標高６５０ｍ、南会津の山里にひっそりと湯煙をあげる湯ノ花温泉は、只見川の支流・湯ノ岐（ゆのまた）川の両岸に、２０軒あまりの旅館と民宿、それに素朴な４ヶ所の共同浴場が点在する。先ずは石湯で入浴、次いで湯ノ岐川を跨ぐ橋の袂にある天神湯に向かった。

南会津町には「湯ノ花温泉」「木賊（とくさ）温泉」「小豆温泉」の他に２軒の日帰り施設がある。

湯ノ花温泉は、東北道西那須野塩原ICを起点として、塩原温泉郷を貫く国道４００号に乗り西行し、その後国道１２１号、国道３５２号を経由、尾瀬・桧枝岐方面へ走って１時間３０分、国道上の案内板に従って左折して５ｋｍほど先にある。

周囲を１、５００ｍから２，０００ｍまでの山々に囲まれた長閑な山里にあり、街道沿いや南北に流れる只見川の支流・湯ノ岐川の両岸に、低層小規模の旅館や民宿２０軒ほどが点在している。

今回、普通の温泉ガイドブックでは紹介されていない湯ノ花温泉に宿泊することになったのは、奥会津・南会津・只見方面の温泉を愛してやまないまぐぞーさんのご推薦、そして４ヶ所ある共同浴場に魅かれてであった。

さらに一山隔てた木賊（とくさ）温泉へ、トンネル開通で１０分足らずで行け、温泉マニアには知られた共同浴場・岩風呂に浸かれることが判明したのも理由の一つだ。

温泉街の中心から徒歩で１～２分の距離に、弘法の湯、天神の湯、石湯があり、５～６分離れて湯端の湯がある。
この内、弘法の湯と湯端の湯は男女別の風呂があるが、天神の湯と石湯は混浴になっている。
４ヶ所とも管理者は不在だ。

これら４ヶ所の入浴方法に当たっては、先ずは共同浴場近くの商店などで２００円の「共通入浴券」を購入する。
これで４ヶ所すべてで入浴出来、最後になった共同浴場に置かれている箱に、その入浴券を投げ入れるシステムになっている。

天神湯は、湯ノ岐川を跨ぐ橋の袂にあって、小さくて目立たない木造の湯屋だが、道路沿いに天神湯と書かれたポールが立っているので分かる。

石湯と同じく、脱衣場とか入り口などが男女別に分けられていない完全な混浴風呂である。

南会津郡（みなみあいづぐん）は、本州にある郡としては最も面積が広い。
下郷町、檜枝岐村、只見町、南会津町から成るが、これは１８７８年（明治１２年）に行政区画として発足以来、３町１村の区域のまま変更されていない。

郡域を流れる只見川（ただみがわ）は、福島県の会津地方を流れる阿賀野川水系の一級河川である。
群馬県と福島県の県境にある尾瀬沼に源を発し、伊南川、野尻川等を合わせて北東に流れ、喜多方市山都町で阿賀野川に合流する。

南会津町は、福島県の南西部に位置し、人口２万人余りで、会津地方の中心、会津若松市まで約４５ｋｍの位置にある。

地形は越後山系から連なる帝釈山（２、０６０ｍ）を最高峰に、山で囲まれており、町庁舎の標高は５５０ｍ、町域の９６％が森林で占められている。

夏は凌ぎやすいが、冬は厳しい日本海型に属し、特に西部地区は特別豪雪地帯に指定されている。

単純温泉とは言え、カルシウムなどを含んでいるのだろう、湯口にも成分が厚く付着していた。

これ以上ないシンプルな造りの脱衣場。

誇らしげに「加水加温・循環・殺菌」無と書かれていた。

湯ノ岐川を跨ぐ橋の袂にある天神湯。

泉質は自然湧出の無色透明無味無臭の単純温泉（ｐH８．２）で、源泉温度が６０℃を超える高温泉。これを加水・加温、・循環・消毒などを一切せず投入、かけ流しにしている。底には白い湯の華が沈殿していて、浴槽の縁にもこびりついていた。

大きい浴槽から小さい方へパイプで湯が流れるようにしてある。当然、小さい方が温度が低くなる。
他の方の記事を見ると、大きい方の浴槽は高温で入れなかったとあったが、この日は幸いにも４３℃位、簡単に入浴できた。

床も浴槽もコンクリート造り、これ以上ないシンプルな浴室で、床は温泉で茶色く変色している。

二つの浴槽があり、大きい方は２００ｃｍｘ１２０ｃｍ位の長方形、もう一方は７０ｃｍｘ６０ｃｍ位の小さな浴槽だ。
この浴槽の用途は、大人用では小さすぎるので、子供・幼児用だろうか。それとも他の用途があるのか考えたが思いつかなかった。

施設名　：　天神の湯　（入浴日：２０１２．１０．１５）