上の湯温泉 温泉旅館 銀婚湯 (北海道)
   

敷地内に65℃〜90℃の源泉4本を持ち、これを混合又は単独で風呂に落としている。
多くは高温のため10%程度の加水をしている。
泉質はなめらかなナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉などだ。


その風呂だが、客室数に対してなんとも贅沢な構成になっている。
男女別の内湯と露天風呂、家族風呂、それに加えて広い敷地に点在する貸切の露天風呂4ヶ所(宿泊者のみ利用可)がある。


内湯とそれに繋がる露天風呂は深夜に男女交代するので、宿泊すると合計9か所の風呂に入浴することができ、まさに温泉三昧を体験できる。

しかし貸切の露天風呂が広い敷地に点在し、吊り橋を渡ったり1ヶ所入浴ごとに鍵を貸出・返却するので、一気に4か所で入浴しようとしたらかなりの体力を要し、季節によっては汗まみれの湯巡りとなる怖れがある。

今回の6泊北海道温泉旅で4ヶ所の日本秘湯を守る会の宿に泊まった。
旭岳温泉湯元湧駒荘丸駒温泉丸駒温泉旅館ニセコ昆布温泉鯉川温泉旅館そして最後がここ上の湯温泉銀婚湯だ。
アクセスが不便な道南中央にあり、周辺に観光スポットが無いこの宿が、なぜ各種の全国人気温泉宿ランキングの上位にあるのか、今回実際に宿泊してみて納得できた。

到着した日の夕方に上の2か所で入浴、翌日早朝に残りの2か所で入浴した。

朝は本来7時からだが、それでは我々のペースでは遅すぎる。
それに、他の宿泊客と札の取り合いになる。

女将にもっと早く入れないかと聞いたところ、朝5時には朝食の準備で厨房にいるので、こちらに来てほしいとの温かい言葉。
ご厚意に甘えて、翌朝5時に厨房で札をもらい、先ずはトチニの湯に浸かり、その後一度引き返して
どんぐりの湯の木札を貰って4か所制覇を達成した。

お品書きにない饅頭

水菓子(自家製クリームムース)

小鉢(北里八雲牛・胡麻サラダ)

煮物(大根と角煮の炊き合わせ)

揚げ物(蝦夷舞茸・万葉の詩塩(熊石))

鍋物(山菜寄せ鍋)

お造り(まぐろ・帆立・石鰈・牡丹海老)

仲物(鯛とメークインのてまり蒸し、唐黍すり流しあん)

前菜(鮭の棒寿司・蛤素焼き・手作りチーズ・行者大蒜他)

先付(蛸のやわらか煮)

●夕食(順不同・一部掲載略)

● 無料貸切露天風呂(4ヶ所)

フロントでこの札を借りて、湯小屋にこれを吊るす。入浴したらいったん戻してから(空いていれば)別の札を借りる。全部で入浴しようとしたら宿から300m〜500m離れた風呂を4往復することになる。

ユニークな「銀婚湯」の名称は、温泉が大量湧出した日が大正天皇の銀婚の佳日であったため、川口福太郎の妻トネの発案で、自分たちの夫婦の銀婚式を重ね合わせ「銀婚湯」と命名したことに由来する。

温泉ファンに知られた銀婚湯は、各種の温泉宿ランキングにおいて、常時上位に選ばれる人気の宿である。
最近では、「自遊人2009年9月号」温泉大賞において全国温泉旅館の中で第10位にランクイン、昭文社「東日本温泉宿ベスト100」では第27位に選ばれている。

かっては湯治客や銀婚湯の名に因んで中年・熟年の夫婦が中心だったが、現在は若いカップルも多く宿泊客の世代は広範囲に及んでる。

周辺に有名な観光地が無いのに人気が高い秘密は、コストパーフォーマンスの良さ、即ち良質な風呂・温泉・施設・環境・料理・サービスに対し、宿泊料金が低めに設定されている所にあると推測される。

