黒川温泉 御客屋 (熊本県)
今回の九州周遊は前2回の半分程度の日程だが、由布院温泉とともに黒川温泉再泊を早々に決めた。その上、嬉しいことに福岡県在住で古くからの温泉サイト仲間で、九州温泉のエキスパートでもあるプースケさんが、黒川温泉でご一緒してくださることになった。
宿泊する宿は、享保7年(1722年)創業と当温泉で最も歴史があり、湯巡りに便利な温泉街の真ん中にあって、口コミ評価が高い「御客屋」に決めた。
尚、この記事に掲載する写真の大部分がプースケさん撮影によるものです。

温泉街の中心にあり、創業が江戸中期の享保7年(1722年)で黒川温泉で最も歴史ある宿だ。

肥後国を統治していた細川家が、宮原・杖立・田の原・黒川などに官営の旅館を創設し、これを御客屋(おんきゃくや)と呼称した。今も御客屋の名で営業しているのは、黒川温泉のこの宿だけとなっている

温泉街の中心にあり、客室はシャワートイレ付きのタイプが異なる和室が14室、何れも黒川特有の田舎を感じさせる和の造りだ。
エレベーターは無く、部屋によっては風呂や食事のために急こう配の階段を上り下りするので、足腰に支障が有る場合は、予約の際に負担の少ない部屋を確認した方が良いかもしれない。

料金は小さな6畳和室の13,000円前後から20,000円程度で、季節・人数・曜日などによって変動するので、詳細は宿のHPを参照ください。
わたしが一番信頼するじゃらんの口コミ総合評価が、上記掲載の通り非常に高いが、項目別に見てもこれらが納得できる一泊となった。

所在地 : 阿蘇郡南小国(みなみおぐに)町
九重鶏卵を使った茶碗蒸し。
温泉名 : 黒川温泉 

火(肥)の国熊本県のシンボル・阿蘇山は世界最大級のカルデラ式火山だ。阿蘇といえば、阿蘇五岳(最高峰の高岳(1592m)・噴煙を上げる中岳・根子岳・鳥帽子岳・杵島岳)を中央に、それを囲む南北25km、東西18kmの外輪山との総称だ。

阿蘇五岳や九重連山を眺望し、日本一と言っていい大展望台・大観峰に立つと、その雄大な景観が眼前に広がる。
南小国町は熊本県の東北部、この阿蘇五岳を囲む外輪山の北側と東側の久住連山の山裾が交差する標高400m~900mの高原に位置し、一部は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。


中でも「瀬の本高原」は、標高が900m前後、中央をドライブコースとして有名なやまなみハイウエイが走り、熊本県百景の第一位に選ばれている。

町域の温泉は数多く、主として田の原川の渓谷に沿って旅館が立ち並び、平成に入って癒しの温泉として大ブレイクした黒川をはじめ、満願寺・奥万願寺・田の原・扇・白川・小田などの湯量豊かで情緒ある温泉が数多く点在している。

温泉街の中心にあって周辺に旅館が多く、入浴手形で湯巡りする宿を決めるのに迷ってしまった。入浴したのは、宿のスタッフが推薦した「お宿 のし湯(未掲載)」「いこい旅館」それに先に宿泊した山みず木の親旅館である「新明館」。

部 屋  4.5 風 呂  4.6
朝 食 4.6 夕 食 4.8 
接客サービス 5.0 清潔感 4.8

じゃらん 口コミ評価 総合:4.9 (167件平均)

施設名 : 御客屋 (おきゃくや) (宿泊日:2013.4.19)
標高700m、筑後川の上流、田の原川沿いに湯煙をあげる黒川温泉。
自然も温泉街も旅館も風呂も、全国の温泉地に大きな影響を与えた「黒川流」だ。

地元の野菜などを使った家庭的でライトな朝食

風呂

● 夕食

小鉢

夕食・朝食とも個室の食事処だった。3人以上は食事処、2人の場合は部屋食又は食事処となるようだ。

じゃらんの口コミ評価で、夕食は4.8点、朝食も4.6点と非常に満足度が高いが、これが頷ける料理だった。
食材が分からないような手の込んだ料理ではなく、地元熊本・阿蘇を中心とした新鮮な食材(特に馬肉を多用)を、そのまま活かす様な素朴で滋味豊かな料理が供された。


