手造り感たっぷりの内湯。屋根はアクリルの波板だ。ここはかなり温かった。
こちらは自然林に囲まれており、清々しい入浴が味わえる。
奥山田温泉 満山荘 (長野県)
標高1500Mにある満山荘
山田牧場直前のヘアピンカーブ
北アルプスを遠望する絶景ポイント
ARさんとAKさんの背後に笠岳(2076m)
暖簾で仕切られた民芸調の食事処
夕食も朝食もしっとりとした古代色(日本の伝統色)の暖簾で仕切られた民芸調の食事処で取る。
創業者の次女、明子さんがシェフであるが、ここの食事は、口コミでの評判も非常に高く、満山荘人気の源泉となっている。
食事処の入口には「いなか料理 Food 風土」と書かれた円盤が掛けられている。
文字通りに受け取れば、地元の食材を使った郷土料理と解釈できるが、どうしてどうして料理にうるさい人をも満足させる創作料理が一品ごとに供される。
サーブするのは仲居さんでもアルバイトの人でもなく、料理長とご主人自らが運んできて、料理の説明をしていく。ここでも家族経営が徹底している。
写真のように信州の食材を使用した創作料理が一品づつ夫妻によって運ばれてきた。
料理方法に対するものか、味に対してか、それとも見た目と盛り付けにかは不明だが、周囲からも時たま感嘆の声が上がっていた
使用された食器は分厚く重厚なものが多かった。
デザート(柚子シャーベット)
野沢菜の茶漬け
チーズの茶碗蒸し
牛ヒレ・冬瓜のお吸い物
岩魚の塩焼き(3人前)
天麩羅(イチジク・独活の葉・松茸・リンゴなど)
馬刺し・アボカド等を添えて
生湯葉他
長芋そうめん
牛乳豆腐
前菜(エシャロット、蒟蒻・行者大蒜他)
朝食はバイキング方式で、丁寧に作った惣菜が並び、和食のメニューは大変充実していた。
パン食も不完全ながら可能だ。
唯一木造の風呂。檜だろうか、温泉成分に染まって最も情緒ある浴槽になっていた。硫黄臭はここがもっとも強かったように思えた。
高山村は長野市の東20kmほど、県の北東部にあって東西に長い。
村の三方を山に囲まれていて、善光寺平に向う松川扇状地に位置し、背後には、軽井沢と並んで信州を代表するリゾート地・志賀高原が広がっている。
村を流れる松川上流の渓谷は紅葉の名所として広く知られ、シーズンには観光客の車で渋滞が起きるほどだ。
高山村は「湯つづきの里」と称している。
これは、志賀高原の横手山を源とする松川の渓谷沿いと標高2076mの笠岳南斜面に7つの温泉が点在しているためだ
村の農業はリンゴ・ブドウなどの果樹を中心としている。
私達が最初に高山温泉郷を訪れ五色温泉に宿泊した11月上旬、県道沿いの果樹園には、たわわに実った真っ赤なリンゴが収穫を待っていた。
紅葉の松川渓谷
志賀高原の横手山を源流とする松川。その上流、松川渓谷沿いに点在するわらび・子安・山田・松川渓谷・五色・七味、そして最奥・最高所、標高2076mの笠岳の南斜面・1500m〜1700の高原にある奥山田温泉を総称して「信州高山温泉郷」と言う。
奥山田温泉へのアクセスは2つある。
一つは表通りとも言うべきもので、上信越自動車道須坂・小布施方面から県道66号線に乗って松川沿いに山田・五色・七味温泉を通り過ぎていくルート。秋には紅葉で大変混みあうルートだ。
もう一つは国道292号線(志賀草津道路)沿いの熊の湯温泉近くから県道66号線に乗り逆行するルートである。
私達は、前日宿泊した草津温泉から万座温泉・熊の湯温泉などで立ち寄ってから、志賀草津道路から分かれて県道に入った。
このルートは途中、すれ違いが難しい部分がかなりある。
しかし、笠岳を間近に仰ぐ地点から先は、(晴れていれば)北アルプスの雄峰や北信五岳(飯縄山戸隠山・黒姫山・妙高山・斑尾山)が連なる山並みを一望する大パノラマに歓声を上げながら山田牧場に降りていく絶景ルートになる。
施設名 : 満山荘 (宿泊日:2009年10月23日)(宿泊料:3人1室1人16,800円)
志賀草津道路から奥山田温泉に向う県道66号線上の大パノラマ。
松川渓谷沿いに点在する他の温泉と違い、奥山田温泉は笠岳の南麓、標高1500m〜1700mの高原にある。
高原には170ヘクタールいう広大な山田牧場があって、5月中旬〜10月中旬にかけて、60頭ほどのホルスタインの放牧が行なわれている。
遠くには北アルプスの山々が連なりスイスアルプス的な景色が広がっている。
旅館・ホテルは10軒ほどあるようだが、見かけた宿は、高原にマッチしたロッジやペンション風のものが多かった。
山田牧場の入口近くの斜面に、木造2階建ての日本秘湯を守る会の宿・満山荘がへばりつくように立っている。創業は1964年、東京オリンピックの年だ。
