のどかな初春の山里風景も楽しめた。
校内には昔使われた教材等の展示や授業風景を再現した教室もある。
干物がついた簡単な朝食だが、これが逆うれしい。押し出し容器付の寒天がついていた。
奈良・東京往復を利用しての温泉巡り、冬季は雪が積もる山間部は周れない。そこで、今年の冬は伊豆周辺を重点的に周ることにして、その4回目は西伊豆と箱根を訪れることにした。
1日目
目黒区の実家を10時に出発、伊豆方面に行く際のお馴染みのルートである東名・小田原厚木道路・真鶴道路に乗り継ぎ、最後に国道135号線で熱海・網代温泉を抜けて南下した。
熱海の手前、高級旅館が多い伊豆山温泉下を通過する。当初、ここで立ち寄り入浴を予定していたが、例によって先を急ぐ気持ちが働いてパス。(これだから温泉の数が増えないのだ。)
宇佐美で右折して県道19号線に乗って山側に入り、伊豆スカイラインを横切る。その後、国道136号線に乗って土肥峠(574m)を抜けて先ずは土肥温泉に出る。
ここは以前に宿泊しているので通過、駿河湾を眼下に見る国道136号線を南下した。

やがて、西伊豆最大の景勝地、堂ヶ島に到着する。
西伊豆は鉄道が走っていないのでアクセスは悪いが、それだけに人出が少なく渋滞も無い。
また同じ海岸線を走るが、国道136号線の風景は、東伊豆の国道135号線よりはるかに優れている。
● 堂ヶ島
リアス式海岸のこの一帯、干潮になると全国でも珍しいトロンボ現象で石州が現れ、沖合いにある三四郎島と陸地を繋ぐ。
国の天然記念物に指定された海触洞窟・天窓洞を観光船で周ることも出来る。

一方、山側には、西伊豆を代表する観光施設「らんの里堂ヶ島」の他に「堂ヶ島ビジターセンターピアドーム天窓」「加山雄三ミュージアム」などがある。
また、新鮮な海の幸を味わえる食事処もある。
堂ヶ島温泉は、旅館は10軒に満たないが、最低料金が2万円を超える高級旅館が多い。
一方で50軒を超える民宿があり、新鮮な海の幸を手軽に楽しむことが出来る。


堂ヶ島温泉ホテルが最も有名だが、最低料金は2万円だ。この日、堂ヶ島小松ビューホテルに立ち寄ったが、まだ2時だったのに入浴を断られた。(入浴時間:11時〜15時)。
どうせ、循環だと心の中で捨て台詞を吐いて、1km先の公衆浴場「沢田公園露天風呂」に向かった。

らんの里を観光。隣に加山雄三ミュージアムがあるがパス。
10万本とあるが、そんなにあるかは未確認。ランを買うことも出来る。
沢田公園露天風呂は、土肥方面から国道136号線で南下、堂ヶ島温泉を通り過ぎて1km、右手に出てくる仁科浜漁港の中を通り過ぎた先にある。
ところが、この日は強風のため閉鎖されていた。風呂は断崖の上にあるので波をかぶることはなく、散策コース上で強い風による転倒などを避けるために閉鎖となったのだろう。
露天風呂は、翌朝、入浴することにして7km離れた松崎に向かった。
● 松崎温泉・豊崎ホテル
ここに泊まることにしたのは、素朴な漁港・風情ある街並み、それに松崎ホテルが朝食のみのBBシステムが理由だった。
旅館のボリュームある定番料理に飽き、好きなものだけ頼む簡単な夕食を取りたかったのだ。
豊崎ホテル、手前は夕食・朝食を取った食事処
ホテル内には相模湾で取れる魚の剥製が陳列されていた。
1泊朝食付でこの料金!

