滑稽などじょう掬いの踊りで知られる安来節発祥の地にある鷺の湯温泉は、のどかな田園風景に囲まれた旅館3軒だけの小さな温泉地だ。
しかし湯量豊富で宿泊した「さぎの湯荘」をはじめ3館とも掛け流し、ミシェランガイドブックで三つ星に指定され、見事な庭園で知られる足立美術館へ徒歩1分で行けるのも大きな魅力だ。
施設名 : さぎの湯荘 (宿泊日:2013.3.6)
ジパング倶楽部利用による割引列車の旅、玉造・皆生といった大型温泉地を敢えて避けて、島根県・鳥取温泉のマイナー温泉発見の旅。
山陽新幹線新大阪駅発さくら551号で岡山駅着10時45分。
そこから伯備線特急やくも9号パノラマグリーン車に乗り換えて岡山発11時5分発ー安来着13時22分着。
タクシー利用でさぎの湯荘チェックイン、荷物を置いて足立美術館に向かった。
翌日は、山陽本線各駅停車の普通列車で鳥取(温泉)へ。
島根県は、かって大和王朝と並ぶ古代国家として、神話にも多く登場する出雲国の東部にある。
人口4万人余りの安来市は、その島根県の東端に位置し、鳥取県と境を接している
出雲風土記によれば、スサノオノミコト(神須佐能袁命)がこの地にやって来た時、 「わが心安らけくなりぬ」と言われたことから安来という地名となったと言われ、神話の時代に遡る古い地名だ。
安来市には、戦国時代にあって最盛期には山陰山陽十一国を従えた戦国大名「尼子氏」の居城で、難攻不落の月山(富田)城があった。
大内義隆が攻め、毛利元就が攻めたが、力攻めでは落とすことが出来ず、元就との戦いで結局は兵糧攻めの末に尼子氏が降伏した。
また、「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈った逸話などから、国民教育の題材として戦前の教科書に採用さた山中鹿助幸盛。
織田信長・豊臣秀吉の支援を受けながら、いま一歩で尼子氏再興を叶えられずに散った悲運の武将は、少年期に読んだ講談本のヒーローの1人だった。
庭園に面するロビ―・ラウンジ・談話室には、趣味が良いシンプルな家具が配置されている。
日本海で水揚げされるエテカレイの一夜干しが美味しかった。
夕食は、部屋食または写真のように別の客室で。
貸切風呂は、内湯・露天風呂が各1ヶ所あり、何れも無料。写真は露天の「岩露」。
のどかな田園風景が広がる露天風呂。
料 理
2方を大きなガラスがはめ込まれた内湯。露天風呂に劣らない眺望がある。
風 呂
塵一つおちていない清潔な廊下。
湯上り処として使えるコーナー。
前方左側の足立美術館から鷺の湯温泉の旅館までは徒歩1分。安来駅・米子駅と美術館の無料シャトルバスもある。
小さな温泉街の端にある源泉タンク。さぎの湯の由来と泉質がかかれた看板が置いてある。
江戸時代、飯梨川の氾濫で位置が分からなくなった温泉は、1907年(明治40年)に再発見されて現在に至っている。
足立美術館は、当地出身の実業家・足立全康氏が創設した。横山大観のコレクションの他に、竹内栖鳳、川合玉堂、菱田春草等、日本画家の巨人たちの1500点に上る絵画や北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸作品が展示されている。
安来節のひょうきんな踊り。写真は安来節屋(音が出ます)から借用。
最近の旅館で見かけなくなった卓球室は最近新装されたばかりだ。
1階「梅の間」は角部屋で10畳+6畳+広縁+シャワーT 1人税別15,000円。
枯山水庭をはじめ、50,000坪におよぶ6つの庭園は、四季折々にさまざまな表情を醸出す。
米国の日本庭園専門誌「Sukiya Living(数奇屋リビング)/ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が、全国900ヶ所以上の名所旧跡を対象に実施した「2012年日本庭園ランキング(潮騒ランキング)」が発表され、足立美術館の日本庭園が「10年連続庭園日本一」で選ばれた。
また、既述の通り、『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』(フランス語改訂版第3版)において、足立美術館の「日本庭園」が山陰エリアで唯一となる最高の「三つ星」(わざわざ旅行する価値のある=最高評価)に選考された。
この庭園のあまりの見事さが印象に残り、肝心の日本絵画コレクションが霞んでしまって、足立美術館=日本庭園と発想する人が多い。
夕食は、個室またが別の客室に設けられた食卓で取る。
朝食は大広間に置かれたテーブル席で取った。
夕食は特に洗練されたものではないが、日本海の魚介類を含む地元の食材を使用した会席料理は、量的にほど良く、ライトなものが多く、我々の世代にはぴったりだった。
季節・料金・別注によって、松葉ガニ・島根牛・泥鰌の柳川鍋など地元特産の料理が味わえる。
男女別の内湯と露天風呂、それに貸切の内湯と露天風呂が各1ヶ所ある。
温泉が高温の為に夏期のみは加水するが、すべての風呂で温泉を掛け流しにしている。
貸切風呂は無料、但し15時~21時までは予約制(50分)、それ以降、翌朝9時迄は予約不要、空いていれば自由に利用できる。