当初は温泉も無くスキー客が中心のロッジだったが、創業者・堀江文四郎さんの娘婿夫妻が全国の宿を巡り歩き、これはと思った点を宿に取り入れて少しずつ改善していった。
巨額の費用を投じて温泉を確保し、今ではリピータが多い人気の宿となった現在も家族だけで経営している。
80歳を超えられた創業者は、神出鬼没で専ら宿泊客と昔話に花を咲かせ、娘婿の畑山夫妻が評判の食事を含めてすべてを切り盛りしているように思われる。
チェックインをすると、案内された部屋には既に布団が敷かれ、その後一切、宿の人は顔を出さない。
人手が足りない分の工夫だが、それが客のプライバシーにプラスになっており、「ほったらかし」が満山荘の宿のコンセプトの一つになっているように思える。
創業者の堀江文四郎さん、自称「おっちゃん」と談話室にて。おっちゃん手作りの北アルプスパノラマ写真巻取り器が置かれている。
創業者で元特攻隊に所属されていたという井田文四郎さん。現在はボランティアで戦争の悲惨さを訴えておられるとのこと。
また余技として、趣味のカメラを200台ほど展示する食事処を長野市に経営されている。
前日、談話室で1時間ほどお話をしたが、翌朝、歯磨きをしながら露天風呂に再登場、7億円かけた温泉確保の苦労話などをされた。
前日同様、この日も温泉を汲み上げる機械のキーを持っておられた。これだけは娘夫婦には引き継いでいないようだ。
とても愉快な方で、ここの売り物の北アルプスの眺望は、「滅多に見えないよ」とか「娘の料理は塩気が強すぎる、まだまだだ」とか、やたらに過激な発言を連発していた。
データ (データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)
風呂は内湯と露天風呂がセットになったものが2組あり、午後10時で男女交代となる。
当初の男性用の風呂は、あきらかに手造りと分かる素朴なもので、資材も安価な河原石等が使われている。
こちらは創業時からの風呂なのだろうか。
一方、当初女性用となる内湯と露天風呂は、高そうな石材が床と浴槽に使用され、かなりの費用をかけたと思われる立派なものだ。
こちらは露天風呂からの眺望が素晴らしく、午前6時の朝湯で浸かったときは、眼前の山々に朝霧がかかり幻想的な風景になっていた。
温泉の源泉名は五色湯、「おっちゃん(上記)」が松川渓谷沿いで発掘したもので、蒸気泉と表流水の混合泉。源泉温度は79℃と高く、引いてくる間に60℃程度に下がるようだ。
泉質は単純硫黄泉で、軽い硫黄臭がする。
総額で7億円を要したそうで、奥山田温泉の宿泊施設にも配湯している。
近年造られてと思われる露天風呂は絶景だ。大理石だろうか、高価な石材が床や風呂に使われている。
奥山田温泉は、信州高山温泉郷7湯の一つで最奥・最高所(標高1500m)にあり、満山荘は日本秘湯を守る会の宿で、北アルプスを見渡す露天風呂と信州の食材を使った創作料理が人気の宿だ。
割り箸に「満山荘」の印が押されている。
お品書き、冒頭に「北信濃いなか料理」とあった。
食事処に掲げられた円盤
歯磨きしながら露天風呂に登場した「おっちゃん」
宿全体に「手作りとアトホーム」のコンセプトが随所に具現化されている。
ロビー・ラウンジ・談話室は不揃いの家具が配置され、ムリに整理整頓せずに、個人のリビングルームや応接間の雰囲気、堅苦しさが微塵にも感じられなかった。
浴衣ではなく、動きやすく寛げる作務衣のような館内着が用意されている。
片方の露天風呂は、手造りが一目で分かる素朴なものだ。
料理は娘婿夫妻が自分達で作り、走り回るようにして自らサーブしている。
1階の屋根が邪魔な202号室。
202号室(槍)。10畳の和室に4畳程度の広縁。3人1室で1人16,800円だった。
フロントには誰もいないので、この鐘を鳴らして呼び出す。
洒落たハンギング チェアー。
くつろげる談話室。カメラ好きな創業者の写真などが展示されており、コーヒーもセルフSで飲める。
チェックイン時、囲炉裏のお湯でお茶を供される。
不揃いの家具を配して、at homeな雰囲気を演出。
客室は10室(BT1 T9)のみ、それでも家族だけで経営するのにはギリギリの部屋数だろう。
私達が割り当てられた部屋は「202号室の槍」。
あいにく一階部分の屋根が張り出して展望が悪かった。ここの売り物が眺望だけに、予約の際はこの点を確かめておく方が良い。
宿泊料金は2人1室で16,000円から18,000円程度だ(2010年2月現在)。
相互リンクしている次のお二人の満山荘記事をご参照ください。