2008年1月9日UP
2007.2.28〜3.2  走行距離422km
冬になると専ら南紀を周るが、今回は白浜温泉・湯の峰温泉に宿泊、帰途は国道168号線を利用して十津川温泉郷の2ヶ所の温泉に立ち寄った。
2泊目の湯の峰温泉では、ようやく念願の名宿・あづまやに泊まり、湯と洗練された料理を堪能した。
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白浜に泊まるときは家を出る時間が遅い。この日も午前9時過ぎに出発した。
第二阪奈・阪神高速・近畿自動車道・阪和自動車道と高速料金がどんどん嵩んでいく。
いつもの通り最初の休憩は岸和田SA。いかにも大阪らしい雰囲気が漂う。
阪和自動車道みなべICで下りて、これも定番、南高梅の梅干を買う。
和歌山県は全国の梅干の60%を生産する。

なかでも、みなべ町は大粒で肉厚の高級品・南高梅が開発された地で、「一目百万、香り十里」と呼称される南部梅林を有している。
道沿いには梅干を売る大小さまざまな店があり、梅の博物館(紀州梅干館)もある。


南高梅の名の由来は、南部高校の教諭がこの品種を開発したことから名付けられた。
2006年にみなべいなみ農業協同組合が地域団体商標制度による商標登録に「紀州みなべの南高梅」を出願し、同年、特許庁より認定された。
近年の傾向は、健康志向の高まりもあって減塩のもの、また甘味があるものに人気が出ている。
白浜町の観光大使を委嘱されているので、先ずは町役場に町長を表敬訪問。
観光客が増加傾向に転じたと聞いた。
今どき珍しいボロ庁舎には、双子のパンダ誕生の大きな横断幕が掛けられていた。
2006年12月、アドベンチャーワールドで2回目の双子が誕生、全部で8匹になったが、この内、先の双子が中国に返されたので現在6頭がいる。
白浜は青い空と海・白い浜(白良浜)そして太陽が輝く快晴が似合う、日本一の海浜リゾート温泉地だ。
前回孫達と泊まったコガノイベイホテルから見た古賀浦、中央にはホテル川久が偉容を見せている。
バブルの象徴・ホテル川久。経営が変わって宿泊料金が下げられたが、まだ高い。せめて入浴だけをと思って立ち寄ったが、休日だけ受け付けていると断られた。
白浜温泉は、海岸美に恵まれている。千畳敷を観光。ここでラーメンの昼食。
丸い穴が開いている円月島の景観。
白浜には5つの共同浴場がある。まだ入浴していなかった円月島前の「松乃湯」に立ち寄った。
白浜温泉発祥の地、湯崎地区にある湯崎館(中央)。右隣は以前に宿泊した「柳屋」
● 湯崎館
外観・内観ともやや古びているここを選んだ理由は3つ。
・白浜温泉のなかでは低料金設定。

・共同浴場「崎の湯」と「弁婁の湯」が指呼の距離にあること。
・加温・加水無しの完全掛け流しであること。
巨大な岩が鎮座する内湯
かなり大きな露天風呂
ヒラメまるまる一匹ののお造りは美味
2日目
1日目
崎の湯
白浜温泉のシンボル。磯の露天風呂としては日本一のスケールとワイルドな雰囲気を持つ崎の湯。
温泉ガイドブックでも、必ず巻頭で紹介される。
早朝、湯崎館から3分の崎の湯に入浴した。なんとも豪儀な朝風呂だ。
太平洋の荒波が洗う豪快な風呂
大潮や悪天候だと一番前の風呂には海水が侵入する。
海中展望台から男湯が丸見えなので、風呂の男女交代は出来ない。
「日本最古」の碑。白浜は有馬・道後と並んで日本三古湯の一つ。
リニューアルオープン前に撮影された女性用。こちらは3つの風呂がある。(立谷町長から頂戴)
白浜から国道311号線に乗って湯の峰温泉に向かう。
快適な国道311号線で白浜から湯の峰温泉までは約60km、ゆっくり走って1時間30分で到着する。
国道311号線上の熊野古道。太平洋側の田辺市が龍神村・中辺路町などを吸収合併、世界遺産の熊野古道の中心、中辺路(なかへち)も市域となった。
個性が異なる湯の峰・川湯・渡瀬の3つの温泉を総称して本宮温泉郷と言う。
白浜と本宮の中程、中辺路に2つの日帰り温泉がある。
1つは掛け流しの上小野温泉(ひすいの湯)、もう一つは日本一のぬるぬる温泉・奥熊野温泉女神の湯だ。
今回で3度目になるが奥熊野温泉に立ち寄った。
白浜方面から国道311号線を進むと大きな「女神の湯」の看板が出てくる。
オートキャンプ場内にあり、猛禽類のケージがあったり、チョウザメが養殖されていたり、水芭蕉が咲く沼地があったりして何やら妖しげな雰囲気だ。