朝食も地元の食材で賄う素朴なもので、納豆と馬肉の叩きのコラボが珍しく、また美味しかった。

風呂は、雰囲気が異なる露天風呂・半露天風呂・内湯・貸切(2ヶ所―無料)と合わせて全部で7ヶ所もある。
貸切を除くすべての風呂は男女交代制なので、小さな旅館にも関わらず、全部の風呂で入浴しようと思ったら計画的に周らないといけない。

源泉は2本有り、自家源泉はpH2.8の酸性・含鉄(Ⅱ)単純温泉でほとんどの風呂でこれを利用しており、鉄分を含むためにその日や時間によって濁り湯となる。
もう一本が旅館組合が持つ共同管理の温泉で、泉質はナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉である。

入浴手形を利用しない立ち寄り湯は、大人500円、入浴時間は朝8時30分~夜9時(受付は8時30分迄)と時間帯が長い。但し、入浴出来る風呂は限定されている。

古の湯

姫肌の湯

うるいと春菊

食事

1200円で3旅館の露天風呂で入浴出来る入浴手形。ここでもクマもん登場!

温泉街の中心にある2ヶ所の共同浴場。左:穴湯、右:地蔵湯。プースケさんの推薦で穴湯の方で入浴した。

年間の宿泊者数は325、000人(平成19年度)、日帰り客約100万人。旅館は何れも中小規模の28軒(25軒+別館3軒)、各旅館の平均稼働率40~50%は、全国平均の25%を大きく上回る。
旅館の倒産・閉館が続く各地の温泉を尻目に、黒川温泉の旅館数は不動だ。
黒川温泉の歴史は江戸時代に遡るが、日本全国の温泉の中にあって、トップ3にランクされる人気温泉地になったのはそう昔の事ではない。

鉄道の整備によって繁栄してきた内牧温泉や杖立温泉をよそに、地元客中心の湯治場として細々と長らえてきた。
昭和39年(1964年)、東京オリンピックの年にやまなみハイウエイが開通、旅館数も増加したものの、設備・サービスともレベルが劣り低迷が続いた。

そんな状況の中、「田舎らしさを出そう」という運動が起り、雑木の植樹、次いで露天風呂の着工・増設が始った。
昭和61年(1986年)になって、この運動が黒川温泉全体の取り組みとなって、看板の統一、温泉手形の発売などの様々な仕掛けが実施されていった。

この地道な努力が報いられて、次第に「癒しと寛ぎの温泉地」としての評判が全国的に高まり、さらにバブル崩壊により、温泉地が団体客・歓楽から個人客・癒しに変化。
これにより、同じように「田舎」を維持した由布院温泉とともに黒川温泉は一気にブレイクした。

上述の通り、日帰り客が多いのは、各旅館が立ち寄り湯を積極的に受け入れていること、さらに年間15万枚が発売される入浴手形の効果が大きい
これは観光案内所や旅館で買い求めることが出来て、1200円で3ヶ所の旅館の露天風呂に入浴出来る。

スタッフの男性が早口で説明した料理を、プースケさんがささっとメモして、渡して下さった(驚異的!)。
お陰で上記の料理の付記が出来た(多謝)。

ヤマメの塩焼。腹を向こうに向けるのが流儀だそうだ。

天麩羅は、リンゴ・舞茸・甘唐辛子。

檜をふんだんに使った姫肌の湯は、それほど大きくないが重厚感がある。右の「古の湯」とセットで、日帰り入浴が出来る(時間帯によって男女何れか)

左の姫肌の湯と繋がる半露天の白濁した「古の湯」古書に記されている当時の風呂の様子を模して、杉の皮葺きや竹材等で造っている。眺望は無い。

私たちの部屋は、角部屋の「かじか」。8畳+4.5畳+広縁。三方に窓があって、部屋名の通り河鹿が鳴く田の原川が真下に見える。1人18,900円(税込)

プースケさんの部屋「竹」。窓の向こうは、八重桜が満開、一幅の日本画の世界だった。。

風呂へのアプローチもいかにも黒川温泉らしい演出。


大きな地図で見る

弐の湯(貸切)

壱の湯(貸切)

