山代温泉 ホテル大のや (石川県)

夕食・朝食ともテーブル席の食事処で取る。

夕食は品数も多くて若い人でもボリューム的には満足するだろう。
一般受けする分かりやすい高級食材も使われているが、前菜などを含めて手の込んだ料理とは言い難い。3月20日解禁終了したずわい蟹が出たが、蟹が目的ではなく、他の料理が欲しかった。
しかし、宿泊料金からすればそう悪くないだろう。


一方、朝食は逆に定番の品をぎりぎりまで抑え込んだもので、我々の年代には適量だったが、若い人にはボリューム不足?

加賀温泉郷で最も規模が大きいのが山代温泉。
山代温泉街の中心、総湯を囲む湯の曲輪(ゆのがわ)の一角にあり、かっての老舗宿の面影を偲ばせ、リーズナブルな料金のホテル大のやに宿泊した。

山代・山中・片山津・粟津の4温泉を総称して加賀温泉郷と呼び、前の3つは加賀市にあり、最も歴史が古い粟津温泉が小松市にある。

最も大きいのが、加賀市内陸部の田園地帯、江戸時代からの歴史を有する共同浴場を囲むようにして、大小の旅館・ホテル群が立ち並ぶ山代温泉で、現在19館の旅館ホテルが営業している。
近年になって従来の共同浴場「山代温泉浴殿」が取り壊され、あらたに総湯と明治時代の総湯を復元した古総湯が相次いで建設された。

大聖寺川の中流にある鶴仙渓沿いの狭い地域にある山中温泉が、その狭さ故に大型化が難しかったのに対し、山代と片山津は平野部にあるので宿・ホテルの大型化が進み、100室、200室の客室を持つ旅館が次々と現れた。

バブル崩壊後、一挙に不況が押し寄せ、大型旅館・ホテルの倒産、他県資本の企業グループ傘下に吸収された。
最近では、創業100年の歴史を有し、200室の客室を持つ山代温泉のホテル百万石が2012年9月に倒産している。

2005年10月に山中町と合併して市域を広げた人口7万人余の加賀市は、石川県の南西に位置して南部で福井県と接している。

歴史的に見ると、豊臣秀吉の盟友、「槍の又左」こと前田利家を始祖とする加賀藩(加賀・越中・能登)は、二代・前田利長の時代に、徳川家康の度々の干渉を乗り切り、幕末まで120万石を維持した。三代・利常は、寛永16年(1639年)、次男利次に富山10万石、三男利治に大聖寺7万石を分封した。

加賀藩前田家の歴代藩主は美術工芸を愛し、これの振興・育成に努めたが、支藩となった大聖寺の歴代の藩主も同様だった。
初代藩主・利治は、領内の九谷村に陶石が見つかったのを機に、この地で磁器の窯を開かせた。九谷焼(古九谷焼)の始まりである。
加賀市はこの大聖寺藩の城下町であり、石川県の最南端にあって東南部の山地を背に日本海に面し、北前船の基地としても栄えた。

観光面では、山代、山中、片山津など、加賀温泉郷の中核を成す温泉地を有している。

「長生殿」

写真右:一段高い浴槽はジャグジー。手前の浴槽は10人が一度に入れる規模。

左:重厚なジャグジー浴槽。

下:右内湯と同じ造りの露天風呂。周囲が高い壁で眺望が無く、開放感は皆無。

「千代結び」

風呂は露天風呂付きの大浴場が2ヶ所あり、男女交代なので宿泊の場合は両方の風呂に入れる。
HPやパンフレット、インターネット、ガイドブックなどでは、「かけ流し」「一部かけ流し又はかけ流し・循環併用」の両方があって、曖昧になっている。
恐らく、かけ流し・循環併用と思われるが宿での確認はしていない。

泉質は、ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉(64℃ pH7.84)で、無色・澄明・無味・無臭。


玄関先に「立ち寄り湯」の看板を掲げており、入浴時間は10時〜18時、大人1000円。

近年建て替えられたり、新設された総湯古総湯を囲む湯の曲輪(ゆのがわ)。老舗の宿や土産屋が立ち並ぶ。

風 呂

食 事

若い人にはやや物足りない朝食か?薄い温泉カレイの干物が美味しかった。

● 朝食

温泉名 : 山代温泉

広場を挟んで古総湯の向かいにある大のや。愛車の精悍なシエイプと和風の大のやのコントラストが面白い。

施設名 : ホテル 大のや (宿泊日:2014.3.24)

所在地 :加賀市山代温泉

廃業した旅館・吉野屋の跡地に建てられた(新)総湯

ベンガラ色の「はづちを楽堂」は湯の曲輪の一角にある。水辺に茶店・丹塗り屋などがある。

魯山人寓居跡いろは草庵北大路魯山人が、大正4年の秋から約半年間生活した場所。

写真右:岩石を積んだ露天風呂。もう一方より風情があるが、周囲が壁で囲まれやはり開放感が無い。
内湯を含めて、上の「千代結び」より広くて、構造も良く、こちらが女性が長時間利用できるのは頷ける。

● 夕食

牛肉の陶板焼き、だったかな?

