戸倉上山田温泉 戸倉観世温泉(長野県)

温泉通がこぞって推薦する透明な緑色の温泉、戸倉上山田温泉の戸倉側にある共同浴場の一つ、戸倉観世温泉に立ち寄った。

上記の7ヶ所の外湯で、入浴した共同浴場は戸倉国民温泉だけ、今回は少なくとも3ヶ所に立ち寄りたかった。その第一候補が千曲川の右岸、戸倉温泉側にある戸倉観世温泉だった。

その第一理由は、共同浴場の鏡ともい言うべき早朝5時からの営業。

地元密着の共同浴場は営業開始時間が概して早いが、それにしてもこれまでに6時はあっても、5時オープンは初めてだった。
これには地元の方々の維持管理のご苦労が偲ばれて、とても感動した。
第二は相互リンクさせて頂いてる温泉サイトの管理者の方々の評価がとても高かったから(下記3人の方の記事参照ください)。


実際の戸倉観世温泉は、半分住宅街の中にあって、見かけは以外にモダンで洋風だった。

山梨県・埼玉県・長野県の3県に跨る甲武信ヶ岳(2475m)を源流とする千曲川の中流、右岸に明治26年に開湯した戸倉温泉、左岸に同35年に開湯した上山田温泉が湯煙を上げている。

両岸で41軒の旅館・ホテルが営業しているが、現在は上山田温泉に大多数の旅館がある。
とは言え、2つの町で1つの温泉を形成するのは全国的にも珍しい。
戸倉上山田温泉は善光寺詣での精進落としの湯として、県内一の歓楽型の温泉街を形成してきて、一時は華やかなネオン街に200軒(現在でも130軒)の食事処・小料理屋・カラオケ・スナックなどが営業し、芸者の数も圧倒的に県下一だった。

高度成長からバブル期にかけての華やかな宴の後の痕跡が、いまは人通りの少ない裏通りのそこここ残り、ある意味温泉情緒を漂わせているのは皮肉だ。

千曲市の山の斜面に広がる日本一の「あんずの里」。展望台に立てば一目10万本が見渡せる。年間20万人が訪れる。第1回目の戸倉上山田温泉宿泊のとき、ちょうどあんずが満開という幸運に恵まれた。

千曲市は長野県北信地域の南東部に位置し、千曲川中流部の平地とそれを囲む1000m級の低い山々から成り、人口は約64,000人である。
市のほぼ中央を北東に流れる千曲川は、その名の通り幾度も曲がりくねりながら新潟県に入り、全長367km、日本一長い信濃川と名前を変えて日本海に注ぐ。

千曲川は、万葉集の頃から詩歌に詠われ、近代になって島崎藤村が「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」で始まる「千曲川旅情の歌」を発表したのは余りにも有名だ。

千曲川西岸、棄老民話で知られる姥捨周辺には2000余りの棚田があり、月夜にはその田ごとに月が写ることから「田毎の月」と呼ばれ、松尾芭蕉や小林一茶の俳人が訪れた。

また千曲市の一部はかって更級と呼ばれ、昔から蕎麦の産地と知られ、小林一茶は「信濃では月と仏とおらがそば」と詠った。
「月は田毎の月」「仏は善光寺」「そばは更級のそば」と、僅か17文字にこの地方の代表的な名所・名物を織り込んでいる。

千曲市周辺で蕎麦を食べるなら、「おしぼり蕎麦」が冬の名物だ。ねずみ大根など辛味の強い地大根の絞り汁をつけ汁に使ったもので、つーんと来る辛さを楽しむ粋な食べ物だ。

泉質こそ異なるものの、珍しい透明なグリーン、皮膚に残るしっとりした感触は共通していた。

この主浴槽の奥に3~4人程度の規模、檜だろうか底まで木造の風情ある風呂が別にある。

こちらに注がれる温泉は、同じ単純硫黄泉だが、異なった源泉を使用ている。
源泉温度が41℃なので、主浴槽よりかなり温め、温い湯が好きな私には嬉しい浴槽だった。

二つの浴槽とも、温泉が加水・加温無しの完全掛け流しで注がれているのだから文句の付けようがない。


営業時間は午前5時~午後10時まで、定休日は毎月第1第3月曜日、入浴料金は大人300円。

外観に反して、館内はローカルな共同浴場の雰囲気そのもの。脱衣所に入ると、本物の番台があって、そこに座っているおばさんに自動販売機で300円投入して買ったチケットを渡した。

