大沢温泉 大沢温泉ホテル依田之庄 (静岡県)
西伊豆の松崎町、戦国時代の武田信玄・勝頼に仕え、武田滅亡後にこの地に移り住んだという依田家がかっての自宅母屋や蔵(国の登録有形文化財)を利用して造り上げた大人の隠れ家的な宿。
温泉湧出が豊かなため、大きな内湯や露天風呂は全て源泉掛け流し、部屋付きのバスまで温泉が使用されている。
檜板のスノコが敷かれた洗い場。
湯上がり処
温泉の泉質は単純温泉で特色が無いが、豊富な湯量を活かして大きな内湯・露天風呂は循環なしの源泉掛け流し、その上、部屋備え付けの風呂に至るまで温泉が利用されている。
内湯・露天風呂とも文句なく素晴らしい。
午後いっぱいが男性用の「庄屋の湯」の内湯はとても広く、壁を少なくしてガラス張り、その上高い天井の上のの明り取りから光線が燦々と注がれ、観葉植物が生い茂っている。
まるで植物園の観覧温室のような雰囲気だ。
浴室には20人位が一度に入れる檜造りの浴槽が2つあり、底にはカラフルな石が敷かれてとても美しい。
さらに見事なのは、二つの浴槽を繋ぐ床一面にも檜の板が敷かれ、なんとも温もりのある景色を作りだしている。
源泉温度が41度なので、冬季のみ加温されている。泊まったのが正月明け、次回は加温なしの季節に泊まって温湯を楽しみたいと思った。
部屋は全部で25室、その内の3室は江戸時代の建築である。
かっての当主が住んでいた棟を離れとしたり、赤漆・黒漆が塗られた贅を尽くし部屋などで、これらも登録有形文化財に指定されている
(詳しくは宿のHP参照)。
一般棟は「竹取の棟」「山荘の棟」「絹屋の棟」と3ヶ所に分かれており、和室と和洋室がほぼ半々の構成になっている(BT)。
宿泊料金は2人1室1人18,000円〜35,000円の範囲、離れは別としてだいたい2万円前後である。
(私たちが宿泊したのは竹取りの棟で、19,000円)
館内全体は300年の歴史を感じさせる重厚な雰囲気、その中にもモダンな感覚を巧みに取り込み、従業員の接遇も丁重ながら控えめで、落ち着いた大人の宿の雰囲気が漂う。
河口にある松崎町の中心から那賀川を2kmほど遡った先に桜田温泉があり、一軒宿の山芳園は湯量豊富で風呂はかけ流しだ。
そこからさらに3km遡った里山に、旅館1軒・民宿2軒に日帰り施設が1軒だけの大沢温泉がある。
江戸時代から湯治場としてひっそりと利用されてきた大沢温泉だが、近年まで大沢荘と大沢温泉ホテルの2軒の宿があった。
その大沢荘が廃業し、現在、建物は取り壊され更地になっているが、そこが所有していた露天風呂が自炊可能な民宿として日帰り入浴も受け付けている。
他に近くの道の駅「花の三聖苑」内に日帰り温泉施設「かじかの湯」がある。
この一帯の那賀川両岸は、6kmに渡り1200本のソメイヨシノの桜並木が続き、春には花見客で賑わう。
食 事
茶うけは繭の形をした最中。明治時代、製糸業を振興した依田家の歴史に因む。
夜は餅つきが行われ、搗きたての餅が振舞われる。また当宿の歴史についても説明が行われる(参加自由)。
松崎町は伊豆半島南西部に位置し、町域は駿河湾を望む海沿いから東の山側へと延びる。
町では「自然豊かな花とロマンの里」と謳っている。
その自然では、海岸線が西を向いていることもあって「富士山と夕日」や「石部棚田」などをPRしているが、これに夏の海水浴、通年のフィッシング、松崎・雲見等の漁港から水揚げされる近海物の海の幸などが加わる。
さらに松崎町には小さいながらも数多くの温泉があり、町域の温泉を纏めて松崎温泉郷と称している。
海沿いにあって旅館が6軒ある松崎温泉、無料の海辺の露天風呂がある雲見温泉の他に、河口から那賀川を遡った先にあって何れも湯量豊富な一軒宿を持つ桜田温泉や大沢温泉等がそれだ。
また、松崎町はかっては製糸産業で栄えた町で、過去に数多くの左官名工も輩出していて、重要文化財の岩科学校やレトロななまこ壁の建物等が多く残っている。
住 所 | 静岡県賀茂郡松崎町大沢153 |
電 話 | 0558−43−0121 |
交通機関 | 東名高速道路沼津ICから国道1号・136号線などで約84km 伊豆急行蓮台寺駅から南伊豆東海バス松崎・堂ヶ島行きで40分、大沢温泉口下車 送迎シャトルバスが、蓮台寺駅(下田駅より1つ手前)から16時に出ている。(要予約) |
