施設名 : 秘湯の宿 元泉館 (宿泊日:2008.7.24 平日2人1室 税込14,000円)) 
塩原11湯のほとんどが箒川沿いにあるが、新湯温泉と元湯温泉が西側最深部の山間にある。

箒川に沿って走る国道400号線からそれて、ヘアピンカーブが続く山道(危険な道ではない)を4kmほど進んだ先に元湯温泉がある。
塩原温泉郷の中では最も秘湯度が高い。

塩原温泉郷は開湯1300年を迎えたが、大同年間(806年〜810年)に赤川河畔に湧く温泉が最初に発見された。
ここが現在の元湯温泉で、塩原温泉郷発祥の地となる。
かっては元湯1000軒と呼称されるほど栄えたが、万治2年(1659年)の大地震で埋没してしまった。

しかし、温泉神社を再建したときに再び温泉が湧出し、現在は温泉好きを唸らせる温泉・風呂を持つ3軒の宿、元泉館・ゑびすや・大出館がある。
所在地 : 那須塩原市湯本塩原
温泉名 : 那須温泉郷元湯温泉
データ (変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
塩原温泉郷元湯温泉 元泉館 (栃木県)
   
2005年1月1日付けで黒磯市・西那須野町・塩原町が合併して那須塩原市が誕生した。

市は広大な那須野が原の北西一帯を占め、東京から150km圏の距離にある。

旧塩原町の西側、塩原地区は那須火山帯の山岳地帯で、塩原温泉郷はここに位置している。
町の中央を箒川が流れ
多数の滝や渓谷が塩原温泉郷の素晴らしい景勝をつくっている。

関東を代表する温泉地の一つ塩原温泉郷は1000m級の山々に囲まれ、標高500m以上の高冷渓谷地帯にあるため、秋の紅葉は見事だ。

特に、日光方面から鬼怒川を経由する「日塩もみじライン」沿いは、季節になると全山が錦綾なす紅葉の名所である。
私の気に入りの温泉地で、今回で3回目の宿泊となる。

塩原温泉郷は、渓谷美を誇る箒川に沿って(2ヶ所のみ例外)多数の温泉が点在し、これを「塩原11湯」と呼ぶ。

西那須野方面から国道400号線に乗って西へ進むと、最初に現れる「大網温泉」から始まって、「福渡」「塩釜」「塩の湯」「畑下」「門前」「古町」「中塩原」「元湯」「新湯」までの11湯である。
11湯は、規模・雰囲気・泉質などが異なり、1度の宿泊ではとても全貌を掴めないが
共通しているのは湯量が豊富でかけ流し、昔ながらの雰囲気を保つ素朴な宿が多いことだ。

宿泊施設が70軒ほど、年間120万人が訪れる大温泉地だが、11ヶ所に分散、かつ山腹や渓流沿いの限られた土地に建つ小規模の旅館が多いため、むしろ秘湯の雰囲気すら漂わせている。

塩原温泉郷の景勝・天狗岩
新湯温泉背後の硫黄山
もみじ谷大吊橋
箒川沿いの温泉宿
元湯温泉は、箒川の源流の一つ、山深い赤川の峡谷に3軒の宿がある。写真は元泉館から撮影。
赤川の渓流
3軒の宿の中では最も近代的な宿で、本館はエレベーターがついた3階建、別館は2階建になっている。
部屋数は35室、内訳はBT又はT付きの和室が17室、それに年配者には嬉しいベッドのBT付和洋室が18室ある。

料金は11,000円〜20,000円程度(人数・曜日・季節・プラン・年度などによって変動があるので詳細は宿のHP参照)だが、これ以外に料金・料理の品数を抑えた湯治プランもある。

足腰に支障がある我々は文句なくベッドがある本館の和洋室を予約した。
案内された202号室(平日・2人1室14,000円)は8畳の和室に6畳程度、ベッドでいっぱいの洋室、それにユニットバスが付いていた。
窓からは目の前を流れる赤川の渓流が望め、原生林で覆われた急斜面の山が迫っていた。

フロント・ロビーはお馴染みの赤絨毯
手前8畳窓際の洋室いっぱいに置かれたツインベッド
風 呂
料 理
風呂・温泉が文句無く素晴らしい。
館内には内湯が男女別に各2ヶ所と混浴が1ヶ所、露天風呂が男女別に各1ヶ所という贅沢さ、その上、それぞれの風呂の素材が石や岩や桧だったりして風情が異なる。

どれもそれほど大きな風呂ではないが、体を弛緩させ無念無想、ゆったりと身を温泉に委ねるのに程良い広さだ。

その上、温泉が良い。
自噴源泉を3ヶ所有し、泉質はすべて硫黄泉(含硫黄 − ナトリウム − 塩化物・炭酸水素塩温泉)で、浴室に入ると硫黄臭が漂う。
湧出温度はすべて50℃を超えるが、季節によって若干の加水・加温をしてかけ流しにしている。