浴室は想像していた以上に広くて白いタイル張り、凹凸のある変形の浴槽は一度に15人位入れるだろうか。

周囲にカランが数多くあるが、もちろんシャンプー類は置いて無くて、桶と腰掛けだけ。みんな洗面用具を持参して体を洗っている。
ドライヤーはあるが有料だ。

満々と張られた温泉は、少量の硫化水素を含む単純硫黄泉で、玉子臭があり、口に含むとえぐみ味。
その上、ため息が出るほど美しい透明な緑色だった。
この温泉を見た瞬間、半年前に青森県で入浴した新屋温泉を思い出した。

施設名 : 戸倉観世(とくらかんぜ)温泉 (入浴日:2010.11.18)

現在、戸倉上山田温泉には60ヶ所ほどの源泉が掘削されているが、地下の湯脈がよほど豊富なのだろうか、源泉掛け流しの宿が多いのが特徴だ。
代表的な泉質は単純硫黄泉、pHが7前後の中性が多いので刺激が少なく肌に優しい温泉だ。

嬉しいことに、ここには個性が異なる7つの外湯があって、中には温泉好きに高い評価を受けている掛け流しの共同浴場が幾つかある。
「湯元かめ乃湯」「万葉超音波温泉」「戸倉観世温泉」「戸倉国民温泉」「つるの湯」「戸倉メリーランド白鳥園」「瑞祥」の7ヶ所で、思わず笑みを浮かべてしまうようなユニークな施設名もある。


今回、ここで2回目の宿泊を決めたのは、コストパフォーマンスが良い「ホテル亀屋本店」に再泊して記事を更新すること、それに上記の外湯の幾つかに入浴するためだった。

背後になだらかな丘陵、前に大河の千曲川。

上山田温泉側に大小多数の宿が建ち並ぶ。

所在地 : 千曲市戸倉 
温泉名 : 戸倉上山田温泉

風呂の縁から流れ出た湯が床を濡らす。

縁・底とも全て檜、温いのがたまらない。

平日の日中でも多数の入浴客

透明度がこんなに高い

しおりさん

まぐぞーさん

せっとんさん

相互リンクしている温泉HPの管理者の方々も高い評価をされています。

戸倉上山田温泉近くの千曲川

周囲の風景

施設名のイメージとは異なる洋風の外観

昔ながらの番台

透明なグリーンの温泉は全国的に見ても珍しい。

住 所 長野県千曲市戸倉2087
電 話 026-275-0350
交通機関 上信越自動車道坂城ICから約7km
しなの鉄道戸倉駅から徒歩12~3分
施 設 駐車場(100台)
宿 泊 不可
泉 質 源泉2本で両方とも単純硫黄泉(2号泉 46.8℃ pH8.75)(3号泉 41℃ pH8.77)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 午前5時~午後10時
定休日 毎月第一第三月曜日
入浴料金 大人 300円 中学生250円 小学生120円 6歳~3歳70円
入浴施設 男女別内湯
浴室備品 シャンプー・ボディソープ・などは無し、ドライヤー有料
観光スポット あんずの里、姨捨(田毎の月・長楽寺)、さらしなの里展望館、真田邸・真田宝物館・文武学校、池田万寿夫美術館、美ヶ原、霧ヶ峰、東山魁夷館・信濃美術館、善光寺
お土産・食事 温泉街で。
近くの温泉 松代温泉・田沢温泉沓掛温泉・仙仁温泉・別所温泉霊泉寺温泉鹿教湯温泉
千曲市HP
観光協会HP
http://www.city.chikuma.nagano.jp/app/index.html
http://chikuma-kanko.com/
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)