部屋は8畳トイレ付、夕食はホテルの前にある直営の食事処で刺身定食を注文。
全部含めて1万円でお釣りが出た。
内風呂・露天風呂とも源泉掛け流し。特に漁港が見える露天風呂の樽風呂が最高だった。
2日目
一風呂浴びた後、町・漁港・海岸を愛犬のアルと散歩。至るところで美しいなまこ壁を見かけた。
朝食前、珍しく温泉サイト管理者の根性を見せ、来た道を7kmほど戻って昨日入れなかった堂ヶ島の沢田公園露天風呂に向かう。
沢田公園露天風呂横から堂ヶ島を撮影。(撮影は前日)
早起きは三文の徳、一人で入浴。
チェックアウト後、車で10分ほどの岩科学校に向かう。
松崎の伝統的な建築手法と西洋建築方式を採り入れた造りは、木造建築の傑作として重要文化財に指定されている。
岩科学校(重要文化財)
県道15号線(松崎街道)で東に進み半島南部の低い山間部を通過する。地図上では途中「婆娑羅峠」を通過するが、標高が300m弱なのでどこが峠か定かでないまま越えてしまった。

箕作で国道414号線(天城街道・下田街道)に乗って湯ヶ野温泉に向かう。
途中、峰温泉への標識が出るが、ここは4年ほど前、家内の母親が全額負担で身内一同を招待してくれた所だ。

また、この国道は3ヶ月ほど前、千人風呂で有名な河内温泉・金谷旅館に泊まった際の帰路にも利用した。
● 湯ヶ野温泉・福田家
川端康成は19歳のとき伊豆を旅行し、湯ヶ野温泉・福田家に3泊、ここで踊り子達と出会い、その実体験が後の出世作「伊豆の踊り子」のベースとなった。
温泉好きによく知られた榧(かや)風呂は階段を7,8段下った半地下にある。
風呂の縁と床以外は、明治12年の創業当時のままで、なんとも心が和む雰囲気だ。
天城峠を目指して国道414号線を北上。湯ヶ野温泉を過ぎると間もなく、ループ橋が現れてくる。
金谷旅館・千人風呂
天城峠(標高638m)を越えると天城湯ヶ島温泉郷に入る。
伊豆には文豪・川端康成ゆかりの宿が2軒ある。
一軒は先ほどの福田家、そしてもう一軒が、彼が「伊豆の踊り子」を執筆した湯ヶ島温泉湯本館である。(先に入浴済み)
日本の滝100選の「浄蓮の滝」
わさび田
三島から国道1号線で箱根湯本に向かう。
芦ノ湖
箱根湯本温泉街に入る。
宿泊する旅館へ。
● 箱根湯本温泉・吉池旅館
箱根20湯の中で最も歴史が長く、大きな湯本温泉にあって、1万坪の敷地に見事な庭園を持つ吉池旅館に宿泊した。
最大の理由は、箱根では珍しい完全源泉掛け流しであること。
箱根20湯の中で宿泊したのは強羅温泉(頓狂楼 早雲閣)のみ、せめてあと数ヶ所でという中で予約を入れたのは吉池旅館だった。
それに日本一の集客力を誇る箱根温泉郷の中心、湯本温泉街の真ん中にあること。(オフシーズンの平日だったにもかかわらず温泉街は人出が多くたいそう賑やかだった。こんな温泉街は他にないだろう。)
それに箱根に相応しい品格のある旅館であることも選んだ理由の一つだった。
旧三菱財閥創業の岩崎家別邸の跡地にあり、敷地は1万坪を超える。明治41年に造園された回遊式庭園、その一角には国登録文化財の旧岩崎家別邸が建ち、見事な景観を造り上げている。
私の基準からすれば宿泊料金が少々高いが、前日の松崎温泉で予算を浮かせたこと、それにせっかくの箱根でケチりたくなかったので、吉池に宿泊を決めた。
設備・サービス・風呂・料理のトータルで料金に見合った満足を得られた。
唯一華やかだった品が氷のボールに入れられたデザート。こんな演出に感激する自分もだらしない。
熱帯植物園のような設計の広い大浴場(手前は立ち湯、見えないが奥に洞窟風呂)。
庭園の一角に設けられた露天風呂。
華美を排し落ち着いた会席料理(他に後出し)。
3日目
いつもの通り愛犬と近所を散歩して先入観が誤っていたのに気がついた。もっとゴチャゴチャした温泉街を想像していたのだが、国道から一歩奥に入ると、背後に山が迫り、真ん中を早川の清流、手入れされていない旅館は一つも無くしっとりした温泉情緒を漂わせていたのだ。
旅館を9時にチェックアウト、430km先、奈良への帰路についた。
朝食も落ち着いた品・味わい。
西伊豆・箱根2泊3日の旅
2007.3.25〜27
2007.9.10 UP