施設名 : 山口温泉 (入浴日:2008.7.12)
さして広くもない甲府盆地には、県庁所在地の甲府市を囲むようにして山梨市・甲州市・甲斐市等の紛らわしい名前を持った市がひしめいている(他に笛吹市・韮崎市なども)。
平成の合併では、もっと大きな単位で統合されても良さそうなものだったが、果樹などで財政が豊かせいか、歴史的なものなのだろうか定かではないが、信玄公のお膝元は群雄割拠状態、随分と行政コストが嵩んでいるだろう。
甲斐市は甲府盆地の中西部に位置し、人口が7万4千人だが、それでも甲府市に続いて県下第2位、市の西部を信玄堤で知られる釜無川が流れる。
甲府盆地と言えば桃とブドウが知られるが、甲斐市はむしろ、梅、サクランボや苺等の栽培が盛んなようだ。
観光的にはこれと言ったところは無い地味で小さな自治体故か、信玄公の「甲斐の国」の地名を市名としていることに対し、かって甲斐の国で重要な役割を持ったことはない地域とどこかで皮肉られていた。
中央自動車道甲府昭和IC(山口温泉はここから1.5km)手前から見る富士山
山梨県の山岳部にある温泉の多くが「信玄の隠し湯」と称しているが、皮肉なことに県下最大の温泉地は、1961年、ブドウ園から高温の温泉が湧きだした「青空温泉」がはじまりの歴史が浅い石和温泉だ。
現在は温泉ホテルが約100軒(温泉旅館組合加入は40軒余り)もあり、大小の宿がブドウ園や桃畑が僅かに残る市街地に建ち並んでいる。
その上、甲州金で知られるように、この地方は戦国時代から鉱山が盛んだったので、この「山師」の血が甲州人に引き継がれているのだろうか、農業従事者が「温泉を一発掘ってやろうか」とボーリングを行い、見事、湯量豊富な温泉を掘り当てた事例が多い。
甲府盆地にはそんな日帰り温泉施設が多く、風呂へはこれでもか、と思えるほど、ドバドバと温泉を掛け流しで注いでいる。
ここ山口温泉も、1987年、「ブドウでは儲からない」と言って、自分のブドウ畑で温泉を掘った山口さんの苗字が付けられた日帰り施設である。
温泉名と施設名が同じ山口温泉。
かなりの温泉好きでも、山梨県の温泉に関心を払われない方が多い。私も甲府盆地では、宿泊はおろか立ち寄り湯をしたこともなかった。
桃かブドウの季節を中心に、甲府周辺で宿泊を始めたのは3年ほど前、最初に宿泊したのは川浦温泉、次いで少し離れているが奈良田温泉、そして芦安温泉、桃の木温泉だ。
どれも湯量豊富な掛け流しの宿だ。
次いで時間が許せば、掛け流しに限った日帰り施設を周り始めた。
今回は2度目の桃の木温泉に宿泊し、一挙に3ヶ所、国母駅前温泉・はやぶさ温泉そして山口温泉で入浴した。
山口温泉は中央道甲府昭和ICから国道20号線で1.5kmほどの距離にある。
店や住宅が入り混じった一帯、不規則に曲がりくねった道の先にあり、見つけるのに少々苦労した。
淡く黄色みがかった美しい温泉。手前の白っぽい部分は細かい泡。
誰もいない浴室に入った途端、心ときめく感動に襲われた。
●先ずは美しい淡黄色の温泉、他ではほとんど見かけない色合いだ。
●次に龍の頭の形をした湯口からすごい勢いで加温・加水無しの温泉が注がれていて、石で縁取った風呂から豪快に溢れ出ていたこと。
●それにナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉(含む食塩重曹泉)の細かな炭酸の泡。普通は湯口で多いが、ここでは反対側に吹き寄せられて雲のように白く煙っていた。
風呂に浸かる。源泉温度が42℃弱なので、風呂の中の温度は37〜38℃くらい。ぬる湯好きの自分にはたまらない心地よさだ。
口に含むと炭酸のシュワー感が広がった。
そして再び感動が。 気がついたら腕に微細な泡がびっしりとまとわりついていたのだ。
いつまでも浸かっていたい素晴らしい温泉だった。
尚、ペットボトルを持参すれば、無料で温泉を持ち帰ることが出来る。
オレンジ色の瓦が敷かれた民家風の建物、手前に広い駐車場がある。
湯口の反対側に打ち寄せられた炭酸泉の泡。
龍の口からすごい勢いで温泉が流れ出ている。
満ちた温泉がそのまま流れ出る。湯量は686リットル/分という多さ。
少々分かりにくいが、腕についた細かな泡。
防水デジカメを湯に沈めて撮った美しい風呂の底。腕のある職人さんが作ったモザイクだ。
かなり大きな露天風呂にも2つの湯口から、これでもか! という勢いで温泉が注がれていた。光線で湯が金色に耀いていてとても美しかった。
広い脱衣所
風呂場への廊下
色々なモノが雑多に掛けられた受付
南アルプスの入口・夜叉人峠手前の桃の木温泉に2度目の宿泊、その際に淡黄色の重曹泉が豪快に掛け流しの日帰り施設・山口温泉に立ち寄った。
住 所 |
山梨県甲斐市篠原477 |
電 話 |
055−279−2611 |
交通機関 |
中央自動車道韮崎ICから国道20号線で1.5km
JR中央本線甲府駅から西野・十五所経由鰍沢行きで15分、榎郵便局下車徒歩8分 |
施 設(日帰り) |
休憩所(有料)・駐車場(30台)
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宿泊 |
不可 |
泉 質 |
ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物温泉(含む食塩重曹泉)泉温41.6℃ 686リットル/分 |
適応症 |
不記載(理由は「温泉の基礎知識ー温泉の効能」参照) |
入浴時間 |
9時〜21時45分 |
定休日 |
毎週月曜日 |
入浴料金 |
大人 500円(3時間迄) 1000円(3時間休憩料込み) |
入浴施設 |
内湯男女各1 |
浴室備品 |
シャンプー、ボデイソープ、ロッカー、ドライヤー |
観光スポット |
笛吹川フルーツセンター、苺・桃・ブドウ狩り、桃開花鑑賞、西沢渓谷ハイキング、恵林寺、昇仙峡。富士五湖、清里 |
お土産・食事 |
食事は甲府周辺・20号線沿いに多数(「ほうとう」など)。
季節の桃・ブドウ・いちご・サクランボなどを周辺で。(国道20号線沿い等の直販所) |
近くの温泉 |
石和温泉・湯村温泉・川浦温泉・塩山温泉・笛吹川温泉・一宮温泉・岩下温泉・御坂温泉・芦安温泉・桃の木温泉・ほったらかし温泉・三富温泉・はやぶさ温泉・正徳寺温泉・旭温泉(その他日帰り施設多数) |
甲斐市HP |
http://www.city.kai.yamanashi.jp/ |
雑記帳 |
読者のふらぴょんさんからご推薦いただいた山口温泉。
すばらしい温泉でした、有り難うございました。 |
データ (データは変更されている可能性もあります。お出かけ前にご確認ください。)