川原湯温泉 聖天様露天風呂 (群馬県)

   

ここ何十年、「いずれ湖底に沈む温泉」と紹介されてきた川原湯温泉。政権交代により与党となった民主党のマニフェストに則って、八ッ場ダムが建設中止となり、湖底に沈まない可能性が出てきた。今渦中にあるその川原湯温泉にある3つの共同浴場の一つ、聖天様露天風呂で入浴してきた。

川原湯温泉には、源頼朝ゆかりで湯屋に源氏の家紋である笹竜胆(ささりんどう)が掲げられる「王湯」、昔ながらの風情がある素朴な「笹湯」と無人の露天風呂「聖天様露天風呂」、ぜんぶで3ヶ所の共同浴場がある。聖天とは歓喜天のことであり、子孫繁栄の信仰がある。

露天風呂へは温泉街の手前左手に目立たない入口があるが、車だとよほどゆっくりと進み、注意深く左手を見てないと通り過ぎてしまう。
入口から狭い坂道を30mほど登った先に湯小屋があり、下駄箱の脇にある箱に100円を投入する。

簡単な脱衣場の目の前に4畳半ほどの石造りの端正な浴槽がある。
左前方に湯口があり、湯煙をあげて温泉が勢いよく湯船に流されている。硫黄の臭いが周辺に漂っていおり、一目見て風呂の温度が高いことが窺い知れる。
無人の風呂では、服を脱ぐ前に湯温を測れ、が原則だ。

それを承知していない人のために。脱衣場に「ここは源泉掛け流しです。源泉は80度位あります。湯加減を確かめてからお入りください。」の注意書きが貼ってある。
手をわずかに湯につけたところ、半端でない熱さで思わず手を引っ込める。
共同浴場で安易な加水はマナー違反だが、これではどんな熱湯好きでも浸かれない。
加水すべく、風呂に落ち込んでいたホースを引き上げたら高温のため白く変色していた。
浴槽全面に
水を散布すること10分、ようやく44℃くらいになったので、先ずは私が入浴、続いて仲間の2人が入浴した。
一人ならば「ネコ肌」の身、こんな高温だったら文句なく入浴をあきらめるが、仲間2人を連れてきているので、やせ我慢をして先陣を切ったわけだ。
泉質は、カルシウム・ナトリウム―塩化物・硫酸塩温泉だが、明確な硫化水素臭がして、硫黄成分が含有されているのが分かる。

施設名 : 聖天様露天風呂(混浴)(入浴日:2009年10月21日)
所在地 : 吾妻郡長野原町 

長野原町は群馬県の西部に位置し、東は吾妻町、西は嬬恋村、北は草津町、六合村、 南は長野県軽井沢町に接している。
町域の北軽井沢の一部は上信越国立公園に含まれている。

町の80%近くが山林原野、標高は510mから浅間高原地帯の1350mまで、8月の平均気温が20度くらいの地域もある。
町の北部を東西に吾妻川が流れ、平行してJR吾妻線と国道 144、145号が走っている。

町域には、九州の耶馬溪を凌ぐと言われる吾妻渓谷があり、その断崖の上、渓流を見下ろす斜面にへばりつくようにして、素朴な川原湯温泉の旅館が建ち並んでいる。


いまこの町は、政権交代した民主党による公共事業の見直しの一環として、町域で進行中だった八ッ場ダム建設の中止が取り上げられ、全国的な話題となって大きく報道されている。

吾妻渓谷に沿って走る国道145号線沿いから、テレビ・新聞の報道で有名になった建設中の高架が目の前に見られ、多くの車が停車して撮影、すっかり観光名所と化していた。

住  所 群馬県吾妻郡長野原町川原湯
電  話 0279-83-2591(温泉組合)
交通機関 関越自動車道ICから国道17・353・145号線で約37km
JR吾妻線川原湯温泉駅から徒歩10分
施  設 すぐ後ろにトイレ有り 駐車場の所在地はここをクリック
私たちは大湯の駐車場に止めて200mほど下った。
宿  泊 不可
入浴時間 朝7時~19時まで。4月~11月の期間は20時まで入浴出来る。
定休日 不定休
泉 質 カルシウム・ナトリウム―塩化物・硫酸塩温泉
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴料金 100円を箱に投入
入浴施設 混浴露天風呂1
浴室備品 シャンプー等無し
観光スポット 吾妻渓谷、草津温泉、白根山(湯釜)、榛名山・榛名湖・志賀高原
お土産・食事 近所に食事処・土産物屋あり
近くの温泉 草津温泉沢渡温泉・薬師温泉・鳩ノ湯温泉・川中温泉・温川温泉・松の湯温泉・湯宿温泉・伊香保温泉・万座温泉四万温泉
長野原町HP
川原湯温泉観光協会
http://www.town.naganohara.gunma.jp/
http://www.kawarayu.jp/

雑記帳 昔はpH2前後の強酸性の草津温泉で湯治を行い、最後にやわらかな泉質の温泉に入浴して上がり湯とした。草津の周囲には、そんな温泉が車で30分足らずの所に点在している。沢渡温泉、尻焼温泉そして川原湯温泉などがそれである。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

当初計画通りなら2010年、八ツ場ダムの完成とともにダム湖に水没する予定だった川原湯温泉だが、これが沈まない可能性も出てきた。

渋川方面から吾妻川に沿って国道145号線で西に向かい、道標に沿って左折、1kmほど狭い道を進むと、勾配のある坂道沿いに10軒ほどの旅館、3軒の共同浴場とわずかな食事・土産処が寄り添う川原湯温泉に達する。

北側の吾妻渓谷を見下ろす断崖上にあり、平地が少ないため旅館はみな小さい。鹿やムササビが姿を現すというが、それも当然、と感じられる自然に囲まれている。
温泉街の坂道を上がった先には、温泉神社があり、近くに新たに得た源泉がある。
小さな温泉地だが、「王湯」「笹湯」と「聖天様露天風呂」の3つの共同浴場がある贅沢さだ。

入口から30mほど進む。右手にはトイレがある。

「吾八寿司」の横の小道を登っていく。入浴時間は朝7時~19時まで。4月~11月の期間は20時まで入浴出来る。

浴槽とスルーの簡素な脱衣場。男女別にはなっていない。

かなりの勢いで手が触れられない高温泉が注がれていた。

共同浴場での安易な加水は禁じ手だが、手がつけられない熱さなので止むを得ない。

4畳半足らずの石造りの風呂。展望は利かないが森林浴をしながらの入浴が爽快だ。

八ッ場ダム建設か中止かのシンボルとなった工事中の高架橋


吾妻渓谷の断崖上にある。

温泉名 : 川原湯温泉