温泉名 : 上の湯温泉

周辺に桂の木が茂る林の中にあり、浴槽へは階段を上る。
巨岩の上部をくり抜いて浴槽が造られているが、まるで古代の石棺のような雰囲気だ。。

所在地 : 二海郡八雲町


八雲町は2005年10月、支庁が異なる熊石町と合併した酪農と漁業が盛んな町で、渡島支庁中部に位置し、東は噴火湾、西は日本海に接している。

同一町内に日本海と太平洋を有するのは八雲町が唯一であり、町域の中央を渡島山地が連なって、小さな温泉が点在する。

両海岸をつなぐ国道277号線には、標高は410mと低いながらも道幅が狭く落石の多い交通の難所・雲石峠がある。

北海道の中でもいち早く西洋型酪農を取り入れた先進的な町だが、木彫り熊やバター飴の元祖の町でもある。

また、日本屈指の水揚げ量を誇るホタテ貝の養殖が盛んな町でもある。

旅行中、宿泊した2か所の旅館の女将から(私たちが泊まると聞いて)、銀婚湯の女将さんによろしくお伝えください、と言付けを頼まれた。

道内温泉宿の女将の集いの会長でもされているのだろうか?
とにかく人望がある方であることは間違いない。

これだけの人気宿なのに、朝5時から厨房に立ち、最寄り駅まで女将が車で出迎えてくれたと他の客から聞いて、この宿は間違いなく女将でもっていると確信した。

札幌から約200km、函館からも約65km離れ、周辺に知られた観光スポットも無いこの地にあって、これだけ評価・人気が高いのは風呂・温泉の素晴らしさもあるが、何よりも宿の努力で抑えられた宿泊料金をはるかに上回る満足感を得られるからに違いない。

女将と一緒に・・・

一部の貸切露天風呂へは、落部川を跨ぐかなり揺れる吊り橋を渡って向かう。増水のときも渡れるのだろうか、かなり怖いだろう。

9万坪もある敷地内には、落部川の渓流が流れ下り、5000坪ある庭園にも小川が流れる。
樹齢1000年を越えるイチイの大木や白樺・紅葉などの林をぬって1時間ほどの遊歩道も設けられている。


建物は道内では珍しい和風の趣、写真が示すように館内は心和む木の温もりに満ち溢れていて心身とも癒される。

フロント

玄関からの廊下

銀婚湯敷地内を流れる落部川

新館2階・木蓮の間3人1室で1人14,000円(税別)銀婚式前後2カ月の夫婦には心ばかりの恩典がある。

9万坪の敷地、白樺林。春夏秋冬、四季折々の散策がお勧めだ。

施設名 : 温泉旅館 銀婚湯 (宿泊日:2008年6月27日)

日本秘湯を守る会の「温泉旅館 銀婚湯」

八雲町には小さな温泉が点在し、温泉宿が6軒ほどある。

中でも温泉ファンに人気が高いのが、噴火湾沿いの国道5号線から道道八雲厚沢部線を厚沢部方面へ進んだ、落部川の中流中州に湧き出る上の湯温泉である。

数百年前から先住民族のアイヌ人が入浴していたと言われるが、江戸時代後期の弘化3年(1846年)に松浦武四郎なる人物が入浴した記録が残っている。
さらに慶応4年(1868年)の戊辰戦争の折には、榎本武揚率いる幕府軍が負傷者をここで湯治させている。

