施設名 : 保養とアートの宿 大黒屋 (宿泊日:2007.5.14)
所在地 : 那須塩原市板室
温泉名 : 板室(いたむろ)温泉 
板室温泉 保養とアートの宿大黒屋 (栃木県) 
箒川沿いの塩原温泉郷(大網温泉・湯守田中屋)
黒磯市・那須町・塩原町と合併して誕生した那須塩原市は首都圏から約150km、東京と仙台の中間地点にあり、広大な那須高原の北西一帯を占めて、人口は10万人を超える。

標高が300m以上の高原一帯では酪農が盛んで、生乳の生産額は本州で第1位、全国でも第4位である。

市域の半分は那須火山帯に属する山岳部で、そのため温泉の湧出が盛んだ。

那須湯本・大丸・北・板室・三斗小屋温泉等を那須七湯と呼ぶが、この内、板室温泉が市域にある。


また、箒川沿いの渓谷に13の温泉が並ぶ塩原温泉郷は、栃木のみならず関東を代表する温泉地である。
板室温泉は、北に那須岳(1915m)、西に大佐飛山(1908m)等に囲まれた広大な那須高原の西端に位置し、那須湯本温泉から西へ10km、東北自動車道那須ICから北東へ25kmの距離にある。

牧場が点在する那須野ヶ原を進み、清流・那珂川の上流を跨ぐ幾世橋に至るとそこが板室温泉の入口だ。

板室温泉の標高は600m、高山植物の宝庫、沼ッ原湿原へ続く県道沿いに旅館・民宿が20軒弱ある。
那須高原東側の那須温泉郷や山を隔てた塩原温泉郷に比べその知名度は低いが、自然に恵まれ全く俗化していない環境は保養に向いた大人の温泉地で、国の国民保養温泉地に指定されている。


幾世橋の手前を左に折れた先には、日帰り温泉施設の「板室健康のゆグリーングリーン(追って掲載)」がある。ここの露天風呂には、上部の梁から太いロープが何本も下がり、それに捕まりながら深い浴槽に入浴するようになっている。これは綱の湯と呼ばれ、板室温泉に古くから伝わる入浴方法だ。
那珂川を跨ぐ幾世橋、前方が板室温泉だ。
天井から垂れたロープを握って入浴する綱の湯。
東北の旅の最終2日間は宿に予約を入れずフリーにしておいた。

前日は宮城県の小原温泉(追って掲載)に宿泊、そこで最終日をどこにするか地図とガイドブックを見ながらいろいろ候補を挙げたて検討した。
最終的に東北を抜け、栃木県、那須温泉郷と塩原温泉郷の間にある板室温泉に泊まることに決めた。

栃木生まれでもあり、板室温泉の名は以前から知っていたが、那須・塩原・鬼怒川温泉等の有名温泉を優先して訪れていたので、未だここで入浴・宿泊をしていなかった。

ここにある「大黒屋」が、様々なガイドブックで大きく紹介されていたこともあって、少々私の基準を上回る料金だったが、この宿に予約を入れた。
住 所 栃木県那須塩原市板室856
電 話 0287−69−0226
交通機関 東北自動車道那須ICから県道17号線・同266号線で約25km
JR黒磯駅から東野交通バス板室温泉行きで35分、終点下車
施 設(日帰り用) 日帰り不可  駐車場(20台)
宿 泊 31室 和室(T23)、洋室(T2)、和洋室T6)
17、475円〜21,150円(平日)・・・2007年12月現在
休前日加算、特定日加算などがあるので詳細は下記大黒屋HP参照下さい。
泉 質 アルカリ性単純温泉(pH9.5 源泉温度44.9℃ 透明無色無臭)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間 日帰り入浴不可 宿泊者は24時間可能
定休日 無休
入浴料金 日帰り入浴無し
入浴施設 内湯:男女各2  露天風呂:男女各1
浴室備品 シャンプー、ボデイソープ・ドライヤー 部屋にバスタオル他アメニティ一式
観光スポット 乙女の滝、道の駅(明治の森・黒磯)、深山ダム
那須高原(多数のテーマ館・レストラン・食事処・美術館・牧場)、那須ロープウェイで山頂駅徒歩40分で茶臼岳山頂、殺生石、沼ツ原湿原、もみじ谷大吊橋(塩原)
お土産・食事 土産は旅館内で可能
近くの温泉 那須温泉郷(那須湯本温泉、新那須温泉、八幡温泉、北温泉、大丸温泉、高雄温泉、弁天温泉)
塩原温泉郷、鬼怒川温泉、川治温泉
那須塩原市HP
那須観光協会HP
黒磯観光協会HP
板室温泉HP