ズワイガニ(松葉ガニ)一人一杯。

蟹酢

蟹ご飯ー目の前の釜で焚きお焦げあり。

デザート

随所に談話室や湯上り処などが設けられている。館内は整理整頓され、掃除が行き届き清潔感が漂う。立派な庭園があり、間口からは推測できない広い敷地を有している。
部屋は4階401号室(客室は4階〜6階)
で12畳の床の間付き和室(BT)。別に広縁もありゆったりした間取り。平日2人1室で1人14,650円は、山代温泉にあってはリーズナブルな料金だ(時期によっては10,000円前後のプランもある)。

シンプル・機能的なロビー周辺。赤い絨毯でないのでシックで落ち着いた雰囲気。

立ち寄り湯の看板。午後2時〜で1000円とある。喫茶も出来る。

歴史を感じさせる和風建築の玄関先。

宝永2年(1705年)創業の宿だが、現在は資本が変わって、全国にリゾートホテル・シティホテル・旅館など60軒を経営するHMIグループの傘下に入っている。

とは言え、山代温泉街の中心、総湯を囲む湯の曲輪(ゆのがわ)の一角にあり、かっての老舗宿の面影を偲ばせる。

近年完成した古総湯が目の前にあり、間口こそ狭いが、正面玄関は純和風の老舗宿の佇まい。
かっての中庭に鉄筋6階建ての客室棟が建てられており、数寄屋造りの和室が21室ある。

標準料金は、平日2人1室1人15,000円〜20,000円程度で、人数・曜日・季節・プランなどにより、大きく増減するので、詳細・最新情報は、こちらをご覧ください

因みに、宿泊時に貰ったパンフレットや2011年のガイドブックでは、館名は「大のや」となっているが、さきほど開いたここのHPでは、「ホテル 大のや」となっており、じゃらんでは「木漏れ日の宿 大のや」となっていて、どれが最新か分からない。

元総湯があった所に建設された古総湯。明治時代の総湯を復元したものだ。

左:午後男性用の「千代結び」。タイル張り、3mx6mくらい、床が溢れた湯で濡れていた。シャワー・カランは十分ある。
上:逆方向からの千代結び。前方に露天風呂。

浴室への暖簾

前菜(ちょっと貧弱)

お造り

鰆の奉書焼(開けたのが右の写真)

ふぐのてっちり

データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 石川県加賀市山代温泉18−117
電 話 0761−77−4113
交通機関 北陸自動車道加賀ICから県道20号線・39号線等で約10km
JR北陸温泉加賀温泉駅からバスで15分山代東口下車徒歩5分
JR加賀温泉駅までの送迎(所要時間約10分、2名以上14時〜18時)
施 設 湯上り処、喫茶、駐車場(20台)
宿 泊 21室 平日2人1室 基準料金 15,000円〜20,000円だが、10,000円前後のプランもある。
人数・曜日・季節・プランなどにより、大きく増減するので詳細・最新情報は、こちらをご覧ください
泉 質 ナトリウム・カルシウムー硫酸塩・塩化物温泉 (旧称:含石膏・食塩・芒硝泉) 泉温64℃ pH7.84
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
日帰り入浴時間 10時〜18時(要確認)
定休日 不定休
入浴料金 大人1000円
入浴施設 内湯2 露天風呂2 何れも男女交代有り 
観光スポット 九谷焼窯跡展示館、魯山人寓居跡 いろは草庵、はづちを楽堂、森光子一座記念館、大聖寺、橋立、動橋、石川県九谷焼美術館、東尋坊、丸岡城、永平寺、松井秀喜ベースボールミュージアム、金沢市、能登半島
お土産・食事 土産・食事とも温泉街に多数。
近くの温泉 山中温泉、片山津温泉・粟津温泉・芦原温泉三国温泉佐野温泉
加賀市HP
観光協会HP

旅館組合
大のやHP
http://www.city.kaga.ishikawa.jp/
http://www.yamashiro-map.info/
http://www.yamashiro-spa.or.jp/

http://www.hotel-oonoya.jp/
雑記帳 総湯のある北陸の温泉地は次の通り。
片山津温泉、山代温泉、粟津温泉、加賀八幡温泉、湯湧温泉、白峰温泉、和倉温泉

地元の人に混じって、ローカル色豊かな公衆浴場で入浴すると、旅のいい思い出となる。

着席の時に置かれていた料理。