施設名 : 元湯 (入浴日:2007.4.10)
所在地 : 阿蘇郡小国町
温泉名 : 杖立温泉
    杖立温泉 元湯 (熊本県) 
小国町は九州のほぼ中央、熊本県の最北端、阿蘇外輪山の裾野にあり、筑紫次郎と呼ばれる筑後川の上流に位置している。
東西北部を大分県、南部を南小国町と隣接し、総面積の74%を山林が占める農山村地域だ。

大分県との県境には、九重山系の秀峰で標高標高1,500mの湧蓋山(わいたさん)が聳えている。
その形から小国富士ともよばれ、山裾では、いたる所で湯煙が舞い上がる。
「はげの湯」「岳の湯」、少し離れて山川・日平・奴留湯
の温泉群である。

一方、湧蓋山の西側、筑紫川の源流・杖立川の河畔には、かって九州の奥座敷と呼ばれた古湯・杖立温泉が湯煙を上げている。
杖立温泉は筑紫次郎(筑紫川)の上流、杖立川が侵食した渓谷の僅かな土地に、数多い旅館が細長く立ち並んでいる。

大型旅館ばかりでなく、昔ながらの風情を漂わせた、懐かしさを感じさせる宿もあり、その選択は幅広い。

バブル崩壊後、団体客からグループ個人客へと客層が変わる中で、杖立温泉はかなり苦戦したと思われ、温泉街にもやや活気が無いように見えたが、古湯でないと味わえない温泉情緒がそこここに漂っている。

「杖立」は弘法大師が発見したそうだが、それなら「杖を立てたら湯が湧き出てきた」といった伝承でもあるのかなと思ったが、大師のこんな歌が残っているそうだ。
「湯にいりて 病なおればすがりてし 杖立おいて帰る諸人」。
どうもこんな俗っぽい歌を弘法大師が残したか、とは思うがそこら辺は深く追求しないでおこう。

標高1500mの湧蓋山裾野が広い。
杖立温泉の歴史は古い。真否は別として、神宮皇后が三韓遠征の途中に身篭り、杖立で後の応神天皇を出産、温泉を産湯として使ったという。その湯が、龍頭窟に湧く温泉(元湯)だという。

九州に入っての1日目、杖立温泉に泊まることにし、温泉教授の松田忠徳氏が日本百名湯に選んだ米屋別荘に宿泊した。
ここは天保14年(1843年)創業の老舗、数多い風呂と京都で和食の修行をした7代目当主の夕食を満喫した。

翌朝、いつも同行する愛犬の散歩を兼ねて温泉街を歩いて行くと、昨夜、仲居さんから聞いていた木造6階建ての旧米屋の建物が見えてきた。

この手前、古びた細い階段を杖立川に向かって下りて行った先に元湯がある。なるほど岩肌がむき出しになった竜の頭のような凹凸のある洞窟の中に風呂(無料)があった。
夜1人で入浴するには、男でも恐い雰囲気だ。
川でなく空中に3,500匹の鯉(幟)が泳いでいた。
杖立川に面する竜頭窟の元湯。いかにも温泉が湧き出す雰囲気だ。早朝のためだったのか、湯はそれほど熱くなかった。黄色い桶はもちろんケロリンだ。
名前が示す通り、ここが杖立温泉の湯元であったのだろうが、今は「元の湯」で、温泉は米屋別荘の源泉を流している。
元湯手前の階段の途中にある産湯観音。歴史ある温泉地に相応しい雰囲気が周囲に漂っている。
趣がある木造の飲泉所、飲むと塩分の味がした。
住 所 熊本県阿蘇郡小国町下城杖立
電 話 0967−48−0206(杖立温泉)
交通機関 大分自動車道日田ICから約25km
JR豊肥本線阿蘇駅から九州産交バス・杖立温泉行きで1時間・終点下車
施設(日帰り用) 簡単な脱衣棚  駐車場は温泉街の共同駐車場を利用
宿 泊 不可
泉 質 塩化物温泉(米屋別荘の温泉を利用)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 24時間
定休日 無休
入浴料金 無料
入浴施設 混浴露天風呂1
浴室備品(日帰り) シャンプー類無し
観光スポット 北里柴三郎生家、坂本善三美術館
日田、竜門の滝、耶馬溪、阿蘇山、飯田高原、九重連山、九重夢大吊り橋、
お土産・食事 温泉街で可能
近くの温泉 天ヶ瀬温泉・はげの湯・岳の湯・山川温泉・奴留湯温泉・筋湯温泉・黒川温泉・小田温泉・満願寺温泉・田の原温泉等多数
小国町HP
杖立温泉観光協会HP
米屋別荘HP(参考)
http://www.town.oguni.kumamoto.jp/ognhtml/index.shtml
http://www.tuetate.jp/
http://www.komeyabessou.jp/
雑記帳 愛犬の散歩で、早朝、杖立川沿いを家内とともに歩いた。
元湯は米屋別荘からかなり離れていると思い、チェックアウトしてから車で行く予定をしていたのでタオルを持参していなかった。
ところが思ったより近く元湯の前に来てしまった。
止むを得ずシャツをタオル代わりにして体を拭いた後、そのまま着込んだ。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
古い歴史を誇る九州の古湯、杖立温泉発祥の岩窟内にある元湯に立ち寄った。
(多分)