大黒屋HP
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/
http://www.nasukogen.org/
http://www.kuroiso-kankou.org/
http://www.kuroiso-kankou.org/itamuro/
http://www.itamuro-daikokuya.com/
雑記帳 栃木県の有名温泉としては、まだ湯西川温泉が残っている。ここには是非宿泊したいと思ってる。
データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。
館名を「板室観光ホテル大黒屋」、「板室温泉大黒屋」と慌しく変更して、現在の名前に至っているが、古めかしい「大黒屋」の名が示すとおり、創業は天文20年(1551年)で、湯治場として長い歴史を持っている。

館名の前に「保養とアートの宿」と銘打っているが、このコンセプトに相応しい雰囲気を、館外・館内至るところに漂わせている。

那珂川に面した広い庭は木々の手入れが行き届き、近代アートの野外彫刻があちらこちらに置かれている。これらの作家の有名無名は定かではないが、和風の庭園に異色を発している。

館内にはもちろん赤絨毯などは敷かれていなくて、けばけばしい装飾・家具類は完璧に排除され、ベージュや茶色をベースに、美術館のように直線的な設計になっている。
館内にも絵画でなく、立体的で抽象的な作品があちらこちらに展示されたり掛けられている。
前段はともかく、後段の「文化・知・美」の資格があるのかな・・・少々、肩身が狭くなる。
玄関、この屋根の上にも雪の滑り止めをかねた作品がある。
縦に長い石が何本も・・杉浦康益の作品。
手入れされた日本庭園にマッチしてるかな〜。渡辺豊重の作品。
人間国宝・勝城蒼鳳の作品。
ここで一服・・・。
ラウンジ、菅木志雄という方の作品が展示されている。奥にはグランドピアノも。
館内全体が美術館のよう。よけいな装飾・調度は置かれておらずシンプルな造りだ。
渡り廊下にも作品が・・・。
すっきりしたフロント
ライブラリーだったかな?
売店も格調が高い。
以下、作家の敬称略。
この宿のもう一つのコンセプトが「保養」だ。
これに見合う項目を幾つか上げてみる。

●板室温泉は、自然豊かな山里にあり、歓楽的な要素が皆無の静かな温泉地である。
これにより国民保養温泉地に指定されている。

●チェックインが午後1時という早さだ。

普通は3時、早くても2時だがここの1時は異例の早さだ。
この時間のチェックインは、私が宿泊した100余軒の中では、他に湯の峰温泉・あづまや(和歌山県)があるのみだ。
因みにチェックアウトも午前10時30分で、普通より30分遅い。
これにより、客は最大21時間30分宿に居ることが出来て、ゆったりした滞在が可能だ。


●カラオケルーム・バーはもちろん宴会場も無い。

●部屋数は30を超えるが(すべて禁煙)、宿泊棟が3ヶ所に分かれているので、部屋の独立性が高い。
また、すべての部屋が南向きで、日光がどの部屋にも射し込み明るい。(宿では「陽室」と称している。)

●プライバシーを配慮し、日本旅館の煩わしさを排除している。
スタッフが部屋に入るのは案内のときと夕食を運び込むときのみで、食事が終わると客が食器類を廊下に置く.。布団敷きも無い。

●定期的にコンサート等のイベントが開催されている(HP参照)
風 呂
料 理
風呂は男女別に2ヶ所ある。
一つは内湯のみ、もう一つは内湯+露天風呂の組み合わせだ。
内湯は何れも清潔な脱衣室、浴室・風呂は落ち着いた品格のあるものだ。
これ以外に「アタラクシア(心の平安という意味だそうだ)」と称する低温のサウナがある。

