戸倉上山田温泉 万葉超音波温泉(長野県)

温泉通が唸る戸倉上山田温泉の共同浴場群、戸倉観世温泉に入浴後、硫黄臭が漂い、豪快に湯が溢れ出る万葉超音波温泉に立ち寄った。

所在地 : 千曲市戸倉 

千曲市は長野県北信地域の南東部に位置し、千曲川中流部の平地とそれを囲む1000m級の低い山々から成り、人口は約64,000人である。
市のほぼ中央を北東に流れる千曲川は、その名の通り幾度も曲がりくねりながら新潟県に入り、全長367km、日本一長い信濃川と名前を変えて日本海に注ぐ。

千曲川は、万葉集の頃から詩歌に詠われ、近代になって島崎藤村が「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」で始まる「千曲川旅情の歌」を発表したのは余りにも有名だ。

千曲川西岸、棄老民話で知られる姥捨周辺には2000余りの棚田があり、月夜にはその田ごとに月が写ることから「田毎の月」と呼ばれ、松尾芭蕉や小林一茶の俳人が訪れた。

また千曲市の一部はかって更級と呼ばれ、昔から蕎麦の産地と知られ、小林一茶は「信濃では月と仏とおらがそば」と詠った。
「月は田毎の月」「仏は善光寺」「そばは更級のそば」と、僅か17文字にこの地方の代表的な名所・名物を織り込んでいる。

右側は40℃くらいでやや温め、浅いので半身浴・寝湯として使える。左側はこれまで見た中で最強のジャグジー風呂で適温、温泉がじゃあじゃあと溢れ出ていた。

住 所 長野県千曲市磯部1125
電 話 026-275-2228
交通機関 上信越自動車道坂城ICから約6km
しなの鉄道戸倉駅からタクシーで5分
施 設 休憩所、駐車場(70台)
宿 泊 不可
泉 質 単純硫黄泉(源泉温度47.2℃ pH8.6)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 午前4時~午後11時(入館は午後10時30分迄)
定休日 毎月第2第4月曜日(祝日の場合は翌日)
入浴料金 大人 300円 小学生120円 幼児(3歳~)70円
入浴施設 男女別内湯
浴室備品 シャンプー・ボディソープ・などは無し、ドライヤー有料
観光スポット あんずの里、姨捨(田毎の月・長楽寺)、さらしなの里展望館、真田邸・真田宝物館・文武学校、池田万寿夫美術館、美ヶ原、霧ヶ峰、東山魁夷館・信濃美術館、善光寺
お土産・食事 温泉街で。
近くの温泉 松代温泉・田沢温泉沓掛温泉・仙仁温泉・別所温泉霊泉寺温泉鹿教湯温泉
千曲市HP
観光協会HP
超音波温泉HP
http://www.city.chikuma.nagano.jp/app/index.html
http://chikuma-kanko.com/
http://www.manyoonsen.com/

一番奥の小さめの風呂は、溶岩から温泉が流れ出る様な設計。源泉温度のままの熱湯で46℃くらいか。

民家風の外観で屋根の看板が目印。コインランドリーと沖縄料理の店が繋がっていた。駐車場は広くて70台分ほどある。すぐそばに足湯があった。

現在、戸倉上山田温泉には60ヶ所ほどの源泉が掘削されているが、地下の湯脈がよほど豊富なのだろうか、源泉掛け流しの宿が多いのが特徴だ。
代表的な泉質は単純硫黄泉、pHが7前後の中性が多いので刺激が少なく肌に優しい温泉だ。

嬉しいことに、ここには個性が異なる7つの外湯があって、中には温泉好きに高い評価を受けている掛け流しの共同浴場が幾つかある。
「湯元かめ乃湯」「万葉超音波温泉」「戸倉観世温泉」「戸倉国民温泉」「つるの湯」「戸倉メリーランド白鳥園」「瑞祥」の7ヶ所で、思わず笑みを浮かべてしまうようなユニークな施設名もある。


今回、ここで2回目の宿泊を決めたのは、コストパフォーマンスが良い「ホテル亀屋本店」に再泊して記事を更新すること、それに上記の外湯の幾つかに入浴するためだった。
温泉名 : 戸倉上山田温泉

無料の休憩所

中央は番台、おばさんが座っていた。自動販売機で300円で買ったチケットを渡す。

間違いなく朝4時から営業。定休日は第2・4月曜日(祝日の場合は翌日)

データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

タイル張りの浴室・浴槽。3つの浴槽の温度は全て異なる配慮がなされていて嬉しい。手前から奥に行くに従って熱くなる。
万葉はともかく超音波温泉と言う珍奇な名称の由来についてはここのHPを参照下さい(いくら読んでも分からないので)。

戸倉上山田温泉には7つの外湯があるが、特に戸倉温泉側にある「戸倉観世温泉」「戸倉国民温泉」「万葉超音波温泉」は温泉好きにはよく知られた共同浴場である。
何れも湯量豊富でもちろん掛け流し、新鮮な温泉を存分に味わえる。

万葉超音波温泉で先ず特筆すべきは、なんと朝4時から営業することだ。
すぐ近くにある戸倉観世温泉が5時からで驚いたが、ここは更に1時間早く、しかも開始早々にかなりの入浴者がいるということだ。

源泉は47.2℃、pH8.6の単純硫黄泉で、ここだけで使用されており、他所には配湯されていない。。無色透明で弱い硫化水素臭、口に含むとゆで卵の黄身味、若干の苦味、ソフトなすべすべ感がある・

施設名 : 万葉超音波温泉(まんようちょうおんぱ)温泉 (入浴日:2010.11.18)

千曲市の山の斜面に広がる「あんずの里」。(1回目の宿泊の際に撮影)

広くて明るいタイル張りの浴室には3つの浴槽がある。シャンプー類は置いてない。カランから出てくる湯も温泉だ。

戸倉温泉と上山田温泉を分ける千曲川。

山梨県・埼玉県・長野県の3県に跨る甲武信ヶ岳(2475m)を源流とする千曲川の中流、右岸に明治26年に開湯した戸倉温泉、左岸に同35年に開湯した上山田温泉が湯煙を上げている。

両岸で41軒の旅館・ホテルが営業しているが、現在は上山田温泉に大多数の旅館がある。
とは言え、2つの町で1つの温泉を形成するのは全国的にも珍しい。
戸倉上山田温泉は善光寺詣での精進落としの湯として、県内一の歓楽型の温泉街を形成してきて、一時は華やかなネオン街に200軒(現在でも130軒)の食事処・小料理屋・カラオケ・スナックなどが営業し、芸者の数も圧倒的に県下一だった。

高度成長からバブル期にかけての華やかな宴の後の痕跡が、いまは人通りの少ない裏通りのそこここ残り、ある意味温泉情緒を漂わせているのは皮肉だ。

戸倉上山田温泉の上山田温泉側の温泉街。