温泉の泉質は、無色無臭のナトリウム・マグネシウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(54℃ pH7.7)で、泉質から来る特有のキュキュ感があった。
日帰り入浴を受け付けており、11時~15時(受付14時迄)、18時~21時(受付は20時迄)、料金は大人700円。
住 所 | 島根県安来市古川町478-1 |
電 話 | 0854-28-6211 |
交通機関 | 山陰道安来ICから約10km JR山陰本線安来駅からイエローバス広瀬行きで20分 鷺の湯温泉前下車 |
宿 泊 | 21室 13,650円~ 詳細・最新情報はさぎの湯荘HP参照ください。 |
泉 質 | ナトリウム・マグネシウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(54℃ pH7.7) |
適応症 | 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
施設(日帰り) | 湯上り処 |
入浴時間 | 11時~15時(受付14時迄)、18時~21時(受付は20時迄) |
定休日 | 無休 |
入浴料金(日帰り) | 大人700円 |
風 呂 | 男女別内湯・露天風呂、貸切2 |
浴室備品 | シャンプー、ボディソープ、ロッカー、ドライヤー |
観光スポット | 足立美術館(さぎの湯荘から徒歩1分)、安来苑、尼子氏史跡、和鋼博物館、清水寺、加納美術館、松江城、宍道湖、島根ワイナリー、出雲大社、古代出雲歴史博物館、石見銀山等 |
近くの温泉 | 玉造温泉、広瀬温泉、八雲温泉、きまち温泉、海潮温泉、松江しんじ湖温泉、出雲湯村温泉、皆生温泉 |
安来市HP 観光協会HP さぎの湯荘HP 鷺の湯温泉HP |
http://www.city.yasugi.shimane.jp/ http://www.yasugi-kankou.com/ http://www.saginoyusou.com/ http://www.yasuragi.or.jp/~saginoyu/ |
貸切内湯の「白露(しらつゆ)」は4~5人が一度に入れる大きさ。
小鉢(胡麻豆腐)
前菜(合鴨ロース・南瓜玉子・穴子八幡巻き)
お造り(地魚旬魚三種盛り)、家内称賛!
小鍋(飯南豚のみぞれ煮)
蒸し物(茶碗蒸し)
創業が明治44年(1911年)、100年の歴史を有する老舗の宿。
3軒の旅館の中で最も大きい宿だが、それでも客室数は21室に過ぎない。
館内は、ロビー・ラウンジ・廊下・客室・浴室、どこも豪華ではないが、整理整頓、掃除も行き届いていてとても気持ちが良い。
部屋の窓から望むのんびりした田園風景も心が和む。
宿泊料金は、13,650円~21,000円(2013年10月現在、詳細・最新情報はこちらを参照ください)。
2013年3月6日(平日)宿泊、案内された1階・梅の間は10畳と6畳の和室、2人1室で1人15,000円(税別)だった。
部屋の広さ、風呂と食事、それに足立美術館への利便性が加味されて、コストパーフォマンスはとても良好に感じた。
夕食は、宿泊客が少なかったせいだろうか、隣室にテーブル席を設けてくれてそこで取った(朝食は広間のテーブル席)。
この点数が納得できる一泊となった。
新大阪発さくら551号で岡山へ。
伯備線特急やくも9号パノラマグリーン車で安来へ。
田園地帯の街道沿いにあって、足立美術館から徒歩1分。
カラオケが普及する前、宴会で民謡を唄う人が多かった。
因みに当HPの管理人は、生まれ故郷・栃木県足利市(群馬県桐生市・太田市でも唄われる)の八木節
ハァーまたも出ました三角野郎が 四角四面の櫓の上で 音頭取るとはお恐れながら・・・
と育った東京(江戸)の木遣崩し(きやりくずし)だった。
格子造りに ご神燈下げて 兄きゃ家かと 姉御に問えば 兄きゃ2階で木遣の稽古・・・
こんな中で、お座敷芸のチャンピオン、ひょっとこ顔でひょうきんな「どじょうすくい」の踊りを舞う安来節を演じた人にはやんやの喝采が贈られるのが常だった。
因みに「どじょうすくい」は「泥鰌(どじょう)掬い」という説と、この一帯に豊富な砂鉄を採るための「土壌掬い」の2説がある。
♪ 安来節(やすぎぶし) ♪
じゃらん 口コミ総合:4.7
(81件平均 2013.10.12日現在)
安来市に留まらず島根県を代表する観光スポットの一つ、足立美術館。総数130点にのぼる横山大観のコレクションや錚々たる日本画家の作品を多数持つ美術館だが、むしろミシェランのガイドブックで三つ星指定になっている庭園の方が有名かもしれない。
箸休め(出雲そば・鴨南蛮)
揚げ物(穴子うるいかき揚げ・さより磯辺揚げ)
酢の物(白魚・サーモン・烏賊・若布酢)
五目御飯・吸物・香の物)
水物(ミックスゼリー)
部 屋 | 4.5 | 風 呂 | 4.8 |
朝 食 | 4.4 | 夕 食 | 4.5 |
接客・サービス | 4.6 | 清潔感 | 4.7 |
館内から見る庭園。背後の丘陵が借景となって日本庭園の枠を超えた壮大な風景が広がる。