白毫寺 (奈良市)
白毫(びゃくごう)とは、仏の眉間にあって常に光明を発したという白い毛のことをいう。

春日大社二の鳥居から「ささやきの小径」を通り、しっとりした高畑町のお屋敷街を抜け、途中・志賀直哉旧邸に立ち寄る。

休憩したかったら、隣の「たかばたけ茶論」で一休み。
そこから新薬師寺、白毫寺へ向かう。

細い小道、瓦葺の古民家、崩れた土塀など、いかにも古都らしい散策路だ。

新薬師寺の12神将を拝観してから、左手の細い道を進む。


白毫寺まで800m、15分ほどで高円山(たかまどやま)の西麓に着く。
いかにも歴史を感じさせる古びた石畳の階段を一歩一歩登って行き、山門をくぐると白毫寺の境内だ。 
左手の小屋で拝観料400円を支払う。

快晴の日には、境内左手から眼下に広がる奈良市街や二上山・葛城連峰は、、この日、折から驟雨のために煙って見えなかった。

万葉集にも歌われる高円山の西麓に建つ新薬師寺は、天智天皇の皇子である志貴親王の山荘跡を寺としたものと伝えられる。

平安遷都とともに寺勢も衰えたが、鎌倉時代に西大寺中興の祖と言われる叡尊が再興したものの、室町時代に兵火のために堂宇はすべて焼失した。
万葉集にも登場する高円(たかまど)山の西麓に位置する白毫寺境内からは、奈良の街並みが眺望でき、椿などの花の寺としても知られる。
寺宝の閻魔王及びその眷属の仏像(何れも重文)も身が竦むような迫力があって必見。
左上:木造閻魔王坐像
鎌倉時代の作で重文。今は無い閻魔堂の本尊だった。

上:販売されている閻魔王の手ぬぐい。

左下:県指定の天然記念物「五色椿」。
一本の木に様々な色・柄の花が咲く。
今に残る仏像は、その火から難を逃れたもので、建物は江戸時代の寛永年間に再興されたものだ。
主な仏像は、本堂背後の耐火宝蔵庫に安置されている。

正面に置かれている本尊の「阿弥陀如来像(重文)」は平安時代末期の作。
両脇には文殊菩薩座像・地蔵菩薩立像(何れも重文)が並ぶ。

しかし、ここでひと際目を引きつけるのは、木造閻魔王坐像と眷属の太山王坐像・司命半跏像・司録半跏像である(すべて鎌倉時代・重文)。
地獄を支配するこれら一族の像は亡者を裁くに相応しい憤怒の表情を浮かべている。


花の寺としても知られる白毫寺の境内には、たくさんの椿や萩が植えられている。
中でも興福寺から移植したという「五色椿」(県天然記念物指定)は、東大寺開山堂の「糊こぼし」伝香寺の「散り椿」とともに三名椿と呼称されている。


尚、高畑町から新薬師寺・白毫寺への道路は狭く、すれ違いが不可能な部分もある。
東大寺大仏殿入口から右折した県道沿いにある高畑市営駐車場に車を停めて(1日1,000円)、徒歩で土塀が続く高畑を散策してから新薬師寺・白毫寺に向かおう。


住 所 奈良市白毫寺町392
電 話 0742−23−3392
寺 宝 上記本文に記述の他に、興正菩薩叡尊坐像(重文)、勢至菩薩坐像・観音菩薩坐像など
アクセス 近鉄奈良線奈良駅下車 
・市内循環バス「高畑(教育大前)」下車徒歩20分
・東山方面行バス「白毫寺前」下車徒歩10分
新薬師寺より徒歩15分
拝観料 400円
駐車場 市営高畑駐車場(1日1000円)
白毫寺階段前に小さな有料駐車場有り
URL http://www.byakugouji.jp/
(2006年3月3日作成)