教湯温泉等 |
千曲市HP 観光協会HP 亀屋本店泉HP |
http://www.city.chikuma.nagano.jp/app/index.html http://www.chikumashi-koshoku.jp/ http://www.kameya-ho.co.jp/ |
雑記帳 | 信州随一の歓楽街的大温泉地というのが、戸倉上山田温泉の枕詞だが、旅館で貰ったパンフレットの裏に記載の食事処・スナックなどの数の多さには驚いた。それでも一時よりは大幅に減ったようだ。 |
総檜のしっとりした一級品の「乙姫の湯(深夜まで女性用)」宿のHPでは「乙女の湯」となっていたので先ほどその旨を電話で連絡してあげた。
千曲川を挟んで戸倉側から見る上山田温泉。旅館街の真ん中に泊まると分からないが、温泉街の後には千曲川が流れ自然豊かだ。朝夕の散歩をお薦めする。
万葉超音波温泉
戸倉観世温泉
風呂は充実している。アプローチが無く直接道路に面し、まるで年期の行ったオフィスビルのような外観の宿だが、口コミの評判は良好、特に風呂は4.7と高評価だ(じゃらん)。
男女別の内湯と露天風呂は深夜に男女が変わるが、特に総檜造りの乙姫の湯が、しっとりした風情があり素晴らしい。、この名が示す通り、この風呂は深夜(25時=午前1時)まで女性用で、男性は実質的に朝風呂の利用となる。
これ以外に、有料(45分2100円)だが4ヶ所の貸切風呂(宿のHP参照)がある。
宿泊料金からするとちょっと高い設定の様に思えるが、広さが十分で趣きがある設計になっており、またこれを無料で一ヶ所使えるプランもあるのでお得だ(2回ともこのプランで予約)。
残念ながら日帰り入浴は受け付けていない。しかし、戸倉上山田温泉での日帰り入浴の場合は、共同浴場等が充実しているので、旅館よりむしろそちらの湯巡りの方が楽しいだろう。
温泉は9本の源泉の混合泉で、泉質は単純硫黄泉、僅かに硫黄臭がするまろやかな温泉だ。
風 呂
とても広い脱衣場
湯上り処には館名に相応しい浦島太郎のモザイク。
戸倉側から見る千曲川
温泉好きが高く評価する共同浴場群(写真をクリック)
● 一回目の夕食(2006年4月)・・・これ以外に食前酒・デザート・ご飯・味噌汁・香の物
土地柄眺望は無いが、床も浴槽も檜の露天風呂。
6時からの朝風呂で利用した貸切展望風呂
貸切風呂は予約制。フロントでこのカードを渡される。
朝食は宿泊料1万円では申し訳ない充実ぶりだった。
小鉢(林檎おろし和え)
前菜(栗・絹かつぎ・長芋胡麻和え他)
台の物(長野県農協直販信州牛)
造り(信州サーモン昆布〆・えび・蛸)
揚げ物(わかさぎ天麩羅・蓮根・長茄子等)
煮物(海老芋柚子餡かけ)
酢の物(かに砧巻き)
温物(茶碗蒸し・信州産ハーブ鶏・椎茸他))
凌ぎ(蕎麦白玉)
中央通りに面した亀屋本店。駐車場は少し離れた所にあるが、今回も愛犬同伴のために、正面の車寄せスペースを確保してもらった。
現在、戸倉上山田温泉には60ヶ所ほどの源泉が掘削されているが、地下の湯脈がよほど豊富なのだろうか、源泉掛け流しの宿が多いのが特徴だ。
代表的な泉質は単純硫黄泉、pHが7前後の中性が多いので刺激が少なく肌に優しい温泉だ。
嬉しいことに、ここには個性が異なる7つの外湯があって、中には温泉好きに高い評価を受けている掛け流しの共同浴場が幾つかある。
「湯元かめ乃湯」「万葉超音波温泉」「戸倉観世温泉」「戸倉国民温泉」「つるの湯」「戸倉メリーランド白鳥園」「瑞祥」の7ヶ所で、思わず笑みを浮かべてしまうようなユニークな施設名もある。
今回、ここで2回目の宿泊を決めたのは、コストパフォーマンスが良い「亀屋本店」に再泊して記事を更新すること、それに共同浴場の幾つかに入浴するためだった(左のかめ乃湯が至近)。
昭和39年築、、ロビーの天井が低く若干の圧迫感がある。
カフェ&バー
夜の亀屋本店、昼間と風景が変わる。かっては信州随一の歓楽的温泉だった。
2回目宿泊の部屋は10畳和室に掘り炬燵が設けられた4.5畳に風呂・トイレ・洗面所が付いて11、550円(平日2人1室・・・じゃらんポイントを利用したので実質10,400円)。
この値段で45分2100円の貸切風呂を無料で利用できるプランで、加えて、部屋の広さ・設備やかけ流しの風呂や食事の質量からすると随分と割安だ。
5年前のほぼ同じ部屋が14,850円だったが、これはあんずの開花時期だったためだろうか。
洗い場のカラン数は団体客が一斉に入ってこなければ十分。
● 二回目の夕食(2010年11月)・・・これ以外に食前酒・デザート・御飯・味噌汁・香の物
焼物(秋鮭ケンチン焼) | ||||
ホテル亀屋本店は明治34年(1901年)の開業、上山田温泉きっての老舗宿で、温泉街の中央、交通量の多い中央通りに面している。
外観は素っ気ないオフィスビルの様なシンプルな造りで、部屋は36室(BT26室T10室)、トイレはすべての客室がシャワー付きだ。
宿泊料金は、年度・時期・曜日・客数・企画等によって変化するので、最新・詳細情報は宿のHPを参照頂くが、2食付きで1万円以下から15,000円程度までが中心だ(露天風呂付き客室を除く)。
最近、館内の一部にリフォームがあったようで、その為か、ロビーをはじめとする館内はどこも古びた外観よりは新しく見える。
第1回目の宿泊の際、ここに亀屋本店に予約を入れたのは、宿泊料金が手ごろなのと、風呂が源泉掛け流しだったからだ。
手前は半身浴・寝湯用の浴槽。
浴槽内と周辺はすべて檜、温もりある質感が素晴らしい。
総御影石造りの品格のある細長い大きな浴槽。
内湯のやや冷たい雰囲気は、こちらの庭園露天風呂で補える。
2回目の部屋は411号室、10畳と彫り炬燵のある4.5畳(右の写真)。窓からの風景は「花町通り」の看板が見える飲み屋街のゴチャゴチャした家並み、周囲に緑は無いが、朝晩に裏を流れる千曲川河畔を散策するのがお薦めだ。
改定版
戸倉上山田温泉 ホテル亀屋本店 (長野県)