ここに温泉チャンピオンの郡司勇さんがビックリのとろとろ湯が湧く。
猛禽類の鳥舎に囲まれてピンク色の湯小屋がある。敷地の下にはチョウザメを飼っている池や水芭蕉の沼がある。
ガイドブックでは準掛け流しのマークが付いているが、小さなポリ浴槽からは湯は溢れていない。浴槽の3つの穴の用途が分からない。
川湯温泉
大塔川の川底を自分で掘って作る風呂に浸かる川湯温泉には、もう一つの名物風呂がある。水量が減る冬季だけ造られる日本一の巨大露天風呂・仙人風呂だ。
2005年12月、富士屋に宿泊した際、雪が舞う中無人の仙人風呂に入浴したので今回はパス、まだ未入浴の公衆浴場に立ち寄った。
仙人風呂、写真は前回入浴時に撮影。
賑やかな外観の公衆浴場、風呂はもちろん掛け流しだ。
湯の峰温泉
湯の峰温泉への入口
湯の峰温泉は白浜・有馬・道後と並ぶ古湯であり、熊野信仰と深い関わりを持ってきた。湯の峰温泉にほど近い熊野本宮大社、新宮市の熊野速玉大社、那智勝浦町の熊野那智大社の3社を総称して、熊野三山というが、12世紀の平安時代後期から熊野三山信仰が高まり、貴族から庶民に至るまで多数の人がぞろぞろと熊野路を歩いたので、その様子を「蟻の熊野詣」と表現した。
今般、世界文化遺産に登録された「「紀伊山地の霊場と参詣道」がこの信仰の道筋だ。

わずか4軒の湯宿と民宿だけの温泉地だが、1000年の歴史を誇る「つぼ湯」をはじめ「公衆浴場」、源泉が自噴する「湯筒」「東光寺」などが相俟って、なんとも言えない温泉風情を漂わせている。
規模において、有馬・白浜・湯村等と比較出来ないほどの小さな温泉地だが、湯の峰温泉を関西一の名湯と断言する温泉通が数多い。
これまで、リーズナブルな料金設定の「湯の峯荘」に2回宿泊したが、今回、ようやく念願叶って「あづまや」に宿泊、合わせて機会を逃していた「つぼ湯」「公衆浴場」での入浴も果たした。
● あづまや
温泉教授・松田忠徳氏の「日本百名湯」の湯宿・「あづまや」の創業は江戸時代後期、現在の館主は9代目に当り、明治36年(1903年)の部屋が6室残されていて、天皇皇后両陛下が宿泊された部屋も利用できる。

私が電話で頼んだのは、家内の膝の支障を考えて1階で風呂に近い部屋だったが、要望通りの「したんの間」。
8畳に6畳の次の間+広縁+トイレの広くて風格のある和室で、縁側から下駄を履いて、そのまま外に出れば東光寺と共同浴場が目の前だ。

この宿の最大の売り物は、なんといっても珍しい槙(まき)造りの風呂だ。その上、床は檜で、天井はもとより窓や鏡までが木枠、置いてある桶もプラスティックでなく重厚な杉物である。
風呂は大小あるが男女交代するので、ガイドブックで紹介される大きな風呂は必ず入浴できる。
有名なあづまやの内湯。
床は檜造り、風呂は槙の掛け流し、これぞ日本の風呂だ。湯は表面張力で盛り上がって見える。
夕食は塩分を抑えた薄味の上品な料理で、品数か多かったがまったく胃に負担がかからなかった。温泉を使う料理が多いためもあるのだろうか。
夕食・朝食とも部屋食、朝食の温泉粥も美味だった。
チェックインが午後1時、異例の早さだ。宿とつぼ湯・公衆浴場を満喫するために同時刻に到着した。
● つぼ湯
1000年の歴史を誇るつぼ湯は湯の峰温泉のシンボルだ。これまで3回湯の峰温泉に来てるにもかかわらず、待ち時間などがあって入浴を逃していた。