御前の湯

代官の湯

代官の湯

里の湯

里の湯

前日昼食は、プースケさんと南小国町の蕎麦街道で。

南小国町のそば街道にある「花郷庵(かごあん)」

データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
住 所 熊本県阿蘇郡南小国町満願寺黒川6546
電 話 0967-44-0454
交通機関 大分自動車道日田ICから約45km
JR豊肥本線阿蘇駅から九州産交バス別府行きで50分黒川温泉下車
施設(日帰り用) ロビー、湯上がり処、駐車場
宿 泊 14室
13,000円~20,000円程度 (最新・詳細情報は御客屋HP参照)
泉 質 酸性・鉄(Ⅱ)ー単純温泉
ナトリウムー塩化物・硫酸塩温泉(pH2.8 微弱黄色・金気臭)
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 入浴手形を利用しない立ち寄り湯は朝8時30分~夜9時(受付は8時30分迄)と時間帯が長い。
定休日 不定休(日帰り)
入浴料金 大人500円
入浴施設 雰囲気が異なる露天風呂・半露天風呂・内湯・貸切(2ヶ所―無料)と合わせて全部で7ヶ所。
宿泊の場合、貸切を除くすべての風呂は男女交代制
浴室備品(日帰り) シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット やまなみハイウエイ・満願寺・大谷渓谷・九酔峡・くじゅう夢大橋・くじゅう連山・くじゅう花公園・大観峰・阿蘇五岳・草千里・竹田
お土産・食事 温泉街に多数の店点在
近くの温泉 田の原・七滝・満願寺・扇・小田・奥満願寺・蔵床・白川・滝壺温泉・筋湯・筌ノ口・寒の地獄・湯坪・山川・はげの湯・岳の湯など多数
南小国町HP
観光協会HP
旅館組合HP
御客屋HP
http://www.town.minamioguni.kumamoto.jp/
http://www.roten.or.jp/
http://www.kurokawaonsen.or.jp/
http://www.okyakuya.jp/

デザートは地元ジャージー牛乳のアイス他。

ゴマ豆腐の揚げ出し。味が滲み込んでいて美味。

御飯・漬物(自家製)。

上段写真の右側に写る納豆と馬肉のタタキを混ぜたもの。

● 朝食

上の食材を乗せて焼くとこうなる。豪華だ!

陶板焼き:黒毛和牛、馬のカルビ、肥後の赤鶏(タレ・・・ニンニク味噌だれとポン酢。)

馬の腹身のタタキ サラダ仕立て

馬刺し(赤味・たてがみ)は新鮮・美味

虹鱒のお造り

春キャベツのジュレかけ

小松菜

地元の野菜を使った7種盛り

プースケさんと一緒に夕食。梅酒の赤ワイン割で乾杯。

黒川温泉のシャンプー類。大きな文字で書いてあるので、眼鏡が無くとも読めるのが嬉しい。

由緒ある名前が付けられた「御前の湯」は切り石を敷き詰めて造られている。石が黄色に変化、壁は黒塗りで風情あり。

空いていれば無料で入浴出来る2人用の貸切風呂2ヶ所。左側が「壱の湯」で檜の縁、右が「弐の湯」で切り石風呂。両方とも窓が無い。

どの脱衣場も清掃・整理整頓が行き届き清潔。

御客屋の風呂の中で最も大きな「里の湯」。寝湯や立ち湯が可能なゾーンがある。右の太い竹2本に掴まりながら、胸近くまでの深さがある浴槽に立ったままで入浴する。

渓流の音が聞こえ、最も開放度が高い「代官の湯」。時間の経過によって、温泉の色が大きく変化するのが左右2枚の写真で分かる。湯温は温かった。

完璧な下戸の私の夕食にこれは登場したことが無い。プースケさんのオーダーです。


旅館の看板も案内版も文字や色が統一されている。

意識的に作られた雑木の林の中の露天風呂。

露天風呂へのアプローチはどこの宿も雰囲気がある。

客室も焦げ茶と黄土色・ベージュなど黒・茶系統が基調。

旅館の内外とも茶褐色に塗られた木材がふんだんに使われていて古民家を演出。

部屋から見る田の原川。

部屋には茶香炉が置いてある。

フローリングと絨毯のロビー、

館内は木材がふんだんに使われ、黒川温泉特有の焦げ茶色が基調になっている。左は風呂への廊下。右は部屋から風呂へ行く階段。

チェックアウト後、プースケさんと女将と記念写真。風呂・食事、満足してのチェックアウトだった。