宿のHPには、3本の源泉の詳細な分析表が掲載されており、温泉にこだわる姿勢が窺える。
住 所 栃木県那須塩原市湯本塩原101
電 話 0287−31−3155
交通機関 東北自動車道西那須野塩原ICから国道400号線等で約30km
東北新幹線那須塩原駅からバスで60分、塩原温泉バスターミナル下車、タクシーで13分
施 設(立ち寄り) ロビー休憩、駐車場(50台)
宿 泊 35室(すべてBT又はT付き 和室17 和洋室18) 
11,000円〜20,000円程度(料金は人数・曜日・プラン・季節・年度などにより変動するので下記HP参照)
泉 質 含硫黄 − ナトリウム − 塩化物・炭酸水素塩温泉 
適応症 不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照)
入浴時間(日帰り) 宿泊者は24時間(露天風呂・大浴場は6時30分〜22時
立ち寄り入浴は8時〜20時(予約不要 但し繁忙日は不可)
定休日 無休
入浴料金 大人 800円
入浴施設 内湯:男女各2 混浴1 露天風呂:男女各1 
浴室備品(立ち寄り湯) シャンプ、ボディソープ、ロッカー、ドライヤー
観光スポット もみじ谷大吊橋、回顧の吊橋、稚児ヶ淵、千本松牧場、回顧の滝、龍化の滝、秋の日塩もみじライン那須高原、日光江戸村 日光猿軍団日光
お土産・食事 土産は館内、昼食不可
近くの温泉 塩原11湯、鬼怒川温泉、川治温泉、湯西川温泉、奥鬼怒温泉郷那須温泉郷
那須塩原市HP
旅館組合H

元湯館HP
http://www.city.nasushiobara.lg.jp/
http://www.siobara.or.jp/
http://www.gensenkan.com/welcome.stm
雑記帳 塩原温泉郷の別の温泉記事の雑記帳で
「残るは、一番最奥の元湯温泉、魅力的な3つの旅館の1つに宿泊したい。」と書いたが、これを今回実現した。
次回の栃木県、いま、4回目の塩原温泉郷にするか、2回目の日光湯元温泉、それとも初めての湯西川温泉にするか迷い中だ。
高尾の湯。江戸時代の名妓と言われた2代目高尾が元湯出身なので、この名が使われている。
狭いが野太い桧造りの宝の湯
混浴の岩風呂・邯鄲の湯。湯の色が黒い。
高尾の湯に附属する渓流露天風呂、目の前を赤川が流れる。
夜の露天風呂
盛大に湯の華が舞う高尾の湯
真っ黒に変色する混浴の邯鄲の湯。仲居さんが雨の日は、何故か黒くなると教えてくれた。
確かにこの日は雨。腕を10cmほど沈めると見えなくなった。
湯で美しく変色した石の床。黒湯は、近くの宿・大出館が有名だが、ここでもそれを味わうことが出来た。
飲泉も出来る。
3本の源泉の泉質は同じだが、風呂の湯の色はすべて異なり、その上、ぬる湯好きの自分にぴったりの湯温だった。

日帰り入浴は8時から20時までで料金は800円、予約不要だが繁忙日の場合は、時間によって断る場合もあるようだ。

手元のガイドブック「源泉湯の達人(関東・甲信越)」には、元湯の3つの旅館(元泉館・ゑびすや・大出館)すべてが大きな写真と共に紹介されている。
特にゑびすやの硫黄泉(風呂内間欠泉)と炭酸泉の両方が楽しめる二つの風呂の組み合わせは垂涎ものだ。
残念ながら宇都宮郊外の墓参りを済ませてから到着したため、立ち寄り出来なかったのが大きな心残りだった。
栃木特産の大谷石が敷かれた高尾の湯。
夕食は部屋で、朝食は足が伸ばせる食事処で取る。

料理は、思いもかけずと言っては失礼だが、栃木特産の日光湯葉をふんだんに使い、それに渓流魚・豚・山菜などを組み合わせ、滋味豊かな手づくりの料理と味付けでとても美味しかった。

朝食はごくスタンダードなものだが、硫黄泉で炊いた温泉粥も出てこちらも美味しく頂いた。

広くは無いが和洋室、温泉・風呂・料理も悠々合格点、14、000円というリーズナブルな宿泊料金、満足度が高く、もう一度泊まりたい宿となった。
手の込んだゼリー寄せ
出汁が染みた湯葉料理
メインは豚肉
朝食は食事処で。何よりも足を伸ばせるのが嬉しかった。
僅かに硫黄臭がする温泉粥
朝 食
贔屓とする塩原温泉郷の11湯、新湯温泉塩釜温泉に続く3回目の宿泊は秘湯度の高い元湯温泉・元泉館。
部屋・温泉・風呂・料理すべて良し、宿泊料金からすると満足度の高い一泊となった。
赤川に面した元泉館。毎年行われる塩原温泉郷の神事には、ここの温泉が献湯される。