大正14年に入って、川口福太郎が中州を掘削し、熱湯の大量湧出に成功した。

現在はその開湯以来の温泉旅館銀婚湯と近代的なパシフィック温泉ホテル清龍園があり、どちらも日帰り入浴が可能である。

住 所 北海道二海郡八雲町上ノ湯199
電 話 0137−67−3111
交通機関 道央自動車道国縫ICから約50km
JR函館本線落部駅からタクシーで20分(宿からの送迎あり)
施設(日帰り用) 湯上がり処、ロビー、売店、駐車場50台 
宿 泊 22室(内トイレ付き16室)
宿泊料金は2人1室で、トイレ無し10,650円〜トイレ付き15,900円(税込)。他に20,100円の特別室(2009年9月現在)
宿泊人数・特別日で加減、、また随時変更されるので最新情報は宿のHPを参照されたい。
泉 質 ナトリウムー塩化物・炭酸水素温泉など。 4本の源泉(合計170リットル/分)を混合又は単独利用
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
外来入浴時間 午後12時〜4時(平成21年1月から左記に変更)
定休日 日帰り入浴は毎週月曜日
入浴料金 大人700円
入浴施設 内湯:男女別各1 露天風呂:男女各1(深夜で男女交代) 家族風呂1 貸切露天風呂4(無料・・・但し日帰り入浴は不可 宿泊者でも季節・天候などによって入浴できない場合がある)
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ、 ロッカードライヤー
観光スポット 周辺に有名な観光スポットは無い。
大沼国定公園・函館
お土産・食事 館内で昼食不可
近くの温泉 濁川温泉・桜野温泉・町営八雲温泉・大沼温泉
八雲町HP
銀婚湯HP
http://www.town.yakumo.lg.jp/
http://www.ginkonyu.com/
雑記帳 ラベンダーには少し早かった2008年6月、友人2人との6泊7日の北海道温泉旅。全部で17か所の宿・施設で宿泊・入浴した。
その後、ほぼ毎月1ヶ所のペースで記事をアップしてきたが、ここ銀婚湯をトリとしてすべて完了した。
次の道内旅行が実現すれば、今度は道東を中心に巡ってみたい。
札幌で夕食をご一緒し、差し入れをして下さった「野良ウサギ」さんに一同で感謝申し上げます。
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)

食事は夕食・朝食とも食事処で取る。
部屋の料金に関係なく、すべて同じメニューが供される。

夕食は決して洗練されたものではなく、高級食材も使われていないが、、既製品を排し、道内の食材を中心に手作り感・温もりのある料理が並んだ。

写真には無いが、季節感のある姫筍の御飯も美味しかった。

朝食もオーソドックスだが、ここでも家庭的な手作り感覚が味わえた。

●朝食

料 理

平成21年1月から、立ち寄り入浴は午後12時〜4時までに変更された。
入浴料金は大人700円、日帰り入浴は毎週月曜日が定休日で入浴できない。

湯上がり処

季節限定で冬季は入浴できない。
雑木の丸太で組み立てた湯小屋の中に、自然に溶け込んだ、小さいが豪快な石の風呂が造られている。
紅葉の巨木が浴槽に覆いかぶさり、秋の入浴はさぞかし素晴らしいだろう。

ここも季節限定で、冬季は入浴できない。

2008年6月に宿泊の際、女将から「つい先日完成した」とお聞きした一番新しい風呂。浴槽が丸い石で縁どられていて、なんとなく心が和む。

チェックイン時から深夜まで男性用、岩石を配した「渓流の湯」。15mほどの長さがあり大きく深い風呂だ。混合泉で加水が若干あるが、しっとりした泉質だった。

風 呂

部屋数は全てが和室で22室(内トイレ付16室)と少ない。

割り当てられた部屋は8畳だが、広縁が6畳ほどの広さがあったので、男3人でも狭く感じなかった。

2009年9月現在の宿泊料金は2人1室で、トイレ無しで10,650円〜トイレ付き15,900円(税込)の価格帯(他に20,100円の特別室)だが、随時変更されるので詳細は宿のHPを参照されたい。

栃の木が茂る薄暗い一角に、杉の巨木をくり抜いた宿の名物露天風呂がある。写真で見るより大きく、二人がゆうゆう浸かれる。
ここだけが単一源泉で加水していない温泉が注がれる。
すぐ横に正方形の小さな風呂もある。

「渓流の湯」(逆方向から撮影)

木立ちの中の入浴が快い露天風呂

深夜まで女性用の「こもれびの湯」