宿 泊 | 25室 (和室15 和洋室10 1室を除き全てBT) 2人1室1人18,000円〜35,000円(2009年9月現在・・条件によって料金が変わり、また随時変更されるので予約の際は必ず宿のHPを参照ください) |
泉 質 | 単純温泉 (源泉温度41.3℃) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 (立ち入り) |
日帰り入浴は受け付けていない。 |
定休日 | ― |
入浴料金 | ー |
入浴施設 | 内湯2 露天風呂2(以上は男女交代) 貸切風呂1 |
観光スポット | 道の駅「花の三聖苑」、那賀川桜並木、松崎散策(なまこ壁通り・伊豆の長八美術館・岩科学校(重文)・カサエストレリータ・時計台・漁港)、 堂ヶ島(遊覧船洞窟巡り・らんの里・加山雄三ミュージアム)・下田・石廊崎・河津桜 |
お土産・食事 | 大沢温泉周辺には無し。松崎温泉周辺で可能。 |
近くの温泉 | 松崎・雲見・堂ヶ島・桜田・観音・蓮台寺・河内・下加茂・河津温泉郷等 |
松崎町HP 観光協会HP 旅館組合HP 大沢温泉HHP |
http://www.town.matsuzaki.shizuoka.jp/ http://izumatsuzakinet.com/ http://www.izumatsu-ryokan.com/ http://www.osawaonsen.co.jp/ |
雑記帳 | 西伊豆の小さな町である松崎町だが、今回、大沢温泉に泊まったことで、以前の「松崎温泉豊崎ホテル」と合わせ2ヶ所の温泉(宿)で宿泊したことになる。 もう一か所の掛け流し温泉宿、桜田温泉山芳園にも出来るだけ早く宿泊しようと思っている。 |
日帰り入浴は受け付けていない。
この他に無料の貸切風呂が1ヶ所あるが、利用しなかった。
上記のとおり、男性にハンディがある風呂の時間割だ。
朝は「満天の湯」に入浴、残りの「化粧の湯」での入浴を忘れて、今この原稿を作成中にこれに気がついた!
朝食も質実剛健
名物の「桶寿司」
天井に大きなガラスの明り取り。
屋上に設けられた「満天の湯」、男性は朝風呂となる。
見事な総檜の浴室「庄屋の湯」は深夜で女性用に変わる。こちらには露天風呂が無い。
正月明け、冷涼な大気の中、伊豆の山々を見ながらの入浴は爽快そのものだった。奥の風呂は蓋がしてあった。
夕食・朝食とも部屋食。
夕食は「見た目もきれいで洗練された」の対極を行く武骨で重厚な料理、味付けもしっかりしている。肉料理が無く品数も少ないのに満腹になった。
この宿の名物であり、かって仲秋の名月に一族郎党が集まり往時をしのんだと言われるゆかりのある桶寿司も供されたが、色どりも綺麗で美味しかった。
京風の懐石料理を期待する方は評価が低くなるかもしれないが、自分自身はなんの不満なく美味しく頂いた。
(お品書きがなく、料理についてのメモも取らなかったので、料理名・食材などを付記できません)
囲炉裏のついた竹取の和室。
ツインベッド、最近は寝起きが楽なベッドの部屋を探す。
蔵の中のバーラウンジ
蔵の中の資料館
散策用のカラフルな草履
母屋廊下
母屋と蔵に囲まれた内庭
江戸時代のナマコ壁の蔵も登録有形文化財。
依田家の家紋か?
母屋の下のラウンジ
センスのいい案内行燈
宿泊した竹取の棟
玄関、背中を丸めてくぐる。
釘を一本も使わない巨大な梁
。
部屋からの風景、のどかな山里だ。
玄関前の風景
庄屋土間を利用した玄関内部。中央の大黒柱は欅で幅が1尺8寸(54cm)もある。
国の登録有形文化財の母屋(正面が玄関)
秘湯の雰囲気たっぷりの大沢荘山の家
町域にある岩科学校(国指定重要文化財)
露天風呂もある「化粧の湯」。ここには入浴しなかったので、写真は宿のHPからお借りした。
2つある浴槽、こちらの風呂の温度は低く長湯が出来た。
湯が縁から静かに流れ出ている。単純温泉なので癖がなくさっぱりしていた。
磨きこまれた欅の大黒柱、手前の竹筒は、小銭を投げ込む貯金箱。
フロント
土間から見るラウンジ。
竹取の棟の部屋は、ベッドと布団のどちらかを選べる。8畳の和室に囲炉裏コーナー、別に8畳ほどのスペースにツインベッドが置かれている。
木材をふんだんに使い、ベージュ色を基調とする部屋はとてもセンスが良く高級感を生んでいる。
その他にも十分なスペースが確保され、トイレ(ウオッシュレット)・風呂・洗面所はすべて独立していて使い勝手が良く快適さを増している。
風 呂