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施設名 : 中の湯温泉旅館 (宿泊日:2006.9.15)
中の湯温泉・中の湯温泉旅館 (長野県)
9月中旬、自宅の奈良から東京の実家に向かう途中、長野県の西部・安房峠の中腹にある中の湯温泉に一泊することにした。
名神高速道路・東海北陸自動車道と乗り継ぎ、途中、郡上八幡を観光した後、高山経由で国道158号線を東に進み目的地に向かった。
松本市側から国道158号線を西へ進むと、上高地への玄関口にあるさわんど温泉・坂巻温泉・中の湯温泉が現れ、安房トンネルを抜けて岐阜県側に入ると奥飛騨温泉郷に出る。

また安房トンネルの手前から左折し、県道あるいは乗鞍スーパー林道を進むと乗鞍高原温泉・白骨温泉に至る。まさに湯道街道である。(他に上高地方面にも上高地温泉など)

中の湯温泉は、もともとは釜トンネルの入口、梓川沿いにあった。
しかし、安房トンネルの工事のために、1998年に安房峠の中腹、標高が1500mを越える旧国道158号線沿いに移転した。

松本市方面からだと、上高地への道との分岐点を通り過ぎてすぐ、安房トンネル入口の手前を右折する。
見落とすと有料の安房トンネルを通り過ぎてから、再びUターンしなければならないので注意が必要だ。

中の湯温泉旅館は、日本秘湯を守る会の会員旅館とは思えない瀟洒な建物。
駐車場から小高い場所に、正面玄関を中心にほぼ左右対称に建物が広がっている。部屋数が46室の堂々たる中規模旅館だ。
至近距離にあり、ここに来る前に入浴してきた同じ「日本秘湯を守る会」の坂巻温泉旅館と比べると、その大きさに驚かされる。

お馴染みの会の提灯に出迎えられて中に入ると、シンプルだがとても広いロビーがあって、ワイドな窓からは、
霞沢岳(標高2.646m)の重量感ある山容が眼前に迫ってくる。この山の向こうに上高地があるのだ。
この旅館の左手に登山口がある活火山の焼岳は、残念ながら死角になって見えない。

案内された部屋は、8畳(トイレ付き)の和室に広縁、山の旅館らしくシンプルな造りだ。
最近完成した旅館には珍しく6畳の部屋もかなりあるが、これは登山客を相手にしていた時代の名残かもしれない。

住 所 長野県松本市安曇中の湯
電 話 0263−95−2407
交通機関 (東京から)長野自動車道松本ICから国道158号線等で約47km
(大阪から)東海北陸道飛騨清美ICから(高山経由)国道158号線等で約80km
松電新島々駅から松電バス上高地行きバスで1時間中の湯下車、そこで送迎車
施 設(日帰り) ロビー休憩、食堂で手打ち蕎麦・入浴セット、売店、駐車場(50台)
宿 泊 44室(8畳・6畳が中心、一部トイレ・洗面所付き)
宿泊料金は下記ホームページ参照
泉 質 @単純硫黄泉(やや白濁、硫化水素臭 55.1℃)・・・本館
A単純泉
(微黄白濁、鉄味、微炭酸味、40.6℃)・・・ト伝の湯
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間
(立ち寄り)
12時〜17時
宿泊者は24時間
定休日 不定休
入浴料金 700円、ト伝の湯は別に700円手打ち蕎麦(840円)+入浴セット1,300円
入浴施設 内湯男女各1 露天風呂男女各1 家族風呂1 ト伝の湯(貸切)
浴室備品
(日帰り)
シャンプー、ボデイソープ、ドライヤー、ロッカー
ト伝の湯は無し、貸切なので施錠して入浴
観光スポット 上高地、乗鞍高原、乗鞍岳(乗鞍スカイライン)、奥飛騨、高山、松本
お土産・食事 土産は館内で可能
館内で手打ち蕎麦12時〜14時)
近くの温泉 坂巻温泉、さわんど温泉、乗鞍高原温泉、奥飛騨温泉郷(平湯福地・新平湯・焼岳・栃尾・新穂高、上高地温泉
松本市HP
上高地HP

