県下最大級、かっては新潟県では珍しい歓楽型温泉地であったが、いまも芸妓置屋が20軒を超える月岡温泉。
温泉チャンピオンの郡司勇さんが著書「一湯入魂温泉」で「浸かるとゴージャスな気分を味わえる色が美しい温泉」の一つとして、国見温泉・石塚旅館、熊の湯温泉・熊の湯ホテルなどとともに紹介し、共同浴場・美人の湯のエメラルドグリーンの温泉に浸かってる写真が添えられていた。
珍しい緑色の温泉、いつかここで宿泊or入浴しようと思っていたが、アクセス100万回記念の一つとして信州から新潟・福島を巡る3泊の旅に月岡温泉を組み込み、宿泊する広瀬館にチェックイン後、さっそく美人の湯にやって来た。
住 所 | 新潟県阿新発田市月岡温泉 |
電 話 | 0254−32−1365 |
交通機関 | ・磐越自動車道安田ICから国道290号経由で20分 ・日本海東北自動車道 豊栄新潟東港ICから20分 ・北陸自動車道新潟亀田ICから国道49号経由で30分 ・JR羽越本線月岡駅からバスで10分 ・JR白新線豊栄駅(バリアフリー対応)からタクシーで15分 |
施 設(日帰り) | 休憩所、駐車場有 |
宿 泊 | 不可 |
泉 質 | 含硫黄―ナトリウム―塩化物温泉(泉温50.7℃) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 | 10時〜22時(入館は21時までに) |
定休日 | 毎週火曜日(祭日の場合は翌日、年末・お盆等はその都度館内に表示) |
入浴料金 | 大人500円 |
入浴施設 | 男女別内湯 |
浴室備品 | シャンプー・ボディソープ・ロッカー・ドライヤー・駐車場 |
観光スポット | 瓢湖(白鳥飛来)、清水園、蕗谷虹児記念館、、新発田城、市島邸、阿賀野川ライン船下り、五十公野公園のあやめ、北方文化博物館、吉田東伍記念館、阿賀野川文化資料館、三川観光きのこ園、将軍杉、新潟ふるさと村、阿賀の里楽市じぱんぐ |
お土産・食事 | 施設内不可、温泉街で可能 |
近くの温泉 | 今板温泉、杉村温泉、出湯温泉、咲花温泉、きりん山温泉、角神温泉、新三川温泉、かのせ温泉 |
新発田市HP 観光協会HP 月岡温泉HP |
http://www.city.shibata.niigata.jp/ http://shibata-info.jp/ http://www.tsukiokaonsen.gr.jp/ |
東京都に匹敵する広大な越後平野の北、五頭連峰が迫る田園地帯にある新潟県屈指の規模を誇る月岡温泉。
その南側の温泉街の外れ、客室100室の大型旅館・ホテル清風苑と小川を挟んだ道路沿いに、月岡温泉の共同浴場「美人の湯」がある。
経営が市営か温泉組合か民間企業・個人なのか把握できなかったが、入浴料金が500円、定休日がある(毎週火曜日)、営業が10時〜(22時まで)からと遅いことなどか、昔ながらの共同浴場という雰囲気は無い。
「美人の湯」と、共同浴場の名称としては俗物的で少々気恥かしい。
これは月岡温泉では、
「硫黄含有量全国トップクラスで素晴らしい効能のある、『美人の湯』として名高い名泉です。
皮膚の角質を溶かす作用でお肌ツルツル!漂白・殺菌作用で自慢の美白肌に!」
と、「美人の湯」を売り物にしているのに同調したネーミングだ。
施設名 : 美人の湯 (入浴日:2011.10.31)
新潟県は、北海道・岩手県・福島県・長野県に続く全国5番目の大きな面積を有する。
北東から南西に細長く伸びる形で、上越、中越、下越、それに佐渡島から成る。
面白いのは地図で見ると、上越が南、下越が北になることだ。
これは平安時代(794年〜1192年)から、京都から近い順に上・中・下としたためで、旧越の国が分割されて越前(福井・石川)、越中(富山)、越後(新潟)と呼ばれたのも同じような発想だ。
新発田市は新潟県の下越地方にあって、越後平野の北部、新潟市に隣接している。
人口10万6千人は県で5番目の都市だが、県内有数のコシヒカリの産地でもある。
江戸時代には新発田藩10万石の城下町で、いまも重文の新発田城や足軽長屋等、町内の随所に文化遺産が残っている。
この他には、新潟市の奥座敷として、田園の中に今も歓楽型の色彩が残る月岡温泉が湯煙を上げている。
月岡温泉の歴史は新しい。
今から95年前の大正5年(1916年)、石油採掘のためのボーリングの際に、温泉が湧き出したのが始まりだ。
当初はごく素朴な湯屋が建てられたが、昭和50年後半に、温泉が各旅館に配湯されるようになってから、新潟市に近いこともあって歓楽型温泉地として急成長した。
現在は部屋数が100室を超える大型から、いまだに湯治が可能な小さな宿まで、大小20軒弱の旅館が営業している。
また、新潟県随一の歓楽型温泉として、現在でも20軒を超える芸妓置屋があり、温泉街には4軒の温泉饅頭の店に混じって、スナックを多く見かけた。
大正時代に湧出した温泉は、おそらくもう枯渇して新源泉に置き換わっていると思われるが(日帰り施設の源泉は月岡5号線・6号線とあった)、現在の源泉は硫黄の香りがする、含硫黄ーナトリウム―塩化物温泉だ。
因みに、硫化水素イオン型の温泉では含有量が日本一で、感触としては硫黄泉の典型と紹介されていたが、鈍感な自分には感触までは分からなかった。
風呂は内湯のみで4〜5人が足を伸ばして入れる大きさ、タイル張りのごく普通の造りだ。
温度はやや高め、温泉は源泉放流と循環併用式と館内に表示されていたので、完全な掛け流しではないものの、浴槽の縁から温泉が静かに流れ出していた。
500円の入浴料金なので、シャンプー類、ロッカー、ドライヤー等は備え付けられ、休憩所もあった。
源泉は2本、現在は5号線と6号線があって、温泉管理組合が混合泉で管理・配湯している(一部、単独源泉を送っているかもしれない)。
2本の合計湯量は580リットル/分、源泉温度は51℃、泉質は含硫黄ーナトリウムー塩化物温泉。
硫化水素の臭い、口に含むと苦味がある。経時とともに全国でも珍しい透明な緑色になる(天候や気温によって乳白色にもなるようだ)。
郡司勇さんの既述の著書によると、硫化水素イオン型の温泉の特色として、緑色のソーダ水のような色になり、月岡温泉の他に志賀高原の熊の湯温泉、岩手県の国見温泉等が該当するそうだ。
宿泊した広瀬館ひてんの湯(記事後日掲載)。
やや寂れた雰囲気の温泉街だが、温泉饅頭の店に混じってスナックの店を多く見かけた。
共同浴場「美人の湯」