温泉はpH9.5のアルカリ性単純温泉で、そのためとても滑らか、しっとりした肌触りだ。

源泉温度が44.9℃で、これがそのまま掛け流しで風呂に注がれているが、冬季は、源泉を損なわないように熱交換方式で加温される。
4人程度が入れる底も桧のしっとりした木造風呂からは、贅沢に湯が流れ出ていた。1時過ぎにチェックインしてすぐに入浴したので、午後の光が眩しかった。
こちらの風呂は大きめで、全て石材で造られていて品格がある。ガラス越しに露天風呂が見える。
夕食・朝食とも部屋食となる。ありがたいのは、部屋にはダイニングテーブルがあることだ。
膝や腰に支障がある我々には、椅子に座って食事が出来ることが何よりも嬉しいのだ。


驚いたのが、最後のデザートまでのすべての料理が大きめのお盆に乗せられて運ばれてきたこと。
普通、一品ごとに料理が運ばれるのがベスト、次に後出しで熱い料理は熱く、冷たいものは冷たく出す後出し方式がベター。
全ての料理が一度に並べられるのはよほどの低料金の宿だ。

ここの宿泊料金は2万円前後、普通はあり得ないサーブ方法だが、これには明らかに理由があるのだろう。
思いついたのは、「客が配膳に気を使わず、ゆっくりと食事が出来るようにする」、「一度出しでも問題ない食材を使用し、調理した料理を出す」だった。

しかし、温かくあるべきものは温かったし、お造りはしっかり冷えていた。
尚、使用されている食器は11人の陶芸家が作ったものを使用しており、何れも料理が引き立つ地味なデザイン・色だった。

強肴:和牛肉と野菜類の霙酢掛け
台の物:鰆柚庵焼き
向付:釣り鯛と鮪造り
椀物:田舎仕立
デザートまでの全てがお盆に乗って運ばれる。
朝 食
たったいま、当日添付されていたお品書きの冒頭に「胡豆昆基本としております」と書かれてあったのに気がついた。
「胡豆昆」とは?インターネットで調べたら料理用語で「胡豆昆とは、胡麻・豆・昆布の頭文字を合わせた略語です。胡麻・豆・昆布の三品目は、飽食でありながら不足するミネラルなどを補う天然のサプリメントです。普段の食生活にほんの一工夫、胡豆昆の知恵を加味するだけで、毎日の食を一段上の“健康の素”“美容の素”にすることができるのです。」と解説があった。
どうやら、この宿の料理のコンセプトはここにあるらしい。

相互リンクさせていただいてる「まぐぞーさん(女性)」の大黒屋の夕食の感想は次の通りである。
「膳の一度出しで、量、味ともにまぁまぁ。とりわけ「豪華」というものではないのですが、一品、一品丁寧につくられていました。」
全室禁煙、館内で唯一喫煙できるコーナー。
第2回東北長期遠征の最終日、国指定「国民保養温泉地」の板室温泉にある大人の隠れ家的な湯宿、大黒屋に宿泊した。
騒がしい団体客や走り回る子供とは無縁の大人の宿だ。
旅館側はいい意味で、客をほったらかしにしてくれる。

ベージュと茶色をベースにしたシンプルでいて品格のある館内・客室、手入れされた庭園とパブリックスペースには、モダンアートのオブジェが展示され、料理も陶芸家の手作りの食器で供される。
温泉は加温・加水無しのアルカリ性単純温泉がすべての風呂に掛け流しで落とされる。
料理はサーブ方法に不満を持たれる方もおられるかも知れないが、素材にこだわり、丁寧に調理された健康志向の夕食が、身内だけでゆっくりと味わえる。
平日2人1室1人18,000円(税別)
玄関横の風景
この宿泊棟の中央1階に宿泊
野外の囲炉裏
部屋の家具もプレーンで直線的
和洋折衷の寝室、ここを含めて20畳分ほどの広さだ。
宿泊した511号室の部屋。前い広いウッドデッキがある。ソファはなく、ダイニングテーブルが置かれているのが嬉しい。
化粧台
脱衣棚
アタラクシアサウナ)入口
ウッディで清潔な脱衣室
屋根の付いた4,5人用の露天風呂。湯は温めだ。