中の湯HP
http://www.city.matsumoto.nagano.jp/
http://www.kamikochi.or.jp/
http://www.nakanoyu-onsen.jp/
雑記帳 中の湯温泉旅館宿泊で、日本秘湯を守る会のラリースタンプが6ヶ所になった。あと4ヶ所に宿泊すれば、宿泊した旅館の何れかで無料宿泊できる。
それにしても、始めからスタンプを貰っていれば、とっくの昔に10ヶ所に到達していたのが悔やまれる。
上高地
風 呂
中の湯旅館が所有し、温泉好きにはよく知られた洞窟風呂の「ト伝の湯」に入浴するのが、ここに宿泊を決めた一番大きな理由だった。本館の温泉は単純硫黄泉(55.1℃)、ト伝の湯の方は薄い茶緑の単純泉(40.6℃)である。
中の湯旅館は、男女別の内湯・露天風呂に貸切風呂を一つ持つ。
しかし、これだけでない。
温泉好きにはよく知られた「ト伝の湯」がそれだ。
中の湯旅館に予約を入れた一番大きな理由がここに入浴することだった。

旅館から車で10分弱、旧道のヘアピンカーブを下って国道158号線に出る。そこから松本市方面にほんの少し走った上高地へ向かう県道24号線との分岐点、梓川の急流の脇にある。

間口が2mくらいの小屋に「ト伝の湯」の看板がかかっているが、よほど気をつけて見ないと通り過ぎてしまう。
宿泊者は宿の車で送迎してもらい無料で入浴できる(貸切)。
立ち寄り湯も可能なようで、すぐ横の中の湯の売店で入浴を申し出る。
標高1,500mに相応しい雄大な風景が広がる。
木の縁で底が石板の風呂が2つ、湯の温度が違う。
大きくは無いが木々に囲まれ爽快そのものだ。天気が良ければ穂高連峰が望めるとのことだ。こちらには白い湯の華が見られた。
閉所恐怖症の方にはお勧めできないト伝の湯。温泉の凝固作用で出来た天然の洞窟風呂だ(別掲)色は日によって変化するようだ。
刺身
炊き合せ
先付け
蒸し物(茶碗蒸し)
しのぎ(胡麻豆腐)
八寸
温物(鴨すき)
焼物(岩魚)
油物
台の物(椀子蕎麦)
郡上八幡
東海北陸自動車道郡上八幡ICで下りてすぐの郡上八幡の町を歩く。
毎年7月上旬から9月上旬にかけて行われる郡上踊り。お盆の4日間は、盂蘭盆会で徹夜踊りとなる。
名水百選に選ばれた宗祇水(そうぎすい)
城下町の郡上八幡(ぐじょうはちまん)。用水が町の中を縦横無尽に流れている。
中の湯温泉があった旧安曇村の村域は、松本市の西方に位置し、西は岐阜県に接していた。

村は、槍ヶ岳・穂高岳・乗鞍岳などの山岳地帯から標高660m〜1,500mの乗鞍高原に及んでいたが、2005年4月1日、この安曇村は、他の3村とともに松本市に実質的に吸収された。

今回の合併により、松本市は日本を代表する山岳観光地(上高地・乗鞍岳・乗鞍高原)と白骨・乗鞍高原温泉・坂巻・さわんど・中の湯などの温泉地を一挙に手に入れることになった。

この周辺の道路は、標高3、000m級の穂高・槍・乗鞍・焼岳など日本を代表する北アルプス山岳地帯の中腹を縫うようにして走っている。
しかし、火山地帯のために地質がもろく、幹線の国道158号線も、度々土砂崩れを引き起こしている。

国道158号線で東へ
松本市安曇
所在地 : 
岐阜県側から安房トンネル(中型車750円)を抜けた直後の国道158号線。左折すれば上高地だが一般車は乗り入れは禁止。(ト伝の湯前から撮影)
中の湯温泉は、国道158号線と安房トンネルと切っても切れない縁がある。

国道158号線は、福井市から岐阜県の奥飛騨(温泉)を通過し、松本市に至る山岳道路である。
かってこの国道は、途中に油坂峠・新軽岡峠・安房峠の3つの急峻な峠を越える「酷道」であった。
特に岐阜県と長野県の県境となる標高1,790mの安房峠は、大変な難所であり、
豪雪地帯の為11月中旬から5月上旬まで約6カ月にわたって通行止めになっていた。その上、 非常に険しい地形でかつ火山地帯の為、地質がもろく降雨によりしばしば通行止めになることがあった。
また隘路のために、観光シーズンには大渋滞が起きていた。