宿の風呂に入る前に、浴衣に着替えて入浴代を払う公衆浴場に駆けつけた。幸運にも先客はおらず、待ち時間ゼロで念願の入浴を果たした。
河床に建てられた湯小屋
浸かった状態の風景
階段を下りた先に2人がようやく入れる湯壺がある。色は様々な色に変化するらしい。
● 公衆浴場
温泉街の真ん中を流れる小さな渓流「湯の谷川」を跨ぐ橋を渡った先の行き止まりにあり、手前には東光寺、温泉販売所があって、温泉情緒たっぷりだ。

小さなコンクリートの建物だが、「くすり湯」と「一般湯」の2種類の風呂がある(男女別)。

くすり湯は、90℃を超える源泉を水を加えずに適温に冷ました温泉で、入浴料金は380円、一般湯の250円より5割ほど高い。
加水していないくすり湯・
かなりの高温を覚悟していたが、飛び出すほどでなく、硫黄臭、白い湯の花が舞う源泉100%の温泉を楽しんだ。

手前の河床に源泉の湯筒、さらに東光寺があって、温泉風情たっぷりだ。
3日目
この日は、朝風呂の崎の湯から始まって、奥熊野温泉・川湯温泉・湯の峰温泉の3ヶ所、合計6ヶ所で入浴、これはこれまでの新記録となった。(あまり自慢できる記録ではないが・・。)
前日の夜、宿で最終日を勝浦経由を含めてどのルートで自宅に戻るか考えたが、少々時間がかかるものの国道168号線に乗り、十津川経由で帰ることにした。

国道168号線、現役で人事部門に在籍していたとき、入社間もない男性社員2名が、夜間に南紀に向かう途中、道路から崖下に落ちて死亡した。
十津川村から会社の車で運ばれてきた遺体を納棺し、出身地での葬儀にも参列した。
順番が逆の死に嘆くご両親の痛ましい姿は今も忘れられない。
この道は述べ10回近く通過したが、その度に二人の冥福を祈っている。

当時と比べ、国道は格段に整備されてきたが、未だすれ違いが出来ない所や、中央分離線がない1.5車線部分も残っている。
運転歴を過信しないように、いつも慎重運転を心がけている。
国道168号線沿線
日本三大秘境十津川村から南紀に至る国道168号線は、峡谷を延々と走り、慎重な運転を要するルートだ。
写真11枚は順不動
十津川温泉郷は湯泉地温泉・十津川温泉・上湯温泉の総称で、アクセスの不便さにおいて全国屈指の秘湯だろう。先般、日本初の源泉掛け流し宣言を行ったが、30軒弱の旅館・共同浴場すべてが掛け流しである。
十津川温泉郷で、これまでに宿泊したのは十津川温泉ホテル昴だけ、立ち寄ったのは湯泉地温泉・滝の湯出谷温泉・公衆浴場上湯温泉神湯荘のみ。
今回は新しく出来た十津川温泉・庵の湯と湯泉地温泉・泉湯に立ち寄った。
● 十津川温泉・庵の湯
十津川温泉郷には6つの公衆浴場があるが、ここ庵の湯が最も新しく2005年6月に建設されたばかりだ。
「庵」の名は、近くにあった高岩寺の庵に由来する。


庵の湯はニ野津湖の湖畔、村で一番建物が集まっているバスターミナル前にある。
しかし、国道の下の僅かな土地に、湖へ張り出すようにして建っているので道路からは見えない。
真新しい木組みの風呂、床は珍しく小石が敷き詰めてある。
建物は、国道と湖の間の猫の額ほどの敷地に建てられている。道路より一段低い所にあるので、うっかりすると通り過ぎてしまう。
● 湯泉地温泉・泉湯
十津川温泉から北上すること15km、湯泉地温泉に至る。この間の道が一番狭い。
道の駅十津川郷には足湯がある。
湯泉地は「とうせんじ」と読む。
道の駅を出て、橋の手前・右側の細い道に入り、温泉街に向かって進むと間もなく、左手に泉湯の木造の小屋が見えてくる。
(五條方面からだと橋を渡ってすぐに左折)
十津川温泉では珍しい単純硫黄泉で、硫化水素の臭いがして、湯が僅かに白濁している。
露天風呂もあり、のんびりと入浴が楽しめる。
僅かに白濁した上質の単純硫黄泉
地元の木材をふんだんに使用した浴場。
露天風呂もある。
最後の入浴を終えて、168号線を北上、先ずは五條市に向かった。ここから我が家は遥か彼方に思える。
紀伊半島湯巡り2泊3日の旅
奥熊野温泉
十津川温泉郷
白浜温泉