これを解決するために、1989年に安房トンネルの工事が始まった。
しかし、活火山である焼岳のすぐ南側に位置するため、地熱や火山ガス、また地盤が脆弱なこともあって、工事は難航を極めた。水蒸気爆発による死亡者も出て、当初の開通予定である1995年から2年遅れの1997年12月に開通した。

これにより、岐阜県側の奥飛騨温泉郷が大きな恩恵を受け、首都圏からの宿泊客が大幅に増加、また関西方面から上高地・乗鞍高原・白骨温泉等に向かう時間が大幅に短縮された。
温泉名 : 中の湯温泉 
ガイドブックを見ると、中の湯は完全掛け流しのマークはついてなくて、準掛け流し又は一部掛け流しの印がついている。本館の湯は、季節によって加水、それに1日2回殺菌剤を使用しているためかもしれない。
ト伝の湯は掛け流しだが、温度は温めだった。(他のサイトを見ると熱めのときもあるらしい。)


立ち寄り入浴は12時から17時までで、入浴料金は700円(ト伝の湯は別途700円)。昼食時には手打ち蕎麦と入浴がセットになったコース(1,300円)も選択できる。
夕食は本来は部屋食だったが、頼んでテーブル席にしてもらった。料理はこれ以外に「汁物」「デザート・メロン」
 料 理
朝 食
夕食は、山の旅館らしく凝った料理ではなかったが、品数・ボリューム・味付けとも文句はなかった。
(但し、私は食にはうるさくない)


ここは6畳(T付・T/洗面所無し)、8畳(トイレ/洗面所付き)で構成される。(他に12畳T/洗面所無しもあるが)
新しい旅館で10畳の部屋が無いのは珍しい。
また、6畳の部屋がかなりあるのは、昔のように登山客が多いためと思われ、現に、この日も焼岳から降りてきた宿泊客をかなり見かけた。
料金は6畳(T付)で、13,800円〜21,150円と幅があり(当日貰った料金表による)、年度・季節・曜日等で変わるので、事前に旅館のホームページで照会の上予約を入れて頂きたい。

部屋の大きさの割りに料金が高いと思われるが、秘湯ブームそれに上高地・乗鞍岳等の一級山岳スポットの観光拠点になっているのが大きな理由だろう。
尚、部屋には冷蔵庫・クーラーは設置されておらず、テレビはケーブルテレビによる衛星放送で、携帯はかからない。
金曜日宿泊 8畳(T付き) 2人1室1人18,000円
中の湯温泉から上高地までは車で20分ほどの距離にある。もちろんマイカーでは入れないので、宿にタクシーを頼んだ。
(因みにタクシーは「沢渡(さわんど)」から来るのかと思ったら松本市からやってきた。往復で8,000円)

上高地は40年ぶりの再訪だった。
たかが上高地、されど上高地、大正池や河童橋からの穂高連峰や焼岳の景観はまことに壮観だった。

上高地は標高1,500m、長野県西部の飛騨山脈(北アルプス)南部、梓川上流の景勝地だ。
松本市の市域にあり、中部山岳国立公園の一部となっており、国の「特別名勝」及び「特別天然記念物」に指定されている。

マイカーの乗り入れは禁止されており、岐阜県側の平湯駐車場または沢渡駐車場からシャトルバスかタクシーで入ることになる。
大正4年6月、焼岳の噴火で出来上がった大正池
河童橋。芥川龍之介の小説「河童」に上高地と橋が登場したことに因み名付けられた。。
赤茶けた活火山・焼岳が威圧するように聳えていた。
上高地のホームページを見ていたら、上高地への新たな交通手段として、トンネルによる登山鉄道の計画が進められているとのこと。

岩盤が脆く、70度を上回る地熱が発生したという安房トンネル工事を考えると、難工事となることは間違いない。

むしろ、現在の県道を自動車完全禁止とし、そこに登山鉄道を敷いた方がコスト的に安く、